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10歳になりました!

 

稔「えー、サイト設立丸10年が経ちました、というわけで記念して男子会を開催します。恒例のあれです」
ディ「去年の10年目突入記念を女子だけでお茶会したので、今回は男子会でいいや、という投げやりなあれですね」
稔「説明ご苦労様。えぇと、一応出席者は作品を統一という事で、俺とディーノさん、ランベールさんと壱都さん。え、なんか例年と比べて年齢層高くね?」
ラン「僕とディーノは成人済みだからね。サイトも10年経てばそりゃ年齢層も高くなるでしょ」
稔「そうなのか? そういうものなのか!?」
壱「これが高齢化社会だね」
稔「絶対それ違う!! もうあんたはいっつも適当な事言わないで下さいよ。つーか俺が自然とMCみたいになってっけど、俺一番年下ですよね!?」
ディ「俺はこの世界の会合というものがいまいち理解出来ていませんので」
ラン「右におなじー」
稔「うわっ、丸投げしやがった! これが汚い大人のやり口か!」
壱「頑張れ、応援してる」
稔「めっちゃ二歩も三歩も引いたとこから物言ってんじゃねぇよっ」
壱「これが物語を撤去された位置だよ」
ディ「随分と楽そうでいいですね」
稔「ディーノさんはそっち行っちゃダメ!!」
ラン「お前……大変だな。ちょっと同情するわ」
稔「当サイトのがっかり王子に同情された!? もうやってらんねぇ」
ラン「おいお前初対面なのに失礼なヤツだなっ! 折角僕が珍しく好意的に接してやってんのに」
ディ「そうですね、その半分でいいのでヒロインのルルーリアさんに優しさを見せてあげてはどうですか?」
ラン「あ? 絶対やだし。ていうか、なんで僕がここいるの? ここって一応ヒロインのお相手役が集まってんでしょ?」
壱「あくまでも予定だけどね。書き手の気分次第でさっと交代するよ」
稔「怖っ! 何それリアルに怖い!!」
壱「ランベールなんて特にね、ストーリーがストーリーなだけに、一瞬で違う男に乗り換えうる感じ」
ラン「いや、てか僕とあいつがとか冗談じゃない! さっさと乗り換えろよそんなもの。あいつのお守りなんてオズワルドにでもやらせればいいじゃん!」
稔「はい、今の言葉録音しました」
ラン「は?」
稔「もっと物語進んだ辺りで、ルルーリアさんに聞かせてあげようと思います」
壱「その必要はないんじゃないかな」
稔「どうしてです?」
壱「多分、本人これ聞いてるよ。ほら前の女子会の時にこっそり盗み聞きするみたいな事言ってたでしょ」
ラン「!?」
ディ「!」
稔「!!?」
壱「俺の予想だと、あの時の4人全員がどこかで聞いてる」
稔「壱都さんの予想絶対当たるぅー……」
ディ「発言に気を付けないと今後に響きそうですね、特にランベール」
ラン「また僕!? なんでさ」
壱「上下関係、的な?」
稔「ぼかしたけど、ぼかし切れてねぇー」
ディ「それはそうと」
ラン「うわ、すっごい急激に話題転換を試みたよこの人」
ディ「ランベール弄りもそろそろ飽きたからな。10年経ったわけだが、初期メンバーは壱都だけか」
稔「これが有名なブラッド化ってやつか。突然来るからビックリするわ……」
壱「そうだね、俺が10年、稔が5年?」
稔「よく覚えてないけどそんなもんだったと思います」
ディ「さっきの年齢層じゃないが、この10年で変わった事はないのか?」
壱「アジアンタム撤去された」
稔「それ以外で!」
壱「そうだな……ガラケーからスマホになったくらいじゃない?」
ラン「え、それだけ!? もっと無いの? リオンに対する想いとか」
壱「呼び捨て?」
稔「そこ噛みつくとこなんだ」
壱「じゃあランベールに香苗って言われたらどうするの」
稔「ぶん殴る」
ラン「何でだよ!!」
稔「俺未だ本編じゃ堂島呼びだし」
壱「完全にタイミング逃したよね」
稔「これも全部秋月のせいなんだよ! あいつの苗字と名前ひっくり返してるとかいうどうでもいいネタのせいでだな……!」
ラン「まさかそんな下らないネタで春から冬まで引っ張るとはな……ってイーノックが慄いてた」
稔「ほんとそれ!」
壱「で、ディーノは本当に葛城を日本に帰す気あるの?」
ディ「どうして疑われてるんですか。帰しますよ、その方法があれば」
ラン「うわっ、あんまその方法探す気ないでしょあんた」
ディ「とんでもない。探しますよ(それとなくは)」
稔「腹黒……」
ディ「ん?」
壱「『最初の頃……爽やかイケメン騎士を目指して書いてた時期がありました……』と誰かが遠い目で語ってたよ」
稔「まぁなんだ、ある意味最強の番犬がいるからな。目も当てられないような結末にはならないんじゃないか」
ラン「最強にカツラギハルの心をがっちり掴んでる小狼な」
ディ「いや、確かに予想以上にホズミが物語に食い込んできた感はありますが、俺が腹黒とか性格悪いとか、周りが言っててそういうイメージが付いただけですからね」
稔「いっすよ、そういう事にしときましょう」
壱「似非紳士ではあるしね」
ラン「微妙に敬語なとことかね」
ディ「……ほんと、周囲の策略だろこれ」
ラン「紳士で言ったら稔が一番だよね。毎日同じ部屋で寝てんでしょ?」
壱「正直、ヤろうって思った事ないの?」
稔「ちょっ、バ……! これあいつ聞いてるかもしれないんだろ!?」
ディ「正直に話して、少しくらい危機感持ってもらった方がいいんじゃないですか?」
稔「今度は俺が陥れられようとしている!!」
ラン「ダメだね、これ続ければ続けるほど墓穴掘るんじゃない?」
壱「それが楽しいのに」
稔「一番性格悪いなあんた! 知ってたけど!」
ラン「ほんと、リ……キトウには同情するよ」
ディ「どんな本性露呈しても堂々としてられる唯一の存在かもしれませんね」
壱「………」
ラン「無言で微笑むなよ、怖いわ」
稔「こえぇぇ」
ディ「キリがありませんね、この辺で終わりましょうか」
稔「こええぇぇ! 急に切り出しやがった」
ラン「まぁでもほんとにキリ無いしな」
壱「要するに、男性陣は全体的にもっと頑張って、って会だったみたいだね」
稔「また他人事みたいに……」


