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■恐怖新聞Zへようこそ

どうも初めまして。
恐怖新聞Zの管理人、且つ自宅警備員をしております。

今まで集めた怖い話や実体験談をまとめています。

現在、所持している話数が膨大な量の為、
随時UPしていきたいと思います。

ごゆるりと御閲覧頂きたく願います。

お気軽にお越しくださいませ。


自宅警備員より

傷 14

マサさんと俺は彼女の話を聞き、それまでの経緯を全て話した。マサさんの目は怒っていたが、ふうーと息を大きく吐くと口を開いた。「これは一種の呪詛ですね。家の代々の守護神を祭神にして、自分の妻を生贄に娘を呪物に仕立てた悪質な呪詛だ。しかも、特定の人物ではなく朝鮮人なら誰でも良いといった無差別のね。更に、呪詛はあなた自身にも向けられている。お父上は相当な力をお持ちだったようだが、その魂は地獄に繋がっているようですね」呪詛は呪詛を掛けている事、掛けている人物が割れると効力を失うそうだ。容易に呪詛を返されてしまうからだ。しかし、本件では呪詛を仕掛けた本人は既に死んでおり、しかもその力は強い。先ほどから襖の向こう側から猛烈に嫌な気配が漂って来ている。マサさんは女に「奥の部屋に仏壇か遺骨がありますね?」と尋ねた。女は仏壇がありますと答えて、襖を開けた。俺は思わず「うわっ」と言った。マサさんの「井戸」の周りで「観た」ものと同質の、目には見えないものが仏壇から溢れ出てきていた。これはやばい!マサさんは女に位牌と父親の写真を額から出して持って来いと言った。そして、母親の写真を持って俺と一緒にキムさんの家へ行けという。状況がかなりやばいことだけは判った。恐らく、マサさんの言葉で呪詛が破られ、悪霊の本体が動き出したのだ。俺は女の手を引いて表で待っていたキムさんの車に乗った。キムさんはすぐに車を発進させた。キムさんは凄いスピードで車を走らせる。片側2車線の大通りの交差点を赤信号を無視して突っ切る。背後の交差点からブレーキ音が聞こえる。信号を3つほど進んでキムさんが車を止めた。結界の外に出たらしい。女の部屋を訪れる前に、俺がキムさんの家で寝込んでいる間に、土の露出した土地を探して、出来るだけ形を整えて結界を張ったのだと言う。市街地ゆえに結界が予想以上に大きくなってしまったらしい。


キムさんの家に着くと、俺の腹の中や皮膚の下で蠢く虫のような感覚は消えていた。体が異常に軽い。こんなに体調が良いのは何年ぶりだろう?女の顔も血色が良くなっている。マサさんは翌朝キムさんの家に現れた。マサさんは女に「お母様の供養をしてあげてください。それと、神棚を作って実家で祀っていた神様を大事に扱って下さい。あなたのことを守ってくれるはずですよ」と言った。女を家に送って部屋を確認すると、これが同じ部屋かと思うくらいに雰囲気が明るく変わっていた。位牌と女の父親の写真も無くなっていた。父親の霊がどうなったかは聞かなかったが大方の予想はついた。マサさんは道具を整えてもう一度「念のための」儀式を行ったが、悪霊の類は食い尽くされて残っていなかったそうだ。

俺とマサさんは前と同じように車を乗り換えながらPの待つあの場所へ戻った。

Pの話だと、マサさんが女の部屋を祓った晩、井戸から耳には聞こえないが頭の中に響き渡るような地獄の底から響いてくるような低い「鳴き声」が聞こえたそうである。そして、朝になると体からすうーっと何かが抜け出ていったのを感じたのだという。それは、井戸に吸い込まれては行かなかったらしい。土地と俺達の縁を切る儀式を行い、俺達は歩いて結界を越えた。まるで何もない土地であるかのように、今度は何の抵抗も感じなかった。

俺たちは、往きに立ち寄った電気量販店の駐車場でキムさんの車を待っていた。車の中で、俺「あの仏壇の中身は、今は井戸の中なのですか?」マサ「ああ」P「井戸から聞こえた声は?」マサ「鬼の哭き声だ」「あの井戸の中身もいつかは浄化されて消えて無くなる日が来る。奴らもその日を待ち望んでいる。その日はまた遠くなったけれどな。お前達に憑いていた悪霊の声なのか、井戸の中にいたものの声なのかは俺にも判らないよ」「で、久しぶりの娑婆だ。お前達、何がしたい?」P「酒」俺「女」マサさんは鼻で哂った。キムさんの車がやってきた。俺達はマサさんの車を降り、去ってゆくマサさんを見送った。

