気分屋 -書庫-

 category:叙情
体内時計塔
10月12日 17:45


気がつけば仰向けで倒れていた。

ここは何処だ。

確か時計塔の中だった。

そうか。

僕は堕ちたんだ。

遥か高く、遠くに見える時計の裏側

無数の歯車が寸分も狂わずに廻りあっている。


あそこから堕ちたんだ。

歯車に足を奪われて。

身体中が痛い。

外傷はないや。

なんだろう。


心がいたい。


そうしてまた、螺旋階段を登り始める。

元居た場所を目指して。

どこで踏み外したのだろうか。

思い当たる節はたくさんある。

それでもしがみつきながら

結局は真っ逆さまに堕落した。


階段を登るにつれ、不安が襲う。

本当に登れるのだろうか。

また堕ちたりしないだろうか。


また落とされたりしないだろうか。


もはや歯車は信じられない。

「大丈夫」という言葉すら信じきれない。

この堕落は余りにも怖すぎた。

でも登りきりたいんだ。

綺麗な景色が見たいんだ。


螺旋階段を登るにはコツが要る。

他人に認められ、自分を認め、自分を信じて初めて登れるんだ。

身体中がいたいけど

心の傷も癒えないけど

格好悪い登り方だけど

それでも認めてくれる。

こんな僕を目指してくれる。

だから登らなきゃいけないんだ。


また歯車に乗るときは

振り回されないように。


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