おわり

 

10年だよ!ビックリだね!


 床に敷かれた見事な模様のペルシャ絨毯に、直に無数のクッションが置かれている。
 円を描くように置かれたクッションの中には、人数分のティーカップとお茶菓子が並べられていた。
 部屋に設置されている調度物は全て、一級である事が一目で見て取れる、傷一つない美しい装飾の施された品ばかり。
 
 完全な場違いな居心地の悪さを覚え、オロオロする香苗の隣をスッと通り過ぎ、当然のようにクッションに凭れるように座ったのは悠だった。
 
「香苗? どうしたの?」

 なかなか部屋の中央までやって来ず、立ち尽くしている香苗を不思議そうに見返しながら、悠は首を捻った。

「え、いや……悠ちゃんが遠い人になっちゃったなぁっと思って」
「はぁ?」

 こんなブルジョアな空間、一般庶民である香苗や悠が躊躇しないはずがない。香苗の反応が普通であって、悠のように平然と馴染んでしまう事の方が異様なのだ。
 だけど、どうして香苗が自分の行動に違和感を覚えているのかさえ気づけないほどに、悠はもう違う世界の住人になっていた。
 たった数か月とはいえ、常に一国のお城という豪奢な空間での生活を送っている悠にとっては、目の前の光景は日常的なものになってしまっているという事。慣れとは恐ろしいものだ。
 
「やだやだ、金持ちにはついていけんわ」

 友人との感覚の違いに慄いている香苗の隣を、またしても一人素通りした者がいた。俐音だ。
 口ではそう言いつつも、俐音は大した躊躇いもなく、さっさと部屋の中央に座る。
 
「庶民に優しい設計にしろよな」
「とか言いつつ、ちゃっかり一番良いポジションに座ったね!」
 
 一番お茶うけのお菓子に手を伸ばしやすい場所を陣取った俐音に、思わず香苗がツッコミを入れる。
 
「香苗? どうした?」
「いや悠ちゃんの真似しなくていいよ! 誤魔化せてないから!」

 首を傾げつつもスコーンに手を伸ばす俐音。
 どうしたもこうしたもない。
 
「悠、香苗が反抗期だ」
「うーん、お腹空いてるだけじゃない?」
「え、もしかして二人ともこれからそういうスタンス? 私の扱いってそういう感じにしていくの!?」
「あらあら、みなさん仲がよろしいのね」

 ふふ、と上品な笑い声がして、三人が同時に顔を上げた。
 優雅な足取りで部屋に入ってきたのは、動きやすく軽そうではあるが明らかに物が良さそうなワンピースドレスを着た女性だった。
 
 先客である三人の視線を受け、彼女は流れるような動作でドレスを摘まみ一礼した。

「サイトが十年という節目を迎えると同時に彗星が如く颯爽と現れた新しいヒロイン、ルルーリア・ハン・ヘルツォークですわ。皆さまどうぞよろしくお願い致します」
「自分でヒロインって言ったな」
「なんだろう、あのドギツイ存在感……。主人公ってもっと無色っていうか、個性が弱くて脇を引き立てるくらいがいいってのがセオリーだと思ってたけど……」

 あまりに自分達とは毛色の違う、というか次元の違うキャラに呆然とする三人。
 
「あら嫌だわ。どうしてわたくしが他の方の土台になるような存在にならなければならないのかしら? どこの下賤な輩を指して言っているのか、詳しく教えて下さらない?」
「いえ、個人を指してるわけじゃなくて」
「あらそうなの。ならわたくしは、物語に出てくるすべての登場人物を亡き者にして行かなければならないのね」
「ダメですよ! それ一回やって反省したんでしょ!? 今度はやらないって反省して人生やり直してるんでしょ!?」
「あらそうだったわね。わたくしとした事が失念していたわ」

 あっさりと物語の根底を覆すなというツッコミは、三人の心の内に封印された。
 本気で言っているのではない事くらいは分かるのだが、どうも冗談との差が曖昧でヒヤッとさせられる。
 この人ならやりかねない、という不安を掻き立てる存在だった。
 
 ルルーリアはそんな相手の反応を楽しんでいるのだと、付き合いの浅い、というかほぼ初見の三人が気づくはずもない。
 
「まぁ取り敢えず、座談会とやらをサクッと始めようじゃありませんか。わたくしこういうのは初めてですので、とても楽しみにしておりましたの」
「いや、そんないいものじゃないんですけどね」

 いっつもこういった集まりは、グダグダで始まりグダグダで終わると相場は決まっている。結局何故呼び出されたのかと疑問に思わされるばかりだ。
 目の前のご令嬢が満足いくとは到底思えず、期待を持たせないようにと悠が釘を刺す。
 そして香苗と俐音もコクコクと頷くのだった。
 
