昔の市営住宅(今の古い感じです)は、外階段がいくつもあり、一階につき二つの住居のドア、というものでした。
私達はいくつかある階段の中の、手前から3番目を駆け上がりました。
せまい踊り場の階段の壁にかくれて、「コワイ〜」と声をひそめて言いながらしばらく2人で手を握り合って震えていました。すると
「キーコ、キーコ・・・」
また三輪車をこぐ音が聞こえてきたのです!
もう私は半泣きでした。でもあれをやり過ごせば帰れる・・・と思い、じっと我慢していました。
「ギーコ、ギーコ・・・」
音がだんだん大きくなり、こっちに近づいてくるのは見えなくてもわかりました。
踊り場からは外が見れないのです。
たとえ見れても怖くて見れなかったでしょうが。
「ギーコ、ギイー」
「!!!!!!!!!」
三輪車が止まりました。誰かが降りる音もしました。
下で、です。
そして、「コツコツ・・・」と階段を上がる音が・・・。
それは紛れもなく私達のいる階段を上ってきているのです。
「コツコツ・・・」
勇気を出して階段を覗き込みました。
「!」人の頭が見えました。
それはあの変な・・・チューリップ帽でした。
「ぎゃああああああああああああああ!!!!」
私達は限界でした。
泣きながら、狂ったように横のドアのベルをピンポンピンポン鳴らしまくり、ドンドン叩きまくって、
「あけてー!!助けてー!!!」
そこの住人のおっちゃんがドアを開けたとたん、「うわああああああん」
2人で部屋に土足で飛び込みたどたどしいながらも説明をしました。
そして、親に電話して迎えに来てもらいました。(そのあとたっぷり怒られました)
おっちゃんが下を見に行ったら、その浮浪者はいなかったとの事。
ほんとに体験した出来事なので、オチがなくて、ごめんなさい。
今でも不思議なのは、あの浮浪者なんで私達のいるところが分かったんだろうって事。
なんかヒントでも残してたのかな・・・?
幽霊より、ドキュソが怖い私です。(ちなみに高校行って、まじめになったよ)
大人になって思うことは、一番怖かったのは市営のおっちゃんじゃないでしょうか。
だって夜中に涙と鼻水だらけで、家の中に突進して来る女の子2人って・・・。