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虹の光彩

記憶喪失萌え回路をドコドコ殴られて瀕死寸前やでえ…

純黒の悪夢を見て「これがpixivで人気の…」
となって、キュラソーに惹かれて最後の最後で軽く鬱になった。

知らなかったんや…死ぬとは思わなかった…
組織を抜けてFBIとかに保護してもらうのかなとか甘く考えていたんや…


記憶の中でずっとふたりは生きていける作戦に入るしかない。コナンに心を抉られるとは思わなかった(´;ω;`)

vampire

出口の無い部屋に拘束された女が一人、厳つい椅子に座らされている。目隠しと口枷を外してやり、乱れた髪を梳いてやる。長いまつげが震え、ゆっくりと瞬くのを、歓喜に打ち震えながら見守る。ダークブラウンの瞳に映ったわたしの、歪んだ笑みといったら。

「一番最初に噛んだ相手を覚えていますか」
「覚えていない」
「では、眷属にした人間は」
「……居ない。出来なかった」

ああやはり、失敗したと思い込んで、手厚く葬って、そして墓から出てきたのを知らないのだ。暗い土の中で産まれた愛と狂気を。憎しみの矛先を。

「生きているのね」
「ええ、今は何処に居るのか分かりませんが、必ずどこかで」
「会えるかしら」
「会ったら殺してしまうよ」

唇からあの男の声が鳴る。毒と蜜の絡んだ甘い声だ。
彼女は酷く嬉しそうに微笑んだ。

「待っているわ」


寝静まる夜 二人だけの密

ヒビカセ×echoのMMDが最高すぎる

天使と悪魔

落ちこぼれと呼ばれる所以の一つに、狩りの成功率の低さも関係している。滅多に無いことなのに、目星をつけた可愛い獲物を天使が救済するのだ。仕事で依頼されて狩る時は問題なく遂行できる。しかし、琴線に触れて心の底から欲した獲物は堕落させる途中、あらゆる方法で天へ導かれ、食いっぱぐれる羽目になる。勝率は七割を切っている。

神に使えるもの、神を心から信じ、穢れのないもの、神父やシスター、熱狂的な信者はリスクが高いから余程の物好きでなければ攫わないし、それ以外の人間を餌食にするならば大抵は黙認されている。のにも関わらず今こうして姿を現した天使。見張られていて、罠に嵌ったのだ。
千香だって物好きではあるが馬鹿ではないので、シスターを狙ったりはしない。それなりに調べたけれど、神を信じてすらいなかった。天使の矢を飲み込むほどの神聖ならば、悪魔に解らない筈がないのに。
悪魔である千香が天使に捕らわれる。拷問でもされるのだろうか。

「ねえ、見逃してくれないかしら。知らなかったのよ、その子がシスターだったなんて。」

肉体の再生が遅く、舌がもつれる。声が出ることが不思議なくらいだ。満身創痍の悪魔に天使が近づく。

「今回ばかりは、見逃されへん。神様のお気に入りに手え出したんや、諦めや」

髪をぐいと持ち上げられ、尊大な天使様と無理やり目が合う。萌葱色の瞳がにんまりと細められ、悪魔も形無しの邪悪な笑みを浮かべた。包帯の巻かれた腕が千香の背中に伸び、黒い羽を根元から毟る。もう悲鳴も出ない。

「へえ、悪魔も血は紅いんやな」

一対の羽根が瞬く間に燃え、消し炭も残らず消えた。羽が生えるのは時間がかかる。傷痕も焼かれてしまったので、皮膚を引き裂いて新たに生える頃には、悪魔としての意識を保っていられるだろうか。





トリコロール・プレイ

天使と悪魔。

悪魔のお仕事は人間を誘惑し堕落させ、魂を喰らったり、部屋の調度品にしたり、仲間に加えること。千香はいづれもあまり好かなかったので、悪魔の世界ではまあまあの落ちこぼれだった。別に、人間が可哀想だからとかカマトトぶっている訳じゃない。彼女の主食はその辺で叩き売りされている薄味の、人間の魂を真似た粗悪品だ。滅多に買うもののいないそれを大量に買い込み、時間きっかりに消費する。そんな食生活を送る彼女を、多くの悪魔は見下して笑う。狩りの仕方が分からないのかい、なんて言って、採れたての魂を分けてくれるお節介な奴らの食べかけは、一様に不味かった。

千香だって一介の悪魔なので、お仕事に否はない。ただ、自分の口に入れたり、部屋に飾ったり、傍に置くのならば、『それなり』のものでは満足出来なかった。異様な程の偏食家で、心底気に入った人間しか魂を取り入れない。定期的にはいる仕事では条件に合う人間を堕落させ檻に入れて雇い主に渡して金を受け取って終わりだ。気に入ったのがあったら持って帰ってもいいよ、なんて言われているが、もちろん今まで一度もない。

そんな彼女だが、半世紀ぶりに胸騒ぎを感じた。美味しそうな魂の匂いがする。久し振りの空腹感に、悪魔の本能がナイフとフォークを打ち鳴らして喚いている。やっとご馳走にありつけるのだから仕方ない。知らぬ間に垂れていた涎を拭い、飛び切りのお洒落をする。あの子はどのようにして可愛がろうか。

今までのパターンとしては、悪魔的な甘言で意識を混濁させたのち、我が家に連れ帰って少しずつ魂を削り、アクセサリーにしたり舐めたり吸ったりして尽きる寸前まで楽しんで、最後に正気に戻して絶望と憎しみと恐怖の叫びを聴きながらその全てをお腹に収めておしまい、という、流れ。

今回もその流れに沿って順調に堕ちるはずだったのに。

すべらかな胸元に刻印を施そうと唇を寄せた瞬間、唇が焼け、脳に滅茶苦茶な痛みが走った。無我夢中で女を手放し、真横に飛びさる。カカカ、と軽い音を立てて光の矢が女の体を貫いて、消えた。しまった。アレはシスターだ。しかも、極上の加護付き。

「其れは神のモンやから、諦めてな、悪魔さん」

遂に正当な理由を与えてしまった。



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