 だがルルーリアはがっかりした様子も見せず、上機嫌なまま全員分のお茶の用意をしている。
 
「でもルルーリアさんって本当に今までこのサイトに無いタイプの主人公ですよね」
「それは、わたくしが類稀なる美貌を持ちえた、他の追随を許さないヒロイン、という意味かしら?」
「いえ全く違いますけど。ある意味、その発言が私の言いたかったことの全てというか」

 冷静に悠が対処している。
 タイプは違えど、異世界の兵どもと渡り合っている悠は、幾らかルルーリアの外見にも中身にも耐性があるようだった。
 香苗はじっとルルーリアを観察をし、俐音は黙々とお菓子を食べている。
 おい、助け船を出せ、という悠の思いは二人には届いていないようだ。
 
「普段は不遜な態度をとっているお嬢様が、ここぞという時にヒーローの前でだけ弱い所を見せるギャップ……それがルルーリアさんの押しポイントだね!」
「突然何言ってんだ香苗」

 ずっと黙っていたかと思ったら、急に妙な事を口走った香苗を俐音が冷ややかに見る。

「私と悠ちゃんは、素直さを前面に出しているのに対し、例え本心じゃなかったとしても相手を挑発してするような態度を取るルルーリアさん。それは警戒心が強い故に気を許すまではツンに徹する俐音ちゃんとどこか共通するものを感じる!」
「マジで? 私こっち寄りなのか?」

 こっち、とルルーリアを指差す俐音。
 そして香苗はグッと拳を握りしめて尚も熱弁を振るった。
 
「俐音ちゃんの、気を許した相手にだけたまに見せるデレ。ルルーリアさんのこの人と決めた一人に対してのみ曝け出す弱い心! ギャップ! ギャップ萌え!」
「相変わらず語るなぁ」

 暫く異世界にいて離れ離れだったが、香苗の熱弁ぶりが健在だったことにどこか安心感を覚える悠だった。
 ルルーリアは淹れたお茶をみんなに配りながら笑顔を崩さない。が、この笑顔はルルーリアの標準装備なので、今の時点では別に本当に笑っているのではない。

「あら、わたくしツンデレという言葉は知っていましてよ! トモヨさんから教えていただきました。殿方の気を引く為に、普段は態と強気な態度を取って、ここぞというタイミングを見計らって甘える事で、ああこんな可愛い所もあるのかと錯覚させる恋の手腕ですわよね? 俐音さんはとても積極的な方ですのね」
「うわー俐音ちゃんがめっちゃ打算的であざとい女の子みたいに聞こえるー!」
「おいそのトモヨって人連れて来い! 他の奴は知らんが、私はそうじゃないって事を迅速にルルーリアさんに説明させろぉぉ!!」
「俐音ちゃん落ち着いて! ほらチョコレートあるよ、どうどう」

 その様子を見つつ、さっきとは違い、今度は本当に愉快そうにルルーリアは笑うのだった。

「ていうか、ルルーリアさんが弱い心を見せるとかそういうのって、香苗の妄想だよね?」
「そうだよ」
「あらあら、わたくしとて鋼の心を持っているわけでなし、弱音を吐きたくなる時くらいございますわ? 一度心が弱り果て、けれどそれを吐き出す術が分らず……国を滅ぼしたりもしましたし」
「ぎゃー! 一刻も早くルルーリアさんを受け止めきれる心の広いヒーロー現れてー!!」
「いるのかなぁ。国崩壊フラグぶち壊せる猛者」
「いるといいですわねぇ」
「他人事!?」

 熱々のブレンド茶を飲みつつ、自分の事の癖にまるで興味無さそうに呟いたルルーリア。
 彼女のこの発言に、三人は漸くああこの人もやっぱりこのサイトの住人だなと思わされたのだった。
 
「ほんと、尽く恋愛というカテゴリーを回避しようとするよね、ウチの面々」
「わたくしは別に忌避しているつもりはありませんわ。ご縁があればとは思いますけれど、それよりも今はトモヨハーレムの観賞の方が重大で」
「と、トモヨハーレム!? 何それ楽しそう!」

 食い付いたのは香苗だった。どうして自分の事はままならないのに、他人の色恋沙汰には敏感に反応するのか。俐音には理解出来なかった。
 
「わたくしはまだ新参者ですから良いのですが、皆さんはどうですの? 例えばハルさんなんて、トモヨさんと同じ異世界送りされているのですから、美形をより取り見取りなのではなくて? 調べは付いていますのよ」

 どこから持って来たのか、クッションの下に隠していたらしファイルを取り出した。
 隣にいた俐音は覗き込んでみたが、見た事もない文字が羅列しており読めなかった。さすが異世界、と妙に感動した。
 
「ディーノ、ホズミ、ソレスタ、サイラス、ヒューイット……」
「ちょっと待てぇい! どこ調べですかそれ!? 獣人と七百歳越えの人外と既婚者王様に他人の婚約者混じってますけど!?」
「つまり、除けば一人しか恋愛候補いないっていう」
「あらそうなの? 異世界送りまでされて、随分と寂しい結果ですわね」

 別に恋愛しに送られたわけではないというのに、この言われよはなんだかショックだった。
 そもそも、日本に帰るのが悠の希望なのだから、あの国で恋人が出来たとしても悲しい未来しか来ない。なのだが、寂しいと言われると腹が立った。
 
「ま、待ってよ他に男の人もっといるはず! えっと、えっと、ディーノのお父さんとかお爺ちゃんとか……ああダメだファーニヴァル家の泥沼しか思い浮かばねぇ!!」
「殺伐とした生活なんだなぁ」

