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アリスと夢の住人と]T

「よー…し。ついたぜ!!;;」
「アリス、まだここは入り口だよ?」
「ぬぁあにぃい!!!??どんだけひれぇんだよ!!!;;」
「こっから女王自慢の薔薇庭園だぜ〜」
「…薔薇…」
「女王は赤がお好きなんだよ」
「白い薔薇が咲いてるけど?」
「直ぐにハートのトランプが来て真っ赤に塗るよ。ほら」

ペンキバケツと刷毛をもった、ハートの刺繍が縫ってある燕尾服を着た人達が急いで白薔薇を塗り変えていった。

「白も趣があると思うがなぁ」
「そんな事女王に言ってみろ!!首を刎ねられるぞ!!!

いきなりトランプの一人がこちらを向いて叫んだ。
余程こき使われているらしい…

「娘。まだ私を追いかけていたのか…一人で何をしている?此処は女王の庭だ。早急に立ち去れ」

「!白兎…!!」

城内側から白兎が現れた。
白兎も燕尾服にハートの刺繍が一つついている服を着ていた。

(チェシャ猫の野郎…こーゆー時に限って消えやがって…)

「俺はお前と女王に話があんだよ。」
「私はそれを聞くつもりはない。」
「ならお前を弟のところまで連れて行く。」
「…また帽子屋さんですか…もうその事は忘れたのだと思っていたのに…」
「それはお前が思い出したくない記憶事忘れただけだろ!!!」
「いいえ…帽子屋さんは人違いをしている。私に彼のような弟がいればさぞ嬉しいでしょうに…」
イラッ「…兎に角弟に会って話をしろよ…じゃねぇとその立派な耳を固結びしてやる!!」

「困った方だ…それ以上の戯れ言をほざいたら貴方にお仕置きしなければならなくなる。

口調は悲しんでいるような気がしないでもないが、白兎は楽しそうに歪んだ笑顔をしていた。

(不気味だ。まるで壊れた人形。…白兎…お前は本当にそんな奴なのか?赤を見すぎて狂ったのか?だから目が赤いのか?)

「嗚呼、勝手に殺傷を起こしてはいけないんだった…彼女に怒られてしまう…仕方がない…アリス。女王に謁見してもらいますよ。」
「…まぁ急展開なのはいつものことだ…いいだろう。連れていけ。」

────

「つまんないわ…こーゆー時って…誰かの首を刎ねたくなっちゃう…
「クイーン。それならトランプの誰かを呼ぼうか。きっと…綺麗な赤をまき散らしてくれるよ?」
「うふふっ!それは貴方がなってくれるの?それに今は私が刎ねたい気分なの」
「クイーンが望むなら構わないよ。」
「冗談よ!貴方と白兎が居なきゃただのつまらない世界よ。」
「それはそれは勿体ないお言葉を…」
「あら白兎!!帰ってたのね?会いたかったわ!」
「私も早く貴女に会いたかったんですよ。」
「いつ見ても綺麗な瞳ね…飽きないわ…」

(何なんだコイツらは!!!!ノロケは止めろよ!!!俺見えない!!?この部屋暗いもんな!!!)

そう、この謁見の間は蝋燭がポツポツとあるだけで、本当に見えにくい。
奥に進んだ白兎ももう見えなくなっていた。

「おーい皆さん…俺無視?」
「まぁw真っ赤な女の子ね!!白兎が連れてきたの?」
「ええ、貴女に会いたいと言っていたので」
「お手柄よ白兎!!もっと近くで見たい!!!」
「クイーン…自ら行かなくても…」
「私が行くったら行くの!!!」

(聞いたことがある…この声…このワガママな性格…知ってる…コイツは…)

コツンコツンコツン
コツンコツン
コツン

(コイツは…!!)

──コッ…

「すごい真っ赤ね!!貴女素敵よ!!名前は?」

(間違いない…!!俺の妹の…)

「かん…!!!」
「かん…?名前なの?」
「いや…アリスだ。」

(あっぶな!!名前もろ言いそうだった…;;妹殺すとこだった…あー危な…)

「素敵な名前ね!」

・・・next?

