続・KinKiと愛と妄想と


2013/11/28 16:01 :小説
〈超王子〉第10話


「コーイチさま!!コーイチさま、いったい今までどちらへ!?」

「…心配かけてすまない…」

「こんなに遅くなられるのなら、せめて電話をして頂きたかった!!お城から何度も連絡があったのですよ!?」

「…本当に悪かった…」

「…コーイチさま?…お加減でもお悪いのですか!?」

「いや…大丈夫だよ」


『…なんと!光輝くような笑顔を!…そのように少し頬を染められて……元よりお美しい方だが…この数時間で、更に艶やかにお美しくなられた!……愛する方と、お幸せな時間を過ごされたのですね…』


「コーイチさま、さあ、もうお城へ戻られませんと。陛下には、私が適当に理由を付けて、遅くなると伝えてもらいましたので、今から戻れば怪しまれずに…」

「ヨネ……私は戻らない」

「…は!?…な…何を…仰って…?」

「戻らないと言ったのだ。ヨネ」

「コ…イチさま!?」

「お前には世話になったから、最後に一目会って別れが言いたくて…ここへ戻って来たのだ」

「…お…お戯れはお止め下さい!!そのような事…」

「ヨネ。私はツヨシとゆくよ。彼も全てを棄てて、私と生きる事を選んでくれた」

「な…何故…いかがなされたのです!?いったい何があったのですか!?」

「ツヨシに……結婚話がきたそうだ。先程マチダへ連絡があり、急ぎ戻るようにと…」

「ご結婚!?」

「…私達は……結ばれたのだ…身も心も……その後に、マチダから報せが…」

「コーイチさま!!」

「ツヨシは、私と逢って、私以外と添い遂げる考えは無くなったそうだよ……私も…彼が誰かと結婚など…想像するだけで、彼を連れて逃げたくなる!」

「コーイチ…さま」

「ヨネ…お前に咎めがいかぬようにはするよ。安心…」

「そのような事!!コーイチさまがいらっしゃらない城になど、私は何の未練もありません!追放されようと、命を絶たれようと構いません!!ですが!そんな事をなされば、おふたりは、それぞれの国から追われることになるのですよ!?」

「解っているよ」

「追われながら、お幸せになどなれるはずはございません!!私は、あなたのお幸せを、昔からずっと願って参りました!恋愛で、尊いあなたの人生を破滅へ向かわせるなど…無謀な事はなさらないで下さいませ!!コーイチさま!!臥してお願い申し上げます!!」

「跪いたりするな。私はもう、王子ではなくなるのだから…」

「いいえ、いいえ!!お願いでございます!!私にとって、コーイチさまは王子殿下であり、それ以前に大切な大切な、真の友人とも思っております!!どうか、そのようなお考えは!!」

「ヨネ…お前には感謝してもしきれない。今まで…長い間ありがとう」

「コーイチさまっ!!!」

「ヨネ…」

「…マチダ!」

「おふたりのご意志は固い…俺も説得し続けたのだが…」

「マチダ…お前にも世話になったな」

「コーイチさま……私の私物で申し訳ございませんが…こちらをお持ち下さいませ。衣類と最低限の日用品…それと…大変失礼ではございますが、当座の生活資金をご用意致しました」

「…ありがとう。迷惑をかけてすまない…いつか必ず返す」

「いいえ。それは、おふたりへの…新しい門出のお祝いでございます」

「…マチダ…ありがとう」

「どうか…どうかお幸せに…」

「マチダ、何故!?お前はおふたりが…」

「ヨネ。俺はおふたりを大切に想うから…決断したんだ。おふたりがご一緒にいらっしゃるところを見ていたら、お前も俺の気持ちが解るよ」

「マチダ」

「…ツヨシさま…」





つづく




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