 ずずず、とお茶を飲みながら俐音が適当に返す。
 
「けれどこのホズミという獣人はグレーゾーンなのではなくて? 兎の獣人は、もう一人の日本人と恋仲なのでしょう?」
「つまり獣か」
「異文化コミュニケーション!」
「いや異種族だろ」

 恐ろしい一言を口走りそうになった香苗の頭を容赦なくグーで殴った悠の慌てようはすごかった。
 頭を掻き毟って何やらブツブツと呟いている。
 脳内で天使化しているホズミが汚されたような気分になったらしい。
 
「いや、つか興津さん達もどういった関係なのか直接聞いたわけじゃないし、ただの主従関係っていう可能性も」
「下剋上かっ」
「香苗さんは元気ですわねぇ」

 漸く場も温まって、ノッてきた香苗のテンションが上がり出してきた。
 が、そんな香苗を野放しにしておく悠ではない。

「……香苗! あんたさっきから他人事と思って楽しんでるけどねぇ、あんたこそどうなのよ、本編じゃそろそろ方波見くんとどうなんのか決まる頃じゃないの!?」
「え、そうなの!?」
「なんで香苗がそんな驚いてんだ」
「だってどうなるもこうなるも、私がやっと片思いを自覚したって段階だよ!? もう決着つけんの? それ失恋決定じゃない!?」
「誰かー、この子にあと物語内の期限がちょっとしかないって事教えてあげてー!」
「あら楽しい。お相手の方の心中お察しいたしますわ」

 資料をパラパラと捲りながらルルーリアがほくそ笑む。
 きっと稔と直接会う機会があったのなら、弄り倒すであろうことが容易に想像できる表情だった。
 
「り、俐音ちゃんは!? 俐音ちゃんはどうなのっ?」
「私か? つっても今物語撤去されてるしな」
「うわーっ!」

 それこそ、どうするもこうするも無かった。
 クッションに顔を埋める香苗と悠を、俐音とルルーリアはそれぞれ静かに見ていた。
 
 確かに、香苗が言った通り、この四人を二分割しようとすると、悠と香苗に俐音とルルーリアになるかもしれなかった。
 
「なるほど、分りました。大体いつも企画物はこういう感じですのね」
「そういう事だな」
「わたくし嫌いではありませんわ、こういう意味のないグダグダな時間も、時には必要でしょう」

 意味ないって言っちゃったよ……と突っ伏したまま悠がツッコむ。
 
「ぜひぜひ男性陣もやっていただき、それをこっそりじっくり盗み聞きしてみたいものですわ」
「それね! その時には是非私も呼んでいただきたい!」
「男共が一体何について語るのかちょっと聞いてみたいかも」
「そうだな、いざという時にはネタとして強請れるかもしれないし」
「俐音ちゃん考え方が荒み過ぎだよ! 暫くサイトから消えてる間に一体何があったの!?」
「あらあら、トモヨさんの国には楽しい女の子が沢山いますのねぇ」

 

おわり

 

じじいが来ない(刀剣乱舞)


「どんなに頑張っても三日月さんがウチに来てくれない件について今日は話し合いたいと思いまーす」

 審神者の二人に呼ばれ広間に集められたのは、一部隊を預かる、この本丸に居る刀剣男子の中で実力がトップクラスの六人だ。
 
 鶴丸を筆頭に、獅子王・蛍丸・岩融・太郎・鳴狐

 一体どこから取り寄せたのかは不明だが、特注品だという巨大コタツに皆が収まって顔を突き合わせての会議だ。
 
 勿論、コタツの上には山のように積み上げられたみかん。
 会議の議題が発表されただけだというのに、既に蛍丸の前には四つ分のみかんの残骸が置かれている。
 
「あの人レア中のレアなんだから、ドロップでなんとかしようってのがそもそも間違ってんじゃね?」

 へへ、と笑い、みかんの皮を折り曲げて汁を飛ばしながら獅子王が言う。
 そんな彼の頭を軽く小突く審神者の一人である志乃は溜め息を吐いた。
 
「鍛刀でどうにかなるなら苦労しない。出来ないから困ってんだろ」

 散々試した。ありとあらゆる材料の組み合わせや、絵馬を用いたりしてみたものの、一向に三日月が現れる事は無かったのだ。
 
「長谷部が『主命とあらば』とか言うから頼んだのに、材料が底尽きるまで山伏出し続けやがったから鎌倉に単独左遷(遠征)させた」

 遠征任務の中でも過酷を極める鎌倉にたった一人で送り出す主の心無い仕打ちに全員が黙りこくる。明日は我が身だ。
 
「大丈夫! 後でこっそり蜂(須賀)さんと山(姥切)さんを援軍で送っておいたから」
「やめてやれ! 今すぐ強制帰還してやってくれ! そのセッティングは驚くくらい悪意しか感じない!」

 もの凄く良い顔で朗らかに微笑む、もう片方の審神者の紗帆に、柄にもなく鶴丸が声を張り上げた。
 青褪める鶴丸の隣で太郎が大きな身体で小さなみかんを剥きつつ話を進める。

「つまり、地道にラスボスを大量に薙ぎ倒して彼が出てくるのを待つしかないと」
「そういう事なんだがな」

 志乃はチラリと面々を見渡した。
 
「お前等一体、ラスボスのステージ何回行った?」
「えーもう覚えてないよー」

 ぱく、と蛍丸がみかんを丸呑みする。七個目だ。その様子を太郎が眉間に皺を寄せながら横目に見ていた。
 
「そうだな、私等も覚えてないくらい見送った。だがその結果どうだ? 連れて帰って来るのは兼定ばっかじゃねぇか! もう野良兼定いらねぇよ、店員オーバーだよ!」
「別に俺等も連れて帰ろうとはしてねぇし。あいつ勝手に付いてきちまんだって」

