俺が高学生の頃の話。
同じクラスにいじめられっ子のT雄とゆう奴がいた。
チビで運動神経が悪く何を言っても黙ってうつむいてる奴だったので、クラスの皆が調子に乗っていじめていた。
ある夏休みのこと。
サッカー部だった俺は学校で1週間の合宿があった。
昼間T雄を何回か見かけたのでMという友達に言った所、「あいつは化学部らしいぜ。部活だろ?」と言われた。
そして合宿6日目の夜俺とMは驚愕の一夜を過ごす事になる・・・。
連日の練習のせいで俺は布団を引くと共に眠り込んでしまった。
ところが、熱帯夜のせいで喉がカラッカラに渇き夜中の2時に目がさめた。
思わず俺は、簡易冷蔵庫にあったよく冷えている麦茶をいっき飲みした。すると突然体の体温が下がったのかブルッとして尿意を感じトイレに行くことにした。
そーっと教室のドアを開け出て行こうとすると「俺も行く」とかみ殺したような声が聞こえた。布団から誰かが出てくる。Mだった。
「ビックリさせんなよー。ビビるじゃねーか」
Mは30分前からトイレに行きたかったらしいが、1人で行くのが怖かったので我慢していたらしい。
俺たちは笑いながら校舎の長い廊下をトイレに向かって歩いた。
廊下の窓からフッと外を見ると、1つのプレハブ小屋の明かりが目にはいった。
誰かいるのか・・・?
その時人影がプレハブ小屋にスーっと入っていくのが見えた。
T雄だった。
俺たちはT雄が何をしているのか興味を持ち、連れションの後見に行くことにした。
文科系に合宿なんてあるか?と思いながら・・・。
プレハブの入り口に着いた。ボロい木で看板がかかっている。
「化学研究 同好会」
同好会だから化学室は使わせてもらえず、元物置小屋だったプレハブ小屋を部室にしていたのだろうか?
ちゃちな窓から中が覗ける。俺たちは「オナニーしてたりして」など、夏休み明けにクラスメート達に話すネタができた事を内心よろこんでいた。
ソーっと覗く。バレないように。
T雄は中にいた。
椅子に座り後ろを向いて、体の上半身を小刻みに揺らしていた。
「わはは・・・、マジでオナってんじゃねえのか?」
「こっち向け。こっち向け。」
俺たちは笑いたいのを我慢し、小さな声で話していた。