お昼寝日和

2013.7.17 Wed 00:00 :外伝
薄黄色の珠もののふとなりて〜リビ〜

薄黄色の光り放ち不思議な力を起こす。
このウサギにとっては何てことのない日常である。
水溢るる清い場所。草木に恵まれた力ある場所。
大地から出てくるために力を使い果たしたウサギにとってはそんな場所を探すのもやっとで。
辿り着いた小さな神社。
微かに見えるは小さなお姫様の残像。
ここを納めているのか…。

ウサギ、リビはもう息も絶え絶えだった。

「ねぇ、どうしたの?」

一匹の黒猫が近付いてくる。
具現化した自らの身体は小さく。
食べられてしまうのではないかと不安になった。

もう動けない。

「大丈夫?」

顔を近付けられ何とか自分の望みを伝える。
綺麗な水がほしい。
綺麗な自然があるとこに連れて行ってほしい。
力を取り戻したいのだと。
相手はあっけらかんと首を傾げて応えた。

「何かよくわかんないけど、たぶん家に来れば解決すると思うよ?」

黒猫はリビの首を甘噛みし、荷物を運ぶみたいにして軽やかに背中に移す。

「家にはね、僕等みたいのいっぱいなんだ。
んで、“パパ”のところ行けば水も自然ももっとあると思うから。」

小さなリビを背中に乗せて黒猫は小さな神社から家へと駆けていく。
自分の飼い主のところまで…。

…リビが目を覚ますと。
柔らかな布団の上で同じように小さな身体を持つ動物たちが自分を見つめていて驚いた。
その後ろから覗く大きな人間。
リビを暫く眺めた後におもむろにどこかに電話をし始めた。

電話を終えた人間が言うには、保護してくれて水も自然もあるところに行けるという。
力を取り戻すまでいくらでもここに居て良いのだと。

この家にいる猫たちからたくさんの事を聞いた。
電話をかけてくれた人間が“母”や“ママ”と呼ばれていること。
電話を受けて保護を約束してくれた人間が“父”や“パパ”と呼ばれていること。
皆、自然にここに居着いた種族も違うもの同士の集まりなのだということ。

なんだか不思議と居心地が良かった。
ひと月、またひと月と日を重ね。
保護を名乗り出た人間の家へ行く日、この家の動物たちも「またおいで。」と気持ち良く送り出してくれた。

これから過ごす家は、羊が家政夫となり動物たちのお世話をするこれまた変なところだった。

確かに水は美味しかった。
緑にも恵まれていた。
リビの仲間である石たちも浄化ポットの中でにこやかに笑っていた。
しかし、まぁ。
この土地はとても暑かった。

廊下をコロコロ移動する小さなカボチャを捕まえる。
さすがは八百万の和である。

カボチャと一緒に睨めっこ。
今日の夕げは何であろう。
リビの石としての復活はまだ一歩。踏み込み始めたばかりなのだ。

「何でもいいさ。休憩さえ出来るなら。」
…日常がゆっくり静かに流れ始めた。



LUTSzuzudelf TOYA、リビのお披露目をかねての文章。
リビは天然石リビアングラスの擬人化さんです。
途中出て来た黒猫は相方宅の琉夏(ルカ(幼天使霞)、人間は私と相方です。


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