 本丸に帰って来る度、無数の兼定を引き連れているのだ。
 最早解刀する事に罪悪感を抱く事も無くなった。
 
「兼さんいっぱいだ! って堀川くんは大喜びだけどねー」
「アイツを喜ばせる為に出陣させてるわけじゃない」

 志乃のツッコミに、確かに、と隊員全員が頷く。目的は三日月である。

「でもまぁ、ほんと、ここまで出て来ないとなるとメンバーに問題あるかもしれないよねーって志乃と話してたわけ」
「はぁ!?」
「心機一転、ガラッと面子入れ替えたら、あっさり出てくるかもしれないだろ?」
「いやいやいや……」

 唖然とする刀達を後目に、コタツの傍に置いてあったホワイトボードに近付く。
 そして意味ありげに掛けられていた大きな布を勢いよく剥がした。
 
『刀剣男子選抜総選挙』

 総勢四十名による第一部隊の座をかけた戦い!
 勝ち残るのは誰だ!?
 センターは誰の手に!
 
 等々、無駄にカラフルかつポップな文字がホワイトボードいっぱいに踊っている。
 紗帆の得意げな顔からいって、彼女が一人で書き上げたのだろう。志乃は特に興味無さ気に見つめている。
 
「選挙って……一体誰が投票するんだ? 俺等がやったら自分に入れるだけだろう」
「うん、だから最終的には私と紗帆で決める事になる」
「意味ねぇじゃん! 選挙まるまる無駄じゃん!」
「あぁ? なんだと獅子王?」

 口をへの字に曲げた志乃が獅子王に絡む。
 だが獅子王も負けてはいない。主相手にガンを飛ばした。
 おでこがくっつきそうな至近距離で睨み合いを始めた二人を、誰も止めようともせず、ただ見ているだけ。
 
「お前、何で自分がスタメン入りしてるか分かってんのか?」
「実力だろ実力」
「ちっげぇよ! お前がじっちゃん教の信者だから、隊長にしとけばひょっこり三日月出てくんじゃないかって期待してたんだっつーの。なのに、この、役立たず!」
「じっちゃん違いだ!!」

 獅子王が常日頃から言っているのは、前主の事であって老人全般を指しているわけではない。
 
「主さまー、隊員を総入替えするとなると大事です。レベルの問題もありますし。とても時間が掛かるのでは?」

 今まで沈黙を守っていた鳴狐……の肩に乗っている狐が至極まともな事を言う。
 人間と人型をした刀の、無意味ないがみ合いや意見交換が恥ずかしい。
 
「とりあえず二名くらい入れ替えるのはどうでしょう?」
「えらい! えらいよ鳴狐!」
「いやあいつは驚くほど黙々とみかん食ってるだけだぞ主」

 感動している紗帆に対し、冷静に鳴狐の本体を指差して教える鶴丸。
 
「うーん、二人なぁ。誰がいいかなぁ」

 言いつつ、志乃と紗帆が視線を巡らせる。
 ピクリと反応したのが蛍丸・鳴狐・獅子王。
 全くの無反応だったのが、岩融・太郎・鶴丸だ。
 
「蛍丸……」
「えーなんで?」
「いやだって、でろでろ刀装剥がし過ぎだお前。毎度毎度、お前の為だけにどんだけ装備作ってると思ってんだよ」
「だって仕方ないじゃん。僕まだレベル35だし」
「は?」
「35」

 主二人を含め、広間に居る全員が口を閉ざして蛍丸をまじまじと見つめた。
 暫く沈黙が続く。その間も蛍丸はみかんを剥き続けていた。

***


と、いうのを、あまりに三日月さんがいらっしゃらないので、書いた(2015/2/13)のが、ポロッと出てきたので載せます。
この後ちゃんと来て下さいましたよ。良かった。狐は来なかったけどね!

スチームパンクっていいよねっていう話2


ルル「では改めまして。スチームパンクっていいよね企画第二弾でございます」
ラン「え、そういう企画だったの」
ルル「そうよ。そういうこの上なく馬鹿らしい企画なのよ」
ラン「毎回こんな企画に駆り出されるなんて、あの人達も大変だなぁ」
ルル「そうね。でもわたくし達も他人事ではなくなったのですけれどね。……まぁいいでしょう。ではまず、第二弾に登場するキャラを、わたくし達自身の紹介込みでお届けいたしましょう」
ラン「あ、僕達二人についても説明文入れておくから」


☆ルルーリア(20)


 筆頭公爵家のご息女。人をからかって遊ぶのが趣味。
 闇の精霊ジェイドと契約し巫女をしていたが、魔族の襲撃により精霊が消失。
 半身であるジェイド失わせた世を恨んで国を滅ぼしかけた過去を持つ。
 今は異世界トリップしてきた日本女性トモヨのサポート役として、なんやかんやで賑やかな生活を送っている。


☆ランベール


 国の魔術師団の団長。その実力は本物。トモヨと共に旅に出る仲間
 外見は美形だけど童顔で中性的だからか、侮られがち。(主にルルに)
 そのせいか、ツンケンした性格をしている。
 とある理由でルルを憎んでいたり。


イーノック(ルパン)


 国の騎士団の団長。平民の出だが、王子に目をつけられて出世
 真面目で人当りがよく、責任感も強い。常識人で頼りがいのある、トモヨ一行のリーダー…を押し付けられている。
 
