ロンシャンとXANXUS

※いつにも増して捏造色が濃いです。
 捏造苦手な方は迷わずリターンプリーズ。




「来ちゃった!」

いつの間にか作業机を挟んで向かいに立っていた赤髪の青年は片手を挙げて「チャオ」と笑った。安全ピンとテープのついたネクタイが吹き込んできた風に揺れているのを見ながら机上の書類が飛ばないように押さえる。


「何をしにきた」
「遊びに来たに決まってんじゃん。あ、お茶は自分で入れるのでお構いなく。菓子の場所だけ教えて頂戴」
「帰れ」
「つれないこといわないの。先祖が殺し合った仲じゃない」


どんな仲だ。内心で突っ込みを入れながらテーブルの上を指し示す。そこには数時間前に部下が貰ってきたクッキーの箱が綺麗な包装紙に包まれたまま放置されていた。この男とまともに話をしたり、引き取り願うように説得することがどれだけ徒労か身を持って体験して以来、無駄な労力は使わないで済むようにしている。沢田綱吉に会いに来た帰りに必ずと言っていいほどこの部屋に寄り、茶を飲み菓子を食い一方的に喋って満足すると帰っていく。まるで嵐のような男。

「殺し合った者の子孫は仇でも討つのか」
「何言ってんの。ラブアンドピースだよ。無駄に争ってどうすんのさ」
「・・・・・・」
「俺沢田ちゃんもアンタも大好きだもん。先祖は先祖、俺らは俺らでしょ」


それは先程の台詞と矛盾している気がしたが、思考は包装紙を盛大に破くびりびりびりという騒音で遮られた。甘い香りとそれを頬張る猿のような男。こんな男がボンゴレの同盟ファミリーの首領とは世も末だ。


「りゃからあれ。うぉれらふぁ」
「食べるか話すかどちらかにしろ」

 







-エムブロ-