終わり

傷 13

ドアを開けたとき女はギョッとしたような顔をしていた。マサさんと話しをしている時も俺のことをしきりと気にしている様子だった。思い切って俺は女に理由を尋ねてみた。女は震える声で語った。女の話では、ホテルが建って暫く経った頃から、昔住んでいた家の夢を良く見るようになったそうだ。家の中には幼い自分一人しかいなくて、家族を探して広い家の中を歩き回るのだと言う。そして、いつの間にか目が覚めて、涙を流しているのだと言う。ある晩、酷い悪夢を見たそうだ。風呂場と自分の部屋で繰り返し、何度もレイプされたのだという。夢と現実の区別が付かないほどリアルな夢だったそうだ。気が付いた時、自分の手に刀が握られていたそうだ。彼女は恐怖と怒りや憎しみで我を忘れて、彼女を犯した男を切り殺したと言う。その男が俺だったと言うのだ。それ以来、彼女は毎晩悪夢に襲われるようになった。客に付いた男達が彼女を酷いやり方で襲ってくるのだという。彼女が恐怖と絶望の絶頂に達した時に手に刀が握られていて、彼女は恐怖と怒りに駆られて、我を忘れて刀を振るったのだと言う。しかし、その悪夢は一月ほどすると見なくなったと言う。その代わりに急に体調が悪くなり、仕事中にボーッとして、接客中の記憶をなくしてしまうことが多くなった。生理も止まってしまったらしい。また、彼女は暫くすると新しい悪夢を見るようになったそうだ。目の前に小さな男の子が2人いて、自分はいつもの刀を持っている。そして、鬼の形相の亡くなった父親が彼女を棒や鞭で叩きながら目の前の子供を斬り殺せと責める。父親の責めに負けて刀を振るおうとすると母親の声がしてきて止められるのだという。


マサさんは女に「あなたのお父様は自殺なさったのではないですか?お母様もそのときに一緒に亡くなられたのではないですか?」と尋ねた。マサさんが言うとおり、彼女の両親は彼女の父親の無理心中により亡くなっていた。彼女の父親は朝鮮人に対して激しい差別意識を持って嫌っていたらしい。しかし、彼女の父親に金を貸したのは在日朝鮮人の老人だったそうだ。彼女の祖父に戦前世話になった人物で、破格の条件で金を貸してくれていたそうだ。バブルの絶頂期、手持ちの株などを処分すれば、それまでの借金は十分に返せたと言う。彼女の母親も強く返済を勧めていたそうだ。しかし、彼女の父親は「朝鮮人に金を返す必要などない。家族のいない爺さんがくたばればチャラだ」と借金を踏み倒す気でいたらしい。彼女の父親の話は聞いていて胸糞の悪くなる話ばかりだった。彼女も母親は慕っていたが父親の事を嫌っていたようだ。バブルが弾け彼女の家の資産は大きなマイナスとなった。マイナスを取り返そうとした父親は悪あがきをして更に傷口を広げた。金策が尽きた父親は老人に更なる借金を申し込んだが、断られた。その過程で彼女も借金の連帯保証人となった。彼女の父親は娘を連帯保証人にしても当たり前で、借金を断った老人と朝鮮人を呪う言葉を吐き続けたそうだ。間もなく老人は亡くなり、相続した養子も不況の煽りで破産した。老人の持っていた債権は悪質な回収屋の手に渡った。土地や屋敷を失い、それでも残った多額の借金に追われ自殺した彼女の父親の遺書には恨み言しか書かれていなかったそうだ。

彼女は母親の死を知っとき、勤務していた会社の給料では借金の利息も払いきれず、風俗で働く事が決まったとき自殺を考えたらしい。しかし、その度に母の霊に止められたそうだ。

傷 12

俺は半年目にして初めて敷地の外に出ることになった。門の外にマサさんの車がある。俺は手渡されたアイマスクをして、目を閉じて結界を越えた。粘り付くような、厚いビニールの膜を押し破るような強い抵抗を感じた。マサさんに習った「技法」に従って、丹田から両手に「気」を集めて熱を持たせ、その手で「膜」を破って俺は結界の外に出た。結界の外に出た瞬間、俺は意識を失った。


気が付いた時、俺は車の中だった。運転しているのは行きに付き添ってくれたキムさん。頭がガンガンする。酷い船酔いをしたときのように目が回って気持ちが悪い。「調息」を試みたが全く効果がない。今にも吐きそうだ。俺はマサさんに渡されたビニール袋に大量に吐いた。吐いた後、暫くすると鼻血が出てきた。「もう少しだから我慢しろ」とマサさんが言う。キムさんがマサさんに「この兄さん、持たないんじゃないか」と言う。マサさんが「一通りのことは出来るから大丈夫だ。手伝ってくれ」と答えた。やがて車は狭い空き地に着いた。車が一台止まっている。行きに乗ってきたキムさんの車だ。若い男が車外でタバコを吸っている。キムさんに指示されていたのだろう、2L入りのミネラルウォーターのペットボトルが2本入ったビニール袋をマサさんに渡した。マサさんはボトルの中身を捨てると神社?の階段を昇って行った。キムさんは、俺を神社の階段の前の石畳の上に寝かせ、頭頂部と胸に手を当てて、半年間毎朝行ってきた瞑想と呼吸法が合わさったものを行うように言った。キムさんの手を通じて頭から冷たい気、胸からは熱い気が入ってきた。やった事がなければ判らないが、両手に冷・熱両方の気を通す事は非常に難しい。俺やPなどは「熱」は作れても「冷」の方は殆ど出来ない。キムさんも俺たちと同様の修行をしたことがあり、恐らくは今でも継続していて高いレベルにあるのだろう。


