続・KinKiと愛と妄想と
2013/11/28 18:04
:小説
〈超王子〉最終話
「ヨネ!!ごめん!!遅くなった!」
「俺も今来たところだ」
「ちょっとコンビニに寄って来たよ!これを買いたくなって」
「あ…おやつコロッケ…」
「……あれから丁度、二年だろ?…いろいろ思い出して、少し感傷的になってなぁ…」
「…実は俺も持ってきた…ほら、カレー味だけど」
「あれ!?…考えてる事は同じか。ま、味は違うし、2つとも食べよう」
「うん」
「……ああ…良い風だなぁ…やっぱり、今の季節が一番良いな」
「…この木を眺めに、時々来るんだ、俺…」
「俺もだ。でもお前と会ったことなかったな」
「…一度…ここにいるお前を見かけて…そのまま帰ったことがある」
「…避けられてたのか…」
「避けてたというより…どんな顔して会ったら良いのか…判らなかったから…」
「ヨネ……俺は、お前がここへ来る事は無いんじゃないかと思ってた……お前にとっては、思い出したくない事もあるだろうしな…」
「前は…この木を遠くから眺めるだけで…近づけなかったんだ」
「そうか…」
「最近だよ…この木の下に来られるようになったのは…」
「…うん…」
「ここに座って、丘の下を見下ろすと……おふたりが笑い合いながら、この丘を登って来るような気がするんだ」
「俺もだよ……笑い声まで聞こえるようで…」
「……マチダ…」
「…ん?…」
「おふたりは……俺を…赦してくれたんだろうか?…」
「…ヨネ……コーイチさまの…最後の言葉……覚えてるか?」
「…ああ……忘れることなんて…出来ない…」
「…俺はね、あれが…答えだと思うよ…」
「…マチダ……」
「……よし!!ヨネ、おやつコロッケ食べようぜ!どっちから食べる?いや、両方開けるか。どっちも旨いんだよなぁ!!」
「…マチダ…ありが…とう…」
「…えっ?…お…おいおい!!せっかくのおやつコロッケが涙で塩辛くなっちゃうじゃないか!いいから、ほら、食べろ食べろ!」
「…う…ん……うん…」
『ヨネ……いつも…私の傍に居てくれて…ありがとう…』
「どうだ?…見えるか?…」
「ああ…元気そうで良かった……ずっと心配だったから…」
「マチダが、時々ヨネと連絡をとってくれていたのだろう?」
「そうだよ。別れの時、俺が頼んでおいた……ヨネは責任感の強い男だから…自分を責めて悩んでいるだろうと思って……俺自身は、いつ連絡をとれるか判らなかったからね」
「コーイチ……俺はお前を傷つけたヨネを、赦せないと思っていた……けれど、お前のヨネを気遣う優しさのおかげで、彼を憎まずに済んだよ……ありがとう」
「彼は、マチダとともに俺の大切な友だからね…それは、いつまでも変わらないよ」
「…少々…嫉妬するな」
「よせ。ふふ…相変わらず嫉妬深いな」
「嫉妬深い俺は…嫌いか?」
「…安心しろ。俺も嫉妬深いから…」
「コーイチ……」
「…さて…懐かしさのあまり、少し長居し過ぎたようだ。これ以上、里心が出ないうちに出掛けるとしようか!」
「良いのか?ふたりに声をかけなくても?」
「今日はやめておくよ……またいつか、ここへ戻って来られた時に…改めて、ふたりに礼をしよう」
「分かった…では、出発しよう」
「…さようなら、ヨネ、マチダ……また会う日まで、元気で!」
「なぁマチダ……今頃…コーイチさまは、どうされているのかな…」
「…きっと…ツヨシさまとご一緒で、お幸せでいらっしゃるよ」
「そうだよな…おふたりご一緒なら…何処にいても、お幸せだよな?」
「ああ……きっと…な……」
−おわり−
b o o k m a r k
p r e v n e x t