堕 楽

2012/07/15 23:34 :その他版権
Call Me!(トキハヤ)

うたプリ。トキヤとハヤトがそもそも最初から別人の双子設定 18禁




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「っ、ふ……」
幾度目かのキスに零れる熱い吐息。分厚くぬめる舌の味も、今日で覚えた。
ぐ、と後孔を貫く雄がまた質量を増す。蕩けた視界に映る中年の男の瞳は既に商売人のそれではなく、ただ欲情のままに腰を振る獣のそれだ。
がんがんと奥を突かれて、腰が跳ねる。甘えた声を出して、ハヤトは喉を反らせた。
「あっ、イく、イっちゃうよおぉッ」
返ってきた台詞が肯定か否定かは、もう覚えていない。
吐き出した自らの精が腹部を汚す温度を感じる頃まで、絶頂を迎えた意識はまともに働かなかった。
快楽の余韻。荒い息遣い。次の仕事の確約。
そうして漸く取り戻した理性が最初に見たものは。

「ト、キヤ……!?」

半開きの扉からこちらを見つめる、同じいろの双眸だった。













だん、と床に身体を叩き付けられて、ハヤトは痛みに顔を歪めた。
――あれから。
その日の仕事が終わるまで待ったのはトキヤなりの心遣いだったのかもしれないが、ならばいっそのこと帰宅まで待って欲しかった。
夜遅くでも収録があるテレビ局内の倉庫。
埃が薄く積もっている様子から人こそ来なさそうとはいえ、大声を上げれば廊下まで届く。そんな場所に、トキヤはハヤトを引っ張り込んだ。
奇しくもつい昼間にあられもなく番組プロデューサーに抱かれていた部屋の隣。
ぷち、と長い指が私服のシャツのボタンを外す。
「っ、トキヤ、」
馬乗りになられては逃げる場所もなく、ハヤトはただ顔を背けた。
白磁の肌。瓜二つの薄い唇が、音も立てずそこに落ちる。
「幻滅しました」
代わりに低い囁きが、耳朶をくすぐる。
冷たいのは指先か、声色か。更にボタンを外せば、薄い合成繊維は皮膚から滑り落ち開ける。
淡く色付いた胸の突起へと、トキヤは舌を這わせた。
「ひゃ、あ……っ!」
びくん、と細い肢体が震える。右側を舐めながら左側を掌で撫でてやると、すぐに吐息が甘い響きを孕む。
つい先刻聞いたのと、同じ声。
テレビの中にいる彼とは別の表情。男を誘い惑わせる、淫魔のよう。
「私は貴方のようなアイドルになりたかったのに」
吐き捨てるような言葉の残響は、ぴちゃりと濡れた音に消えた。
ハヤトは抵抗しようとすらしない。それがまた、トキヤの苛立ちを煽った。
潤んだ眼差しが、自分とあまりにそっくりで。
双子だから仕方ない、幼い頃から鏡映しのようだった。けれど今となってはそれも、忌まわしいだけ。
「あ、んッ、」
「まさか誰にでも脚を開くド淫乱だったなんて、ね」
全くの他人だったら、こんな想い、しなかった。
つ、とズボン越しに股間をなぞる。乳首を幾らか弄っただけなのに、ハヤトのそこは既に張り詰めているようだった。
容赦なくベルトを外し、下着ごと全て引き下ろす。案の定もう勃ち上がっている雄が、外気に晒されて微かに震えた。
女のように白い太股に手をかけ、脚を開かせ上げさせる。いい格好ですね、とトキヤは笑った。
それからすっと右手をハヤトの口許へと寄せる。
「舐めてください」
人差し指と中指を揃えて、唇へと宛てがう。無理矢理捩込むまでもなく、熱を帯びた舌がそれを咥内へと招き入れた。
くちゅ、ちゅぷと淫猥に唾液を絡ませる音。口で奉仕したこともあるのだろう、などとトキヤは考える。くすぐったいような甘い痺れがゆるりと神経を伝い、鼓動が少しだけ速くなる。
「ん、う……」
そうして美味しそうにハヤトがしゃぶるのを見ていたトキヤの心に、ふと悪戯心が芽生えた。
されるがままだった指を三本に増やし、付け根まで強引に咥えさせる。そのまま乱暴に、抜き差しを始めた。
手は小さい方ではない。短く切った爪の先は、容易く華奢な口の奥まで届く。
「んっ……!」
苦しげにハヤトが息を詰める。噎せ返りそうなのを堪えているのは、不意に目から零れ落ちた涙を見れば分かった。
そんな様子を確かめてにやりと口角を吊り上げ、トキヤは指を抜く。そしてハヤトが開放感に息つくより先に、唾液塗れのそれを後孔へと突き立てた。
「これが欲しいんでしょう?」
半ば無理に侵入したにも関わらず皮膚が裂ける気配は無く、如何にここが受け入れる器官とされてきたか分かる。
咄嗟に手で口を覆ったらしく、嬌声も悲鳴もトキヤの耳には届かなかった。何時までもつかな、と奥まで指を進める。
熱い内壁は絡み付いてくるように指を圧迫し、もっとと欲しがるようにきゅうきゅうと収縮する。
とんだ身体だ。今にも我慢出来ずに声を上げてしまいそうなハヤトを見下ろして、トキヤは冷たく問い掛ける。
「あぁそれとも、もっと大きいのが欲しいんですか?」
「あ、ふ……っ」
「おねだり出来たら、差し上げますよ」
初めて見る表情。――それが、許せなかったのだ。
アイドルの先輩として見ていた彼に幻滅したというのも嘘じゃない。そうした後ろ暗い世界を否定するわけじゃないけれど、可能なら見たくも知りたくも無かった。
でも。
それ以上に。
自分の知らないハヤトの姿を、別の男が知っている。それが、トキヤには許せなかったのだ。
双子の片割れ。誰より近しく、限りなく同一な存在。
そんな彼を乱して狂わせた輩がいることが、もう。
愚かな独占欲だ。幼子の我が儘のようだ。
自分でも、気付いていたけれど。

