ある屋敷の一夜。強い雨音や雷鳴が鳴り響く、嵐の夜だった。
数匹の黒猫が、屋敷を駆け回り、獲物を探していた。
そして、鼠を見つけた。
その時の猫の衝動に、『感情』など無関係であって。
一匹の猫はすぐに食らいつくと、鼠は力尽きた。
「あっという間だった」
猫は言う。
「そんなもんさ」
と、もう一匹の猫は言う。
「人間は?」
「さあ。僕らと同じことしてるんじゃない」
扉の向こうから聞こえるのは、人間の声。
※
彼の名はロドルフ。
魔術協会の大幹部であり…違う顔も持っている。
横たわっている女性は、すでに意識がない。
「いつか、いつか僕は見つけるよ。本物をね…
そして、僕は全てを手に入れる…理想の世界のために」
男は雷鳴と共に、
狂ったように笑っていた。
その日の月は赤く染まり、不吉な空をしていた。