気分屋 -書庫-
category:叙情
絶望発、羨望、希望経由、眺望行
9月26日 05:15
どうだ。
随分な景色じゃないか。
お前の見たかった景色だろう?
あとはここで舞えるかどうか。
でも、もう大丈夫だろう。
始めは遅く、中ごろより速し。
この列車は、あの日の時計塔に続いている。
車窓から見える景色はどう見えた。
上ばかりを見上げて、必死に足掻いた。
鳥のように飛べたら、蝶のように舞えたら。
でもそのうちに見えたのは、辛そうな鳥と、苦しそうな蝶。
どうして?
何故楽しそうじゃないの?
何故笑っていないの?
僕にとっては、「飛べる」だけで羨ましいのに。
あの日見た華やかなその舞台に自分も立ってみたくて。
あの人のように上手に舞いたくて。
走っては躓き、転んでは立ち上がって、それでもあの場所ばかり見ていた。
どうしたらたどり着くのか。
それしか考えていなかった。
僕の目標は、そのハードルを越えることだった。
怖い場所だ。難しい場所だ。
そんなことはわかっている。
でもそれだけでは夢を諦める理由として不十分で
むしろ一度くらい蹴り飛ばされて帰ってきたほうがいいんじゃないかとも思う。
自分が甘いってことはもう知っているんだ。
重圧なんてあるもんか。
絶望から帰ってきた自分にとっては、もうただそこで自由にすればいいんだから。
自分に出来ることしか出来ないんだ。じゃあそれをすればいい。
見たことないんだろ?あの舞台を。
そんな悲しいことってないよな。
そりゃあ進むスピードが違うわけだ。
見せてあげるよ。
僕が語り続けてた夢を。
そこまで拘り続けた舞台を。
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