「きもちいの、ちょうだい……トキヤ」

名を呼ばれて、求められる。それだけで、こんなにも。
かっと頭の芯が熱くなって、欲望だけが身体を突き動かす。服を寛げ、これ以上何かするのももどかしいとばかりに膝裏を持ち上げた。
露わになった秘部が、誘うように蠢く。それどころかハヤトは手を伸ばして、自ら指でそこを開いてみせた。
濡れて糸を引く入口。くぱ、とひくつく蕾が淫蕩にぬめる。
はやく、と甘えた声。トキヤの自制心はもう限界だった。
ぐちゅっ、と生々しい音が薄暗い倉庫に響く。容赦なく楔は一気に最奥までを抉る。
「あ………っ!!」
声にならない声を上げて、ハヤトは快楽に身体を跳ねさせた。しなる背中に腕を回し、ぐりぐりと中を刺激する。
悦びに濡れる、焦点の合わない瞳。そこに自分だけを映したくて、トキヤは顔を近付けた。
呼吸を奪うようなキス。喉に張り付いていた嬌声が漏れて、咥内でくぐもった熱に変わる。舌先が弱いのか軽く噛み付くたびに内側が締まって、動いてもいないのに刺激が神経を駆け巡る。
頭が、おかしくなる。どうしてこうなったかだとか、この先どうしようだとかそんなこともう考えられなくて、ただ目の前の悦楽を貪ることだけに夢中になってしまう。
唇を離す。入れ替わりのようにまた声を抑えようとするハヤトの掌を、トキヤはぐいと引きはがした。
「や、ぁ、こえ、でちゃう……ッ」
「構いませんよ。何時もみたいににゃあにゃあ鳴いたらどうですか?」
誰か来たら、なんてことはもう意識の外だった。
狂わされていく。繋がる身体が全てになる。
ただ、離したくないと願うだけ。
もっと愛して、もっと酷くして、それで。
「あっ、あ、にゃ、ああああっ!」
「気持ちいい、ですか……? 淫乱猫さん」
「ふ、あぁ、きもちいれすぅ……っ!」
無意識だろうか、態とだろうか。ハヤトの腕が力無くも伸びてきて、トキヤの首に回された。
溶ける。溶ける。壊れていく。
ねえせめて今だけは独り占めさせて、なんて。
絶頂が近いのを感じながら、再びキスをする。
意味を成さない言葉のかけらが、口の中で蕩けて消えた。
くちゅり、溢れる蜜の味。
嗚呼もっと、もっと。
声を、聞かせて。





Call Me!
(愛してなんて言わないから!)




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bkm






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