ログイン |
のび太「ど、どうしよう!?」
ドラえもん「栗まんじゅうの時みたいに、大量のパパを宇宙に捨てるしか……」
のび太「そんなのダメだよ! パパを捨てるなんてとんでもない!」
ドラえもん「だったらジャンボガンや熱線銃で、余分なパパを焼き払うしか……」
のび太「もっとダメ!」
ドラえもん「う〜ん、弱ったなぁ」
ポコンッ
のび太「また増えた!」
ドラえもん「32,768人になったね」
TV『臨時ニュースです』
TV『東京都練馬区在住の会社員、野比のび助さんが増殖するという異常事態が発生しています』
TV『現在ののび助さんの推定人数は100万人以上……』
TV『総理は自衛隊の出動も検討しており……米軍にも応援を要請……』
しずか「あらやだ」
スネ夫「100万人っていったら、大きい市の人口と同じぐらいじゃないか」
ジャイアン「うちの母ちゃんは分裂できなくてよかったぁ……」
ウジャウジャ… ウジャウジャ…
のび太「ドラえもん! もう町じゅうがパパだらけだよ!」
のび太「しかも5分経つごとにどんどん倍になっていく!」
ドラえもん「こうなったら未来に行って、バイバインの効果を止める薬をもらってくる!」
のび太「頼んだよ!」
22世紀――
―未来デパート商品開発部―
科学者「バイバインの効果は止められんよ。どうにもならん」
ドラえもん「なんだって!?」
科学者「ま、諦めるんじゃな」
ドラえもん「そんな無責任な!」
ドラえもん「あなたの発明のせいで、過去の時代が滅びちゃうかもしれないんですよ!」
ドラえもん「どうするんですか!?」
科学者「むむむ……」
科学者「一つだけ……方法がある」
ドラえもん「どんな方法!?」
科学者「バイバインをかけられたオリジナルののび助氏が、強く念じるのだ」
科学者「“自分よ、元通り一人になれ”――と」
科学者「そうすれば、精神の作用がバイバインに働きかけて、元に戻れるかもしれない」
ドラえもん「実に科学的な方法だ!」
ドラえもん「よぉし、のび太君のところに戻ろう!」
―のび太の家―
のび太「遅いよ、ドラえもん! パパの数がもう1000万を超えちゃったよ!」
ドラえもん「解決方法が分かった!」
ドラえもん「一番最初の、オリジナルのパパを探すんだ!」
のび太「わ、分かった!」
ウジャウジャ… ウジャウジャ…
のび太「この中から探すのか、大変だなぁ」
ドラえもん「文句いわない! 世界がパパで埋め尽くされるかどうかの瀬戸際なんだから!」
ウジャウジャ…
のび助54「ぼくはオリジナルじゃないよ」
のび助10023「ぼくじゃないなぁ」
のび助365210「一人目のぼくは、多分あっちにいるんじゃないかな?」
のび助10548911「ああ、さっきあそこにいたよ」
ドラえもん「いた!」
のび助「あ、のび太、ドラえもん!」
のび助「ぼくがどんどん増えて困ってるんだ。早くなんとかしてくれえ」
ドラえもん「残念ながらぼくじゃどうにもならないので……パパがなんとかして!」
のび助「どういうことだい?」
のび太「パパ! 強く念じて! みんな、ぼくと一つになれって!」
のび助「分かった! やってみる!」
のび助「むむむ……」
ドラえもん「念じ方が足りない! ほらもっと強く念じて!」
のび太「世界の運命はパパにかかってるんだよ!」
のび助「よぉ〜し、ぼくの本気を見せてやる!」
のび助(画家を目指してた時の情熱や、ママと出会った時のときめき、のび太が産まれた時の喜びを……)
のび助(思い出すんだ!!!)
のび助「むむむむむ……」
のび助「みんな、ぼくと一つになれぇっ!!!」
バシュゥゥゥゥゥゥ!!!!!
……
…………
のび助「……!」
のび助「も、戻った! あんなにたくさんいたぼくが、全部いなくなった……!」
ドラえもん「やったぁ!」
のび太「さすがぼくのパパだ!」
玉子「よかったわ……」
ワーイワーイ!
TV『のび助さんの増殖が、のび助さんによってめでたく食い止められました』
TV『警察はのび助さんに感謝状を授与する方針……』
しずか「一時はどうなることかと思ったけど、よかったわ〜」
スネ夫「町じゅうがのび太のおじさんだらけになってたもんね」
ジャイアン「のび太のおじさんもやるじゃんか!」
のび助「のび太、ドラえもん!」ギロッ
のび太「はいっ!」
ドラえもん「はいっ!」
のび助「もう二度と、あんな薬をぼくにかけるんじゃないぞ!」
のび太「はい……」シュン
ドラえもん「ごめんなさい……」シュン
のび助「叱るのはこれくらいにしとこう。二人とも疲れたろう、今日はおやすみ」
のび太「おやすみなさ〜い!」
ドラえもん「おやすみなさい」