連絡を取ってない期間は一カ月程度だったと思うのに随分と懐かしく感じた。
普段ボクの事を考えて連絡を控えてくれてるメイさん、それが遅い時間に電話。正直気乗りしなかったけど出たんだ、溜息交じりのもしもしに申し訳なさそうに出た謝罪、相変わらずのメイさんの声。優しい穏やかな声。

『ちょっと会えないかな。』

驚いたよね。殆どオレからのお誘いだったからってのもあるけど、メイさん本当に気を遣ってくれるこだから、こんな時間に唐突に?って。それでも時間かかって構わないならって言ったらわざわざメイさん自宅近くまでタクシー呼ぶとか言ってて、30分後位にはタクシーに乗ってメイさん宅へ行ったんだ。
家の前でメール送ったら静かに開いたドア。家族の方はもう寝てるから玄関先の灯りだけで、久し振りなんて微笑むメイさんは前見たときよりまた痩せたように見えた。
そのまま彼女の部屋に入って隣同士ベッドに座ったら肩に寄りかかってきたメイさん、暫しの間の後の一言がさ。

『やっと、想いが叶った。』

って。

先日思い人と会って、今までフワフワしてた関係にようやく名前が付いたと。幸せそうに呟いたんだ。

寄りかかってきていた彼女の肩に手を置いて、その顔を覗き込んで思わず本当に?って聞いたらうん、って。ただただ微笑む彼女を気付いたら抱き締めていたよ。

肩口が濡れてく感じで彼女が泣いてると分かる、その頭を優しく撫でると有難う、本当に有難うって。特に何かした記憶は無いんだけどね。

その後久しぶりに膝枕してもらいながら色々と話を聞いた、メイさん、私は本当に色んな人に生かしてもらっているだなんてさ。自分の性を受け入れて協力してくれた親にも、仲良くしてくれている友だちにも、恋人にも、そして夜にもねって。それに対してオレは可愛いって褒める位しかしてなくね?って言ったら、夜のお陰で女としての自分に少しずつでも自信がもてるようになったんだって。ホントに何ていうかなんて良い子なんだろうって思った。

メイさん、膝枕してもらうと頭撫でてくれるんだけど、ふとその撫でてくれてる左手をそっと掴んだ。包帯の巻かれてる手首と、白い手、細くて綺麗な指先、薬指に光るリングにちょっとはにかんだような笑み。

変な意味じゃなくて、なんて愛おしいこだろうって思った。


メイさん、あと少ししたら海外行っちゃうんだって、ちゃんと手術終える為にさ。
だから本格的にバタバタし始める前にどうしてもボクに会って話しておきたかったってことらしいんだ。それ聞いたら惰性で電話スルーしなくて良かったなあなんて。

なんか書きたいことがうまく纏められなかったけど、周りの友人とかには恵まれているんだなあって思ったんだよね。
もっと人の繋がりは大事にしないとなあともね。

とにかくメイさん、おめでとう。なんていうか本当にステキな縁だと思ってます。
もし何かあったらオレが嫁としてさらうからねなんて。


オレも早く幸せと思えるようになりたいなあ。