2014/1/10 Fri 14:16
夢を見た。

話題:突発的文章・物語・詩
海賊の話で小話。
以下本文




真っ赤に燃える甲板。
もうこの船は沈む。
壁に寄りかかって立てないでいる僕に彼は覆い被さるよう向かい合っていた。
頭から真っ赤な血を流し、胸には何かの柱だったものが突き刺さっている。
そんな彼が言うのだ、

――パム、お前は死んではいけない


*夢を見た


ひどい頭痛と吐き気、動悸に息切れ、僕の意識は一気に現実へと戻ってきた。
パッと目が開くが、現状を確認する間もなく吐き気で起き上がろうとしてベッドから転がり落ちる。
そのまま床に嘔吐した。
涎と胃液が少し。
何日食べてないのだろう?
痛いほどに空っぽだ。

「うえっ、げほ……うぅ、」

ぜぇはぁと肩で息をする。
やっと辺りを見回すことが出来た。
ここはセーイの病院だ。
よくお世話になる馴染みの場所。
そして見渡す事で新たな情報が脳に送られる。
この部屋には僕しかいない。
誰もいない。
何もいない。

僕は点滴の針を無理矢理抜いていた。
点滴棒は僕がベッドから落ちたときに倒れたらしく、横に転がっている。
止血をしない腕からは血が溢れたが、そんなのはどうだっていい。
僕は急いでセーイがいつもいる部屋を目指す。

「セーイ!!」

ドアを開けたその部屋には誰もいない。
心臓がギュッと誰かに握られたように苦しい。
胸を押さえながら今度は外の扉へ向かう。
転がり出るように外に出れば、昼過ぎなのだろうか?
暖かな日が降り注ぎ、町の人たちがいつもの日常を過ごしていた。
その日常に突如現れた僕に皆はギョッとこちらを見る。

「ミウェイザ、ミウェイザはどこ?」

人波に知る顔は無い。
ただ平和ボケしたその顔を見て少しだけ力が抜けた。
ヘタとその場に座り込む。

「アナタどうしたの、セーイさんの患者さん?」

誰かが僕に話しかけてくる。
そちらを向くと、1人の女が心配そうな顔をして近付いて来た。

「血が出てるよっ、大丈夫!?」

彼女の手が僕の肩に触れる。
薄い病衣越しに彼女の手の温もりが伝わった。
総毛立つようなざわめきが全身を一瞬で駆け抜ける。

「ごめん」

僕は彼女に抱きついた。
彼女の「え?」と戸惑った声を聞いた気がしたが、それよりも重なった心音の方が響く。
トクトクと脈を打つ。
生きてる。

安堵と同時に、抱き締めながらも冷えていく彼を思い出していた。
荒い呼吸が段々と弱くなり、歌ってと言う声も聞こえなくなる。
幼い僕は、歌っているから聞こえないのだと自分に言い聞かせて歌い続けてた。
身体がゆっくりと痛みを思い出す。

「もう少しだけこのままでいさせて…」

彼女の手がそっと僕の背中を撫でた。




おわり
***
夢占いって結構当たるよね。
久々に夢見たから、眠ることに対してトラウマあるパメラの話書いてみた。


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