アリスと夢の住人と]

「何故だ?」
「俺の思い通りにはなっててくれないからさ」
「…聞くのは悪いかもしれないが…お前の此処に来た理由は何だ?」
「ない」
「は?」
「俺は兄についてきただけだから。兄が案内してくれたし、入るのは楽だった。」
「じゃあどうしてこんなところに来た。」
「そろそろ夢から醒まさせないと兄が"人"として生活できないかもしれないから。」
「…依存…か…まるで麻薬だな。」
「夢と現実の境が反転し始めてきた頃に持ちかけた話だった。…でも…手遅れだった。やっと追いついて話をしたら、俺の記憶なんて一つもなかった。…アリスならどうやって説得する…?…俺は説明したよ。効果はなかったけどね。」
「もう記憶までなくしてしまったのか!?…帽子屋…お前も…苦労したんだな…底までしようとした兄者に忘れられてしまうとは…っ」

(俺にも記憶喪失の時期があった…けど…家族の顔と名前は覚えてたから…どれほど苦しかろう…)

アリスは俯いた。これ以上帽子屋の顔を見ていたら、涙が出るかもしれないと思ったからだ。

「俺は白兎を追いかけて此処まで来た。此処で一夜過ごした時に。考えたんだよ。"コレは本当に兄の為なのか"とか"それどころか兄の幸せを奪おうとしているんじゃないか"とか…"そもそも此処まで来て兄を連れ帰ろうなんて自己満足なんじゃないか"ってな。迷い始めてからは早くて、三月ウサギに止められなくても此処に居座っていただろう」
「三月ウサギが止めた?何故そんな事を三月ウサギがするんだ?」
「…一人で泣いてたんだよ。無視してやろうと思ったけど…昔の兄を思いだしたから中々離れられなかった。それから懐かれてね、今に至るんだよ。」
「…後悔は…?」
「ないって言いたい。けど今からなくなる。…押しつけるみたいで悪いけれど…」
「白兎を連れて来いってか?」
「…出来る?」
「……やってやるよ…!!食うのもペットにするのもやめた!…お前のバカな兄ちゃん引きずってでも夢から醒ましてやる!!」
「憎まれ役になるんだぞ?」
「親ってそーゆーもんだろ!?」
「いや、母じゃないでしょ;;」
「父だ!!」

「尚悪いだろ!!!」
「お前が此処までやってきたことは決して間違ってない。俺が保証する!だからお前は此処で茶でも飲んで待ってろ!!直ぐだからな!!」
「……ありがとう…」

泣きながらそう宣言したアリスに帽子屋は笑った。
アリスはこういう時には人が良すぎる。

「話は終わったか〜い?」
「うわっチェシャ猫!!!??」
「嗚呼、話して良かった。本当に…完全に狂う前に話せて良かったよ。」
「そりゃよかったな〜」
「…お前も…狂い始めてるのか?」
「今日はまだいい方だったからね。まぁ演技もあるけど。」
「…ホント大変だよな。」
「そろそろ慣れた。」
「おやおや〜?さっき会ったばっかりでもうそんなに仲良くなって〜。あ〜わかった!!お前ら出来てんだろ!!!」
「…先にコイツ始末していいかな帽子屋。」
「おk。眠りネズミも大喜びだな…俺も手伝うよ。」
「ちょっwじょ〜だん!!そ〜ゆ〜とこは仲良く無くていいでしょ〜が!!!」
「で?最後に言いたい言葉は」
「城に行くならこの時間からのがいいから呼びに来たんですけど〜…」
「嗚呼なんだそーゆーこと。だったら早く言えよ殺しそうになっただろうが…」
「ははっ…すんませ…(泣)」
「じゃあな!帽子屋!!三月ウサギと眠りネズミには山に芝刈りに行くって伝えてくれよ!!」
「わかった。明日二人つれて川に洗濯しに行くよ。」
「ははっよろしくな!!」


────・・・・
side 帽子屋&三月ウサギ&眠りネズミ
・・・・────

「…ムニャ…ついていきたかったんじゃないの…?…アリスに…」
「何の話だよ。」
「夜中にアリスと話してたでしょ…僕はしっかり聞いてたから……ムニャムニャ…」
「だから何のだよ」
「…とぼけないでよ…僕は昨日白兎のこと初めて知ったけど…行きたいはずでしょ…?…ムニャ…三月ウサギなら僕に任せてよ…ムニャムニャ」
「ふっ…何寝ぼけたこと言ってんだよ。…それに三月ウサギはお前に任せられないだろ。おしゃべりが大好きなんだから、お前不眠不休だぜ?」
「ちょっとぉ!!二人とも手伝ってよ!!!」
「はいはい!…ほら、たまにはお前も手伝えよ。」
「もー言い出しっぺは帽子屋さんでしょ〜!?責任もって布団洗いしなさい!!」
「げっ…一番大変なの押しつけたな…」
「文句ある!!?」

"本日のお茶会は中止!洗濯パーティーはコッチ!→"

・・・next?

