Rainbow



2017.3.2 Thu 00:11 :誕生日系記念物
1日の、過ごし方(旅・サンジ誕生日記念サンゾロ)


ドガッ!

気が付いたら、蹴られていた。
ドサッ、と床に倒れる自分の身体。

何故、蹴られた?
さっき、俺が言った言葉が原因か?

ーーーお前の過ごしたい様に過ごせばいいと思う。明日はお前の誕生日なんだから。俺にサービスなんかしないで、さ?お前の好きな様にーーー

この言葉か?
でも、何で?

俺は……。

「…おやすみ」

サンジは冷たい声でそう言って、何時もは一緒に寝ているシングルベッドのある寝室から出て行った。

怒らせた、怒られた。
ごめん、サンジ。
何がいけなかったのか、分からない。
でも、怒らせた。

サンジは何処に行った?
俺は何処にいる??

「サン、ジ…」

熱い頬に、冷たい何かが流れた。




気が付いたら、俺は横になっていた。
布団の中に入った記憶もない、髪を解いた記憶もないのに。

いつ、眠ったのだろう。
思い出そうとして、蹴られた事を思い出す。

「あっ…」

じんわりと、痛む頬。

…顔を合わせるのが怖かったけれど、冷やさないと…酷くなる。
意を決して、部屋から出ると。

……サンジは、いなかった。

普段なら、俺が起きるのが遅いと…笑顔で迎えてくれて…暖かい朝飯を出してくれて。

『おはよ、寝坊助』

そう言って、キスをしてくれる、サンジ。
でも、そのサンジがいない。

お前の好きな様に過ごせば?

そう言ったのは、俺だ。
サンジはきっと、好きな様に過ごしているに違いない。

でも。

「サンジ…」

誕生日、おめでとうくらい…言いたかった…。
大粒の涙が、頬を流れる。

「サンジっ…」

サンジがいない。
その事が、こんなに悲しい。

ごめんと言って、謝って。
おめでとうと、言いたかったのに。

言いたかったのに。

サンジは、いなくなった。

俺は、独り。

独りで。

どうやって、暮してたっけ。

「サンジぃ…」

依存してる、サンジに。
それなのに、強がって。

お前の好きな様に過ごせば良いって、言って。

「サン、ジぃっ…」

膝を抱えて、膝に顔を押し付けて。
流れる涙を、膝で受け止めて。

グズグズ泣いた。

好きなのに、愛してるのに。
…独り善がりみたいじゃねえか。

ごめん、サンジ。
謝りたかっ

「ごめん」

た?

ふわりと、背中から…抱き締められた。

「蹴っちまって、ごめん…痛かったよな?」

頬に、冷たい何かが押し付けられる。

氷嚢?

「ゾロの言う通り、今日は俺の過ごしたい様に、過ごさせてもらう事にした。…お前に、ずっと、尽くし続けて、今日は過ごす」

誰と問う前に、誰かは分かった。
でも、言ってる事が分からない。

「ごめんな、ゾロ…お前の言う事、何でも聞いてやるから…」

何で?

「どう、して…」
「ん?」
「今日…は…サンジの…誕生日、なのに…」

俺の事を、そうやって気にかけるんだ?

「ゾロが、好きだからに決まってんだろ?」

壊したい位に、愛してる。
耳元でそう囁かれて。

身体が、熱くなる。

それなら、俺はこう答えるしかない。
俺も望んでいるから。

「じゃあ…だったら…」

震えながら、サンジの方を向いて。
微笑むサンジの胸に、顔を押し付けて。


壊れるくらいに、愛し続けて、ベッドの上で。

そう、望んだ。
サンジの、誕生日。



END(...or...To be continued?)



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