白蘭とレオナルド

 

「昔積み木遊びにはまっていたことがあってさ」
「どうでもいいこと突然話し始めないで下さりませんか白蘭サマ。グリチネ隊に呼ばれているのですが、今その話きかなきゃ駄目ですか?」
「いいんだよ、グロ君なんて待たせておけば」
「ですがそうも」
「だって今話したいんだもん。僕と君以外今この部屋にいないのに君がきかないで誰が聞くっていうのさ」
「空気でしょうか。もしくは貴方のひとりごととして処理させていただけたならと思います」
「冗談言っていないで聞いてよ。そんなに長くないはずだからさ」
「はずですか」
「もうレオ君可愛くないなぁ」
「褒め言葉として有難く頂戴します」
「まぁいいや。で、何言っていたっけ?」
「積み木遊びにはまっていたとか」
「そうそう、そうだった。幼い僕は大きな城とか作っちゃうくらい積み木が好きで好きでたまらなくて。作った作品なんて壊せなくて部屋の中積木だらけにして何日も城をつくっていたことがあったわけ」
「はぁ」
「その興味ありませんみたいな返事やめてくれないかな。それでね、積み木の城が完成して外観とか整えていた時にね」
「はい」
「壊れちゃったんだよね」
「・・・・・・」
「腕が当たったのかな。なんだったか忘れたんだけど、とにかく安定していたはずの土台がぼろりと壊れて、そしたらがらがらと文字通り音を立てて壊れたわけ」
「それで?」
「あれ、興味持った?」
「いえ」
「それだけだよ」
「・・・・・・」
「たったそれだけだったんだけど。飽きちゃったんだよね。二度と作ろうとは思わなかった」
「そうですか」
「その時に気づいたのはね、僕は作るよりも壊す方が好きなんじゃないかってこと」
「飽きたものは壊して捨てるのですか」
「そうだよ」
「僕もいつかは貴方が壊すのですね」
「んー、どうかな?」
「?」
「だってレオ君がつまらなくなるなんてないでしょ」
「・・・それは、光栄です」


にっこりと笑って見せれば、彼は辿々しくも確かに極上の笑みを作って応える。本質的に不器用な子どもが背伸びをして模る仮面が無様でそれがとても愚かで愛おしいと白蘭は思うのだ。







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