Rainbow



2017.7.7 Fri 11:27 :行事系記念物
星に願いを(サンゾロ前提七夕話)※今月フリー



本日は、七夕らしい。
ゾウの上で、その事を思い出したのは…麦わらの一味の剣士、ゾロ。

現在、策を練り…二手に分かれて、作戦を遂行している最中である。

ゾウの上でも、見上げれば星が見える。
星の瞬きは、全てを飲み込みそうな…美しい物だった。

「…天の河」

恋人との、1年に1度の逢引の真っ最中であろう様子を思い浮かべて、ゲンナリする。

自分は未だ、そんな日数は経っていないのに。
恋しく、感じている。

「アホか、俺は」

頭を抱えて、溜息を吐くと。

「ゾロ屋、ここにいたのか」

聞こえて来たのは、同盟を組む海賊団の船長の声。

「…あんだよ、ローか」
「麦わら屋がいないと、お前達は名前で呼んでくるんだな。妙に、調子が狂う…」
「そりゃあな、ルフィに合わせて呼んでやってんだ。まあ、ルフィももうお前の名前は覚えてんだろうがよ」

気さくに話せる相手。
ゾロはそう感じている、ハートの海賊団船長。ローとは。

「…何をしていた?また、迷子か?」
「誰が迷子だ!しかもまたって…!」
「頭の中が」

言われて、驚いた。
確かに、ゾロの頭の中は…迷走していた。

何だかんだ言って、不安なのである。
自分の恋人が、無理矢理婚約をされていて。

彼奴は、俺を選んでくれるのか?
女じゃなくて、俺を。

どんな事情があるかは知らない。
けれども、もしかしたら…。

「やはりな」
「!!」

ローの声で、ハッとした。
奥歯を噛み締めて、自身の失態を呪う。

だが。

「ベポと眠れば、不安は和らぐぞ?」
「あ?」
「代わりにはなれんが、別の所が安心する」

ローの気遣いに、呆気にとられる。
あのローが。
そんな、気遣いを。

ゾロは、笑った。

「はっはっはっ!てめぇが言うな!目の下のクマ、取ってから他人(ひと)の睡眠不足を心配しろ」
「っ…!ゾロ屋は、夜に寝なさ過ぎだ。すぐに体調を崩すぞ。昼に陽の光を浴びていないと…」
「だから、外で昼寝してんだろ?」

死の外科医と呼ばれてはいるが、普通の医者なのだ。
笑いながら、天を仰ぎ。

「ロー、お前は七夕伝説って知ってるか?」
「?イーストの神話か何かか?」
「んあ?ノースには伝わってねえのか?そういや、フランキーもブルックも…チョッパーも知らなかったな」

片手間に教えて、理解したイースト以外の出身者。
ならば、と。

「星に、願い事をする日だ」

同じ海の出身者の恋人の事を思い浮かべながら…七夕の伝説を語り始めていた…。


無数の星に。
願いを、託して。


END


追記に後書





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