Rainbow



2017.3.14 Tue 08:32 :行事系記念物
真白の粉(旅・ホワイトデー)※フリー


ひらひら
ひらひら

小さな粉が、空から振り落ちる。

ひらひら
ひらひら

一面を覆い尽くす、冷たいモノ。


「ベビーパウダーみてえ」

厚着で外を眺めながら、出た感想が…何となく滑稽だった。

「粉雪かね?車で外出は出来ないぞー。あ、ココア」
「ん、さんきゅ」

サンジから渡されたマグカップに口をつけて、中身をゆっくり飲む。
ん、甘過ぎなくて好き。サンジのココア。

「せっかく、外行こうと思ってたのになぁ」
「いいじゃん、ゆっくり家で過ごそうぜ?」
「お前、最近出不精だな」

寒い日は炬燵で丸くなるのが賢いぞ?
くくく、っと笑ってサンジの手を引くと。

「ゾロの手、暖かいな」
「サンジの手が冷たいんだよ」
「そりゃさっきまで水仕事してたからな」

冷たい手。
洗い物をしてた、からと言っているが。
サンジは元々手が冷たい。

冷んやりしてる掌に触れられて…何時も、ふるりと震えるのは俺。

「隣に来いよ」
「おう」

少し横にズレて、俺の隣に招き入れる。
へへへ、と笑いながらサンジは。

「暖かいな、コタツ」
「ああ、暖かい」
「ゾロ」

コトン、と。
テーブルに何かを置いた。

「何だ?」
「何でしょう♪」

嬉しそうに微笑む、愛しの人。
何だろう…んー??

「わからない」
「正解は」

サンジが手を退けると其処には。
白い、粉…砂糖かな?が、降られた、青緑の、キャンディー。

「今日は、ホワイトデーだから。お返し♪」

…そっか。
今日は、ホワイトデー。

バレンタインデーの、お返し。か。

「あんがと」

知らずに、笑みが溢れる。

「ハッピー、ホワイトデー♪」
「ん、サンジ」

これを、くれたサンジの方を向いて。

唇を合わせる手前で。

「だいすき」

言ってやった。


真っ白な粉が道を覆う。
車通りも少なくなって。
音が、無くなって。

サンジと、2人きりで…幸せな時を過ごせた。


END

追記に後書あり



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