+αランボとビアンキ

 

「私は大丈夫。大丈夫だから」と気丈にも言ってのけたビアンキの肩は震えていた。嘘をつかないでと喉元まで出かかった言葉をなんとか飲み込んでランボは「こんなときくらい強がらないでください」と告げた。その声の方が情けないくらいに震えていたが、泣き虫がそんな態度に出るとは考えなかったビアンキはランボをじっと見つめた。


「かわりでいいから」
「誰の」
「リボーンの」
「あなたじゃ役不足だわ」
「じゃああの人でもいいです」
「あのひと?」
「ロメオさん」
「なんであいつが出てくるの」
「俺はその人と似ているんでしょう」
「外見だけね」
「喋らなければいいですかね」
「そう言う問題じゃ」


ない、と続けようとしたのだろうが、こんな言葉遊びではぐらかされては堪らないとランボは手を伸ばしてビアンキを引き寄せた。十年前とは違う。この手は意味ある戦いのために武器を取ることができるし、成長した体は守られるだけではなく、誰かを守る盾になることだってできる。頼ってくれたっていいじゃないかと願わずにはいられない。代わりになんてなれないと知っている。後釜に収まるつもりなんて初めからない。ただ他の特別になる資格が欲しいと贅沢な願いを抱いてしまっただけだ。ぎゅうと抱きしめる腕に力を込めると抵抗を止めたビアンキが苦しいと涙声で呟いた。


いきるものはどんよくでした

 







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