水道魔導器<アクエブラスティア>の前で倒れていた――らしい――所を、ユーリに拾われてからそこそこ経った。
唐突に異世界トリップなんぞという世界中の夢見るヲトメの妄想を実際に体験してしまった私は、言葉を濁しまくり、“記憶喪失”というセオリー通りの肩書きで、帝都ザーフィアスで下町生活をそれなりにエンジョイしていた。
下町のみんなは本当にいい人たちばかりだ。
もちろんユーリもだが、得体の知れない私に、とても良くしてくれる。
だが、そんな下町暮らしもそろそろ終わりのようだ。
「水道魔導器<アクエブラスティア>の暴走…魔核<コア>泥棒、ね…」
―――――物語が、始まる。
ユーリの部屋に例の“お楽しみ”袋をキチンと置いてきたらしいラピードをひと撫でして、笑う。
「行きますか、ラピード。ユーリだけじゃ心配だもんね?」
「わんっ!」
下町みんなに激励されながら逃げる、愛らしい桃色と愛しい漆黒を目指して、鮮やかな蒼と共に駆け出した。
2.君、逃走中
(ラピード…狙っただろ…おいしいやつ…って、おま…!)
(ぎゃ!ルブラン踏んじゃった!すまん!)
(…往生しろ、ルブラン…)
(ちょっとユーリさん、それ間接的に私に喧嘩売ってる?ねえ、喧嘩売ってる?)
(犬…?と、どちら様、です…?)
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《title by【モノクロメルヘン】大学生×高校生的告白から成功五題》
とりあえず基本設定確認と、こうやって原作入りましたよーってあからさまに繋ぎの話。←←←←←
主人公は前を走ってたラピードがわざと転けさせたルブランを避けきれずに踏みつけました。ごめんね小隊長どの!(^q^)←
「お、目、覚めたか。」
目が覚めて、目に飛び込んできたのは、黒髪の美人さんでした。
「―――――え…」
「アンタ、水道魔導器<アクエブラスティア>の前で倒れてたんだ。」
覚えてないか?と聞いてくるその人物はまさしく、
「―――――遂にキタコレ…!」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、なんにも?」
黒髪黒衣の俺の嫁<ユーリ>でした☆
1.今思えば"運命の出会い"
(キョトンとしたユーリを、軽く誤魔化した)
(お前本当に成人男性かよかわいいな!!)
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《title by【モノクロメルヘン】大学生×高校生的告白から成功五題》
これは一度やらねばと思った件について。←