アリスと夢の住人と\

「嗚呼、眠りネズミはアレの話をすると大暴れするんだよ」
「ねから始まってこで終わる奴ね〜」

(ネズミだから仕方ないのだろうか…やたらデカい耳なだけあって、耳がいいんだな…てか)

「…何でもジャム塗りゃいいってもんじゃねぇぞ!!!??」
「けどトーストは美味しいよ」
「トーストはマーガリンじゃないか?」
「…チョコもいいよ…ムニャ」
「え〜ストロベリージャムだってば〜白兎もそう言うよ〜」
「白兎!!?白兎も此処に来るのか!?!?」
「うん!招待状を渡した人たちの中で、此処に来てくれる数少ない親友だよ〜!!」
「じゃあよく此処に来るのか!!?」
「今日も来てくれたよ〜さっきまで居たんだよ〜?」
「!!!キャタピラの時か!!」
「どうしたんだアリス…何でそんなに慌ててるんだ?」
「そうだよ〜」

アリスは机をドンッと叩きつけ、勢い良く立ち上がった。

「すまんもう行く!まだ茶貰ってないけどありがと!!」
「え〜もう遅いし泊まってきなよ〜小屋だけど…」
「夜の森は危険だって。」
「でも白兎に追いつかなくなる!!!会うなら早い方がいい!!!」

「…何故そこまで白いウサギにこだわる…逃がせておけば噛みもしないというのに…アリス、何を考えている?」

「……」

(空気が変わった…コイツ…平和ボケの狂った奴じゃないようだ…なんだこの気迫…白兎の仲間か?)

「もう寒くなってきたし…小屋でホットケーキでも食べようよ〜」
「ムニャ…僕先に帰ってるから…ムニャムニャ」
「…白兎に会いたいなら明日まで待てばいい…そうでしょ。焦る必要はない。城はすぐそこだから。」
「うぅ…」

────

結局アリスは小屋に招かれ、巨大化しないようにホットケーキと紅茶を交互にたらふく食べて、三月ウサギの言い分を断りソファーで寝かせて貰った。

とんとん…

(…ん?…なんだ?…)

「アリス起きて…話がある」
「…んぁ?…」
「外で待ってるから…」

(?帽子屋か…?…なんだろ?)

アリスは言われたとおり外に出た。三月ウサギを起こさないようにそっと。

「…話って?」
「白兎について。何で追っかけてるのか」
「…正直最初は腹減ってたから食ってやろうって、途中からは本能のままに追いかけてた…今は…色々聞きたいことがあるんだ。何かわかんねぇけど」
「…曖昧なのか。……アリスの"役"ってやつか」
「嗚呼多分な。…あいつが知りたくなったのかもしれない。何一つ知りもしないのに…可哀想だと思った。」
「…そっか…だったら教えてあげようか。白兎の過去。」
「え?」
「…まぁ座ってよ。寒いでしょ?ココア飲む?」
「嗚呼、頂く。」

小屋から出てすぐ近くのテラスに置かれた机と椅子。
二つ置かれた椅子に座る二人。
ココアは丁度いい暖かさで飲みやすかった。

「白兎は…俺の兄なんだ。」
「なっ!?」
「驚くよな。似てないし」
「…まぁな…」
「ほら、白兎の目、蒼かっただろ?現実もそうだったんだ。蒼目なんて周りにいないから、気味悪がったりする奴が居たんだ…殆どがそうだったけど。そのせいでハバにされたり虐められたりしたんだ。」
「そんな…!!なんて奴らなんだ…」
「…そう思ってくれて、兄も嬉しがると思うよ。…そんな毎日を過ごしてきたから、精神的にも肉体的にも病んできたんだ。身も心もボロボロになって…けど狂ったように俺の前では笑ってたんだよ。…憎いはずなのに…」
「…弟の前では…強がりたかったんだな…」
「多分…そうだと思う。…ある日兄は夢での話を聞かせてきたんだ。…白兎としての」
「!?夢は覚めたら終わりじゃないのか!??」
「白兎はこの世界の創造者、女王のお気に入りだ。女王にかかれば行き来なんて容易いんだよ。…兄は嬉しそうに話してたよ…"白兎になれば私を必要としてくれる人がいるんだ。目の事も言われないし、皆綺麗だって言ってくれるんだ"ってね。…それからこの国に通い続けてる…これが白兎の過去。」
「この世界がお前の兄の生き甲斐だったんだな。…そりゃ誰だってこの世界に居たくなるよな…」
「……俺は此処が嫌いだ…」

帽子屋は苦しそうに呟いた。
胸の中の憎悪を吐き出すように。

・・・next?

