cic tac

am 6:00

彼からの着信

ああ、やってしまった！と、
寝癖を隠すように
ニット帽をかぶって
いそいで家をとびだした。

だけれど結局、
約束していた
初日の出鑑賞は
わたしの寝坊で
果たされずに終わってしまった。

新年最初の彼への挨拶は
"ごめんなさい"だった。

彼は、
"会えただけで満足だ"と
言ってくれた。

ほんとうに、ごめんなさい。


予定を変更して 初詣へ。
神社に向かう途中、
わたしは、朝日にきらめく
彼の鼻水をみた。
ずっと、
ずっと、
隣で 鼻をすすっていたから、
いつか 垂れるだろうなあ
と、思っていた。
人通りのすくない道路で、
2人で けらけら笑った。

お参りして
おみくじをひいて ( 中吉 )
わたしの最寄りの駅まで
もどって 朝ごはん

お店のエアコンのほこりで
彼の鼻水は とうとう
止まらなくなってしまったから
改札まで 見送って、別れた。


帰りは 車道の真ん中の
白線の上を 自転車で辿って
帰ってきた。

静まり返った交差点の
信号は信号の意味を
成さなかった。


2013

今年も どうぞ
よろしくお願いします。