 ルパン⇒泥棒紳士を名乗る、気さくで自信家な青年。実力は本物。
 カルディアをロンドンへと連れて来た張本人。



オズワルド(レオンハルト)


 ルルーリアの幼馴染で元護衛。現在は竜騎士団の団長。帝竜と契約している。
 トモヨの旅のメンバー
 無口無表情で、何考えているのか分りにくいが、それなりに優しい。
 実はルルを大切に思っているけどあんまり伝わっていない様子。


 レオンハルト⇒ヴィクトリア女王の近衛兵長。正義感が強く常に全力投球なおじさん。
 愛国心、というかヴィクトリアへの忠誠心は誰にも負けない。けど、空回っている。


ジェイド(フィーニス)
 
 ルルーリアと契約した闇の精霊。小説本編では既に消失していた為、出て来ない。
 ルルとそれ以外で世界を分けていると言っても過言ではないくらい、ルルが大好きだった。
 
 フィーニス⇒黒幕。不死という噂もある。
 黒幕らしい不気味さと若干ヒステリーっぽさを併せ持つ。


???(アレスター)


 身元不明
 
 アレスター⇒ヴァンがいた諜報機関の幹部。物腰は柔らかで話が分かる人物。が、底知れない闇が垣間見える人。
 

 
ルル「ちょっと。どうしてわたくしだけ年齢が記載されているのかしら」
ラン「いやさっき、ハルって子に因縁つけてたから、主役張れない理由を明らかにしたんだよ」
ルル「歳だけで判断されるなんておかしいわ。このわたくしの美貌とプロポーションでどんな男だって見事落として差し上げますわ」
ラン「差し上げなくていい。ていうか、実際やってみてからいいなよ」
イー「あのー、二人で楽しげにしてるところ悪いけど、そろそろ俺等も出ていいかな」
ラン「さっさと出て来いって。僕一人じゃこの人手に追えない」
イー「俺にも荷が重いけど……。まぁ取り敢えず、ルルは大人の魅力あふれる女性って事で、ヴィクトリア女王の方が合ってると思うよ。その衣装も似合ってる」
ルル「これよ、これ! ランベールも見習いなさいな。こうも心にもないお世辞を淀みなく言えるなんて、ある意味誰よりも性質悪いわよ」
イー「あれなんで俺貶されてんだろ」
ラン「いや今のはちょっとやり過ぎだよイーノック。わざとらしかった」
ルル「まぁいいわ。イーノックもその衣装とても似合っているわよ。その、ほら、紳士的というかサーカスの団長的というか。あら本業も団長だものね」
イー「騎士とサーカスは微塵も関係ありませんけどね」
ラン「でも、人選はそう間違って無いよね、実際。高圧的で計算高い女のルルーリアと、爽やかに嘘つく紳士のイーノック」
ルル「でも貴方はただ単に、ヴィクトリア女王に良い感情を持っていないキャラってだけでフランに選ばれたのよ」
ラン「はぁ!?」
イー「これ本当らしい。日頃からルルの事憎い憎いって言ってるもんな、お前」
ルル「決して心優しいだとか、天才的な頭脳を持っているとか、そんなフランの特徴と自分が一致しているなんて勘違いしないでちょうだいね?」
ラン「うるさいなっ!」
オズ「お前も十分煩い」
ルル「あらオズ」
オズ「これ被っておけ。その衣装は肌の露出が多すぎる」
ルル「そう? じゃあ遠慮なくお借りするわ」
イー「あーやっとルルの保護者来た……」
オズ「保護というか護衛なんだがな」
イー「この際どっちでもいいわ。なんかやたらテンション高いんだ。俺等だけじゃ制しきれなくって」
オズ「面白いか、リア」
ルル「ええとても」
オズ「そうか」
イー「……、それで終わりかよ! レオンハルト同様、主に忠実過ぎるだろ!」
ラン「オズワルドは主第一ってとこはそっくりだけど、キャラ的にはレオンハルトと真逆だよね……。ルルともまた全然違ってるのに何で噛みあってんだろ」
ジェ「ルルとオズは昔っから仲良しだよね」
ルル「ええそうね、オズとは幼馴染だもの。だけどわたくしが一番いつも傍に居たいと思うのは貴方よ」
ジェ「ボクもー」
ルル「ジェイド……!!」
ラン「キャラ変わり過ぎだろ。精霊の前だとあんたってこんな感じなのか。いやでも僕ジェイド初めて見たよ」
ジェ「見るな、視界から消えろ」
ラン「……え? 空耳?」
オズ「いや。リアとリアに近しい人以外に対してはあんなもんだ」
ラン「なんだこのコンビ……」
イー「俺もランベールと同じような扱いだった」
ルル「それにしてもジェイド、また可愛らしい服を着せてもらったのね」
ジェ「うん!あのね、あのね。この服、悪い子の服なんだって」
ルル「あらそうなの。でも大丈夫よ、ジェイドは誰よりも良い子だもの」
ジェ「ルルも良い子だよ。あいつ悪口いっぱい言ってたけど、ルルは良い子!」
ルル「ありがとう」
イー「ルルのああいう笑顔って初めて見たなぁ」
オズ「見るな。視界に入れるな」
イー「お前もかよ!」
ラン「初めて見たって言えば、この最後の一人の???って、これなに?」
イー「ああそれな。俺も気になってた。どっかで見た事ある気がするんだけど、何処だっけ。オズワルド分かるか?」
オズ「いや、覚えはない……とは思うが」
ルル「わたくしまだ見ていませんの。見せていただける?」
イー「これです」
ルル「…………」
イー「見覚えありますか?」
ルル「見覚えもなにも……、いえ、きっと勘違いね。そんなわけないわ」
ジェ「魔王じゃない?」
ルル「あ、こらジェイド!」
ラン「ま、おう?」
イー「え……?」
オズ「…………」
イー「あ、あはは、ははは!いやいやまさか!」
ラン「魔王が、ラスボスがこんなおふざけ企画に出るとか、有り得ないだろ」
ルル「そ、そうですわよ。ね、勘違いよね! ほほほ、いやだわ。こ、こんな写真、捨ててしまいましょうよ」
イー「それがいい、そうしましょう。魔王に見えてしまうような、こんな色んな意味で危険なものは破いて捨てておくのが一番です」
ジェ「でも、魔王だよ」
ルル「ジェイドー!」
ラン「頭痛い……」
オズ「なんなんだ、この企画は一体」