アリスと夢の住人と[

「いつのまにこんなところに…?チェシャ猫?」

チェシャ猫はもう居なくなっていた。いや、消えていた。
わかりやすく耳としっぽを最後までゆっくり消していった。

「…ご丁寧だなぁ…」

アリスは柵で囲まれた、外でのお茶会に入れて貰うことにした。
柵の中は、長いテーブルにイスがいくつも並んでいる状態だった。食堂の中をそのまま外に出したような空間。

「ありゃ?お客さん??」
「あ…どうもアリスです。」
「…貴方には招待状を出してないはずだけど…?」

一番奥の方のイスに座っている二人(一人と一匹)を発見した。
コッチに気づいた方は、茶色のうさぎ耳を生やした女の子。
二番目に口を開いたのは、帽子をかぶった男。
二人とも俺と同い年くらいだ。

「貰ってないとダメなのか?」
「ホントはね〜けど見ての通り誰もいないからいいと思うよ〜ね!帽子屋さん?」
「まぁね。どうぞ、そこにかけて。アールグレイしかないけどいい?」
「嗚呼、貰う。」

(…あーる…ぐれーってなんだ?Rが灰色なのか??)

「はい。アリスに回して。」
「わかった〜!!はいっ!アリス!!」
「お、ありがと…「そーいえばまだ名前言ってなかったね〜」

ひょいっ

うさ耳の彼女はアリスが紅茶を受け取る前に遠ざけてしまった。

(?…まぁいいか)

「三月ウサギって名前を貰ったんだ!」
「俺は帽子屋って名前を貰った。気に入ってはいないけどね」
「あと、あそこの。」
「あそこ…?」

帽子屋がちらりと見た方には、巨大なポットがあった。
いきなりフタがカタカタ鳴り、開いた。

「…僕は…眠りネズミ…だから…寝ます…ムニャムニャ」
「はっ…はぁ…」
「アイツはいつもあんななんだ。」
「けど淹れたてのティーは冷める前に飲むんだよ〜」

(夢の世界でも寝れるんだ…へー…てかマジでポットでかっ!!)

「…余程おいしいんだな…」
「うん!すっごく美味しいよ!!あっ渡してなかったね〜」
「あ…ありがと…「やっぱりティーは帽子屋さんに入れて貰う方がいいよ〜自分でやるとなんか違うもん。」

ひょいっ

イラッ(こいつ…まさかわざとやってないだろうな…?)

「毎日淹れてればコツも掴めてくるだろうよ。…それより」

『早く飲まないの?冷めるよ?』

「〜〜っだぁああーっ!!!渡してくれないのはどっちだよぉぉ!!!」
「あれ?そうだっけ?」
「全然覚えてないけど?」
「このやろぉ〜…!!」
「まぁまぁ、ケーキでも食べようか。」
「さんせー!!」
「ちくしょっ!話をかえんな!」
「ムニャムニャ…ケーキ…?…ケーキばんざーー…い…」
「こら!それは俺の手!ケーキはコッチ。」

眠りネズミがいきなり動き出したと思ったら、フォークで帽子屋の手を刺しそうになった。
目を瞑りながらケーキを刺そうとするからこうなるんだ。

(うわぁ…だから左手に包帯巻いてあるんだー…グロテスクー…)

「お大事に…」
「え?嗚呼、どうも。けどこんなのジャム塗ってれば治るから。」
「…ジャム…?」
「うん!ストロベリージャムだよ!!」

(嗚呼…コイツらも狂ってんだったな、納得…けど刺し傷にジャムか…またまたグロテスク)

「チェシャ猫の言ったとおりだな…ははっ」

「ムニャ!"猫"!!!?」

眠りネズミの入っているポットがガタガタ揺れ始めた。
どうやら眠りネズミは興奮しているみたいだった。

「わわっ!!やばい!!!」
「アリス!!早くジャムを!!」
「え?えっ何?何事!?」
『いいから早く!!!』
「わっわかった…ほら」
「眠りネズミ!鼻出して!!」

ぺちゃっ!!

