Rainbow



2018.5.19 Sat 20:23 :小説(サンゾロ)
寒がりな君に温もりを(サンゾロ)


その日は冷え込んだ。
ナミの予報では、雨だったら雪になっていたであろう冷え込み。

そんな日に限って、不寝番だったのはゾロである。

「さっみぃ…」

トレーニングルームから見える夜空の星は、空気が凍てついているからか、キラキラと輝いている。
体を動かして暖まろうかと考えたが、汗をかいてもシャワーを浴びられない番の最中なのだ、風邪を引く。

身を縮こまらせて、体の温もりを逃さぬようにしていると。

突如、バフっと何かを被せられる。

「うぉっ!?」

それが毛布と気が付いたのは、目の前に飲み物と食べ物を置かれてからで。

「夜食」

サンジの声を聞き、上を見上げる。

「何だよ、これ」
「毛布。寒いだろ?」

寒いだろ。
確かに、寒かった。

元々ゾロは、寒いのは得意では無い。
普段は強がっているのだが…毎度、鼻の頭を真っ先に赤くするので周囲にはバレバレではあるのだが。

「それから、ホットミルク」

飲み物を見ると、確かに湯気が立っている。

「どうせなら熱燗が良かった…」
「牛乳そろそろ消費しねえとやべーのよ、明日はパンケーキ地獄な?」
「甘いのは好きじゃねえ」

とは言っても、サンジの料理が好きなゾロは残す事なく食べ尽くすのだ。
そして、そう言いながら…夜食を食べていると。

「…生姜焼き?」
「生姜は身体を温めるんだぜ?それにお前なら夜食が肉でも平気だろ?」

心遣いを、感じられて。

「…あんがと、いただきます」

少し照れ臭く感じながらも、礼を言う。
しかしサンジはニヤリと笑い。

「お礼はちゅーでいいぜ♪」

等と、おどけて言うものだから。

「死ね」

と、真っ赤な顔のゾロに罵られてしまった。

こう言う所は、まだまだ初心なんだよな♪

ニヤニヤそう思っていた、一瞬の隙をつかれ。
唇に、唇を押し当てられた。

ポカーンとしてると。

「ごっそさん!」

ずいっ、と夜食の入っていた空の容器を出され。
ぷいっと横を向いてしまうゾロの後ろ姿を見ながら。

「…お、おう!また明日な!」

サンジはニコニコと笑みを浮かべた。
微かに見える耳が、真っ赤だったのは…きっと、寒さのせいじゃ無いと思いながら。

季節外れの寒さの中に、ほんのりとした温もりを。


END


追記に後書


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