 

スチームパンクっていいよねっていう話


先日、乙女ゲー「コードリアライズ」をやって改めて思った。
というわけで、恒例のコスプレ大会をやってみたんですが、毎回アジアンタムのキャラばっかなので
今回は趣向を変えて、違う話のキャラも混ぜてみました。


ハル・ディーノ・ホズミ・ソレスタ・壱都・穂鷹
に加えて、別所に投稿した小説の人物も。
どういうキャラかは、配役を見てお察しです。



身体に猛毒を宿し、触れるもの全てを溶かしてしまう、
孤独な、怪物と呼ばれた少女カルディアが
世紀の大泥棒に盗み出され、機鋼都市ロンドンへと導かれる。
そこでかけがえのない仲間達との運命の出会いを経て
己の存在の謎と、様々な陰謀や思惑に立ち向かう
果たして、怪物と呼ばれた少女が辿り着く真実とは
人に触れたい、温もりを知りたいという願いは叶うのか……


という至極真面目なお話です。



絵を先に投下。
いつも通りトレスです。しかもちゃんとしたのじゃなく、昨日ゴチバトル見てる間に全部描きあげたラクガキです。


ハル(カルディア)
 二年より前の記憶がなく、感情に乏しくお人形のような少女。
 触れた物を腐敗・融解する猛毒を園見に宿している。


ディーノ(ヴァン)
 人間兵器と恐れられる程強い、吸血鬼戦争の英雄
 己の贖罪と復讐にかられている。
 貴様らと慣れ合うつもりはない、とか言いながら滅茶苦茶メンバーと打ち解けているツンデレ
 
ソレスタ(サン)
 面白そう、という理由だけでお尋ね者や問題児達を自分の屋敷に匿う変わり者。
 敬語紳士で優しげだけど、腹に一物抱えてそうな人。


穂鷹(インピー)
 ルパンの相棒。底抜けに明るいお調子者の天才技師
 一家に一台必需品の、イジられキャラ。


壱都(ショルメ)
 探偵。泥棒一行である主人公達の前に度々立ちはだかる。
 もうそれ推理の域を逸脱してる…というくらい、いっつも行動を先読みしてくる、敵に回したくない人。
 飄々としていて底知れない。


ホズミ(ドラちゃん)
 吸血鬼の生き残り。ドラキュラことドラちゃん。
 可愛い見た目に反してかーなーり強い。まさに人外
 ヴァンが親の仇


ルルーリア(ヴィクトリア)
 女王。正しく女王。とても頭の回転が早く優秀な施政者。
 国に全てを、命すら捧げる勢いの、鋼の心を持った女性。
 愛国心が故に時として非情にもなれる。
 
ランベール(フラン)
 みんなご存じフランケンシュタイン博士
 元政府お抱えの錬金術師。医術にも精通している天才。今は女王によって指名手配犯にされている。
 とても真面目で根が優し過ぎるせいで、キャラの濃いメンバーに振り回されがち。



