「フォア先生、また名前間違えてる」
赤い瞳が、書類から顔をあげて告げる。
その煌々とした意思に負けじと、言葉を返した。
「……いぇ、フォファーが本名です」
何度説明すれば良いのか。
軽く頭を抱えたくなった。

「先生、また名前間違えてるよ」
「くすくす、寝てばっかりいるからじゃない?」
カナリア学園高等部、冒険学科。の廊下で。
「お前ら、聞こえてるぞ! まぁフォア先生じゃ怖くないけどさっ」
おい。
携帯している木製のナイフを投げたくなったが。我慢する。
ぎりっと悔しさに歯噛みする。
学生時代からそうだが。
フォファーって言いづらいのか?

(End?)