暫くするとマサさんが水の詰まったペットボトルを持って階段を下りてきた。どうにか落ち着いてきた俺は一本目のペットボトルの水を鼻から飲み込み、限界まで飲み込んだら吐き出すということを3回繰り返した。2本目のボトルの水は、マサさんとキムさんが、俺の全身に吹き付けた。それが終わると俺は階段を昇って神社の境内に入り、「激しい」呼吸・瞑想法を行った。3時間ほど続けると俺は完全に回復した。若い男が用意してあったGパンとTシャツ、パチ物のMA-1のジャンパーを着て車を乗り換えて俺達は出発した。

キムさんの家で丸三日休み、俺とマサさんは女のマンションの部屋に向かった。女はここ暫く出勤していないそうだ。女の在宅はキムさんの方で確認済みだった。マサさんがインターホンを鳴らす。訪問は伝えてあったのだろう、女は俺たちを部屋に招き入れた。女はやつれていたが、かなりの美人だった。ちょっと地味だが清楚で上品な雰囲気。とても風俗で働くタイプには見えない。やつれて憔悴してはいたが、目には強い力が在った。非常に綺麗で澄んだ目をしていて、見ているだけで引き込まれそうな魅力がある。凄まじい霊力を持っていると言われれば納得せざるを得ないものがあった。

しかし、この女からは人を恨むとか呪うといった「邪悪」なものは微塵も感じられなかった。

傷 11

3ヶ月目に入ったとき、マサさんも流石に焦ってきたらしい。いくらなんでもこんなに持つはずがないと。男と女では体の造りが違うように、気の性質も違うそうだ。セクースした時に男は気力や精力を放出し、女は本能的に男から精力を吸収しているそうだ。これは他の動物も一緒で、最も極端な例は交尾の後に雌が雄を捕らえて食べてしまう蟷螂だそうだ。子供を体内で育て、あるいは卵を産む「雌」の普遍的な本能。セクースした翌日、男はぐったりしているのに女は元気が良くなるのはこの精力のやり取りによる。(オナニーで一日4・5発抜いても平気なのに、女と1発やっただけで翌日グッタリしてしまう事があるのはこのせいか!と妙に納得した)それ故に女は男よりも霊力も生命力も強く、生霊や幽霊の類も女の方が圧倒的に多いらしい。ただ例外もある。女は絶頂を迎える瞬間だけ気の方向が吸収から放出の方向に変わるそうだ。この瞬間に女の気を吸収する技法が存在する。マサさんによると「キンタマ?ωで女の気を吸い取る」らしい。精気を吸い取られる瞬間に感じる快感は男女共に非常に強いものらしい。(確かにオナーニよりセクースでイク時の方が気持ちイイよね)その快楽は時に人を虜にする。「色情狂」とは、元々の精力が強い人が、精力を放出し吸収される快感に囚われた状態であるらしい。


話を戻そう。マサさんは女の生命力が尽きない理由は、女が「風俗嬢」として毎日、数多くの男と交わっているからだと考えていた。しかし、例え毎日10人以上の男と交わっても、これ程までには持つはずはないのだという。これは、ある種の「行」や「技法」を用いて数多くの男から精力を「奪い取っている」と考えなければ説明がつかない。しかも、これ程のレベルで精力を吸い取られた男は一度で体を壊し、それでも快楽に囚われて命を落とすまで女の下に通い続けるだろうと。しかし、そうなると、これは恨みや呪いの「念」により「無意識」に飛ばされる生霊ではなく、意識的に相手を呪う「呪詛」の範疇なのだという。だが、俺達に憑いているのは「生霊」であって「呪詛」ではない。俺たちがマサさんのところに来て半年が経とうとした時に、マサさんは俺達に言った。これから女の所に行くと。俺に女の所に一緒に付いて来いと。


俺はマサさんにそれは危険なのではないかと言った。悪霊はかなり弱くなっているが、本体に戻れば相手の霊力・生命力から考えて元の木阿弥になってしまうのではないかと。…俺、取り殺されちゃうよ((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル

マサさんは言った。Pは、自分と俺の「祓い」の為に2人分、2000万円のカネをマサさんに支払っている。俺を「事件」に巻き込んだのはPだが、金を出す事でPは俺に対する義理を果たし、この事件に関して俺に対する「因縁」は消えている。しかし、俺はマサさんに金を支払った訳ではなく、マサさんに対する借り、「因縁」が残っているという。場合によっては命を落とす危険もあるが「因縁」を消す為にも協力してもらうとマサさんは言った。Pはマサさんと俺が女に会いに行って帰るまで、道場(敷地内にあった倉庫のような建物)で、柱に錠と鎖で繋がれた状態で篭る事になった(井戸に引き摺り込まれない為)。

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