ハル「どもども。主役のカルディアでーす、ちょりーっす。でもこれ俐音ちゃんの方が適任じゃないのかなぁって思うんだけど」
穂鷹「俐音ちゃんは逃げたよ」
ハル「さっすが! にしても穂鷹くん、ファンタジーでも違和感ゼロじゃん。イジられキャラってのもそのまんまだし、もうこれからホダピーって呼ぶわ!」
穂鷹「やめて、そういうのマジで採用されんだから!ていうかキャラは全然違うよ、俺がインピーだったら四六時中、君の事口説き回る事になっちゃうよ!?」
ディ「はあ?」
穂鷹「ひぃ! すっごい低い声が背後から!」
ハル「おおおディーノが眼鏡掛けてる!」
穂鷹「ヴァンってキャラ的にお洒落とか興味無さそうなのにさぁ、一番衣装が凝ってるよねー。お洒落眼鏡に装飾もいっぱいついてるし、なんと言っても」
穂・ハ「ハンパ丈パンツ+ブーツ!」
ハル「お洒落上級者! しかもこれって何気にスタイル良くないと似合わないんだよね」
ディ「変わった衣装ですが、コートの裏に仕込みのナイフや飛び道具が色々入っていて機能的ですよ」
穂鷹「本職はやっぱ見るとこが違いますね」
ディ「この銃という武器も初めて扱いますが、慣れれば重宝しそうですし」
穂鷹「ちょー! こっちに照準向けないでー! さっきの発言何気にまだ引き摺ってるよこの人!」
ハル「ディーノもある意味人間兵器みたいなもんだからね」
穂鷹「呑気な事言ってないで助けてー!」
ソレ「アナタ達賑やかねー」
ハル「あ!貴族!」
ソレ「せめてキャラ名で言ってくれないかしら!?」
ハル「いやぁ、ソレスタさん似合ってんねぇ。ゴージャスな顔してるから、そういう鳥の羽ぶっ刺したごちゃごちゃしたの、ほんと似合ってる」
ソレ「褒める気さらさらないわね」
ハル「だって褒めろって顔に書いてあるとさぁ」
穂鷹「にしても、この伯爵の衣装、ほんとすごいッスね。腕とか特に」
ソレ「優雅さと厳つさを兼ね揃えたサンのキャラらしい衣装よね。ホラ」
シャキン!
穂鷹「ぎゃあっ!仕込み刃いきなり出さんで下さい、そしてこっち向けるなっての!」
ハル「人間兵器のヴァンより伯爵の方が強そうだよねー」
ディ「…………」
穂鷹「おこだよ、英雄がおこだよ!」
ホズ「ディー、怒ってるの?」
ハル「うおおお! マイ スウィート ドラちゃんー!!」
穂鷹「ああカルディアが壊れた!」
ハル「シシィ(犬)はどこ!? ドラちゃんとシシィは誰にも渡さない!!」
ホズ「ハル、苦しい」
ハル「ああごめんホズミ。あまりの可愛さに我を失っちゃった」
ソレ「ハルちゃん、いい事教えてあげましょうか。ドラちゃんとシシィは攻略対象外よ」
ハル「なん……だと」
穂鷹「いや分かるでしょ、普通分かるでしょ!」
ディ「大丈夫です。俺がハルもホズミもまとめて養いますから」
ハル「ディーノー!あんたほんま男前やぁー」
ソレ「そういう事じゃないと思うんだけどね」
穂鷹「もうそっとしておきましょう」
ハル「でも言われてみたら、ドラちゃんはヴァンと因縁があって、公式絵見てると大抵シシィはヴァンとセットで描かれてるよね」
ソレ「ディーノもホズミに懐かれてるし、そういうとこも似てるじゃない」
ディ「嬉しいんだか嬉しくないんだか分らないんですが」
ハル「羨ましい……っ」
ホズ「ソレスタもサンと似てる」
ハル「そうね、年齢不詳なところとか、チート級に強いところとか」
穂鷹「それで言ったら、壱都先輩のショルメもですよ……」
壱都「呼んだ?」
穂鷹「出たー!」
壱都「なんでそんな驚くの。俺もこの企画参加してたのは知ってたでしょ」
穂鷹「そ、そうですね。ショルメみたいに神出鬼没だから驚いて」
ハル「ショルメもチートだよね。何度も何度もカルディア一行を出し抜いて翻弄してたもの」
ホズ「…………」
壱都「なに?」
ホズ「ううん。……ハル、あの人なんか怖い」
ハル「うん。逆らっちゃダメだよ。ディーノの次くらいに」
ディ「聞こえてますよ」
ハル「エェト、後出て来てないのは……ルルーリア? ランベール? 誰だろ」
ルル「あらわたくしの出番のようね」
ルル以外「…………(なんかすごいの来たー)」
ルル「わたくし、ルルーリアことヴィクトリア女王よ、宜しくお願いするわ」
ハル「あ、はい、お願いされました」
ルル「あらあら可愛らしいお嬢さんだこと。貴女がわたくしを差し置いて主役ですって?」
扇子でハルの顎を持ち上げながら
ハル「ひぃぃごめんなさいごめんなさい!美人なルルーリアさんを差し置いて私なんかが主役張ってごめんなさい!!」
ディ「いきなり何をするんですか」
扇子を払い落とす
ルル「まぁ、勇ましい方ね。けれどわたくしに口答えするだなんて、百年早くてよ。ほら、貴方が落とした扇子を拾いなさいな」
穂鷹「ま、まぁまぁ! 仲良くしましょうよ! 折角こうして会えたんだから」
ルル「わたくしはこれ以上ないくらい友好的に接しているつもりだけれど」
穂鷹「どこが……!?」
ラン「いい加減にしときなよルル。そうやって誰でも彼でもおちょくって遊ぼうとするから勘違いされるんでしょうが」
ルル「あらランベール。だって、皆さんがとてもわたくしを警戒しているのだもの、面白くって」
ラン「まったく」
ルル「ふふ、ごめんなさいね、みなさん。さっきのはちょっとしたおふざけよ」
穂鷹「ちょっとした?」
ルル「ほらやっぱり、最初が肝心って言うじゃない? 一発ガツンとかましておこうかしらと思って」
ラン「はぁ……。ルルはこの通り性格が捻じ曲がってるだけで、そこまで害はないから安心してほしい」
ルル「貴方には言われたくないわぁ」
ソレ「で、お二人は一体?」
ラン「人数が多すぎるから二部構成にって急遽決まったから、後は僕達が引き継ぐって言いに来た」
ルル「そうなの。まだ数名増えるのよ。明らかに定員オーバーでしょう? 今でさえ既に会話を放棄している方々がいらっしゃるのだもの」
穂鷹「た、助かります……! もう俺の手に負えなくなってて」
ホズ「ディーノとい、イチト? が、向こうのソファで寛いでる」
ハル「あ! ディーノがブラッド化した! 駄目だもう集中力が切れてやがる」
ソレ「この状態だものね。じゃあ悪いけどお願い出来るかしら」
ルル「任されましたわ」
穂鷹「出てきた時はとんでもない人来ちゃったと思ったけど、案外普通の人だった……」
ルル「ランベール、ちょっとこの人の事燃やしておいてくれないかしら」
穂鷹「お、俺!?」
ラン「嫌だよ、ゴミが増えるじゃん」
穂鷹「ゴミ!?」
ソレ「うんうん、一家に一台イジられキャラよねぇ」


 


 

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