頷いた私を抱き寄せると兄は最初のキスのような柔らかなキスを落とす。
    急く事なく、ゆるりゆるりとキスを繰り返し、唇をゆるく食み、舌を滑り込ませ、
    私の口内を味わうよう蠢かせる。
    「……ん…ん…」思わず声が漏れてしまうくらい脳が蕩けてゆきそうになって
    兄のシャツをぎゅっと握りしめる。
    別れた彼とのキスでも感じる事はあったけれど、彼はこんなに長くキスをしたりしなかった。
    いや、私が忘れているだけで、付き合い始めた頃にはあったのかもしれないけれど…
    でも、こんなふうに感じた事はなかった。
    「サナ、大丈夫?」唇が離れた事にも気づかずぼーっとしていた私を
    兄はちょっと心配そうに覗き込んだ。
    「……大丈夫……」今更ながら照れて目を逸らした私の顔を両手で挟むと視線を合わせる。
    「俺、シャワー浴びてくるよ。サナ、ここ片付けておいて…その間によく考えておいて。
    今ならまだ引き返せるから。」私の答えも待たずに兄は浴室へ行ってしまった。
    テーブルの上を片付けながら、先ほどまでの事を思い返した。
    兄に…タケルにキスされるのに何の抵抗もなかった。
    むしろ、それより先に進んだらどうなるのか気になった。
    そんな事を考