「うぅぅ…ムニャムニャ」
「コレで一安心だね〜…」
「え?はい?」

眠りネズミは何事もなかったようにまた眠り始めた。

・・・next?

アリスと夢の住人とZ

「お前がチェシャ猫か?」
「そ、俺が様よ」

振り向いたら、木の上にふせの状態でこちらを伺う、猫耳と大きな尻尾を生やした、全体紫とピンクのしましまなチェシャ猫がいた。

「やたら態度でかいなお前」
「偉いも〜ん俺。少なくともお嬢さんよりは〜」

(いっぺんど突いたろかこいつ!!)

「君名前は貰った?」
アリスを貰った。城に行く道を、キャタピラ…今はバタフライに聞いたらお前に聞けと言われた。」
「お〜!!キャタピラやっとバタフライになったのか!!長かったな〜マンネリし過ぎてたからな〜よかったよかった」
「それで、城へは何処から行けばいい?」
「ど〜しよっかな〜此処までこれたら自分で行けそうじゃん。俺そこまでする義理ないもん」
「…嗚呼そうかよ。じゃあお前に会うことはないだろう。さようなら」

どすどすどすどすどすどす

「あっれ〜?怒った〜?」

チェシャ猫はいきなり消えたかと思ったら、すぐ横に現れた。

「……」
「え〜!!無視はやめてよ!!泣いちゃうよ俺!!」
「泣けばいいだろ。」
「やだよ〜泣いたらどっかの誰かさんみたいに洪水おこしちゃうから〜」
イラッ「……何でついてくる」
「いや、アリスが俺の行く方向についてきてるんじゃん。」
「お前いい加減にしろ!!!どんだけ人をおちょくれば気が済む!???」
「へへっ飽きるまで〜」
「…呆れた」

アリスは大きなため息をついた。チェシャ猫は相変わらずニヤニヤ笑っている。
気味が悪いくらいに。

「ねぇねぇ〜何で城なんて目指してんの?」
「白兎と女王に会うために」
「なんで?」
「白兎をペットにでもしてやろうと。」
「けど白兎は女王のペットだよ〜?」
「奪うっていうのも楽しいんだぞ。」
「ふ〜ん。女王は?」
「此処がどんなところで何のためにあるのかを聞くために。此処の住人は毎日何をしているのか。…この世界の持ち主ならわかるだろ。」
「…そんなことが知りたいの?物好きだね。」
「俺は真っ当な事を言っていると思うが?」

「この世界は現実から逃げた負け犬共が傷を舐め合って生活している狂った世界。この世界の住人は皆狂ってるんだ。」

「…現実から…逃げた?」
「そ、虐めを受けて引きこもった奴。親が殺されて狂った奴。その他諸々の理由で此処にきてしまうんだ。狂ったら皆苦しんでた事も忘れちゃうんだ。"役"があるし、本当の名前で呼ばれることもないからね。」
「……」
「誰も帰ろうとしない。帰る理由なんてない。それどころか、最初からこの世界に居たと思っている。…俺もどんなことがあって此処にきたのか忘れちゃったし〜」

(じゃあ白兎も女王もバタフライもトゥィートルディーもトゥィートルダムもドードー鳥もビルも…俺も…皆現実から逃げて此処に来たって言うのか?)

「アリスはどんな理由で此処に来ちゃったの?」

「おっ…俺は…?」
「にひひ!大丈夫〜詮索するつもりないからさ〜」
「………質問していいか?」
「ん〜?なになに〜?」
「白兎って…目の病気か何かがあるのか?」
「あ〜見ちゃったんだ〜」
「…とても恐ろしかった…」
「う〜ん…白兎の仕事モードみたいな?白兎は"役"に頼るようになってから、二重人格みたいになったんだよ。普段は優しい青年。けど仕事の時は誰よりも狂ってるかもね。」
「…二重人格な感じはあったな…けどそんなになるほどの仕事って?」

処刑人だよ!!」

アリスはその場で硬直した。
もし、白兎を追いかけて下手なことをすれば、その白兎に処刑されていたかもしれないと考えるとぞっとした。

(元はと言えば、アイツを追いかけて此処に来たんだから…可能性は…)

「…白兎の主人格は…?」
「さぁね。」
「……」
「ほら、お茶でも飲んできなよ。待ってるから」

チェシャ猫が指さした方には、"お誕生日じゃない日万歳!お茶会はコッチ!!→"とかかれた看板が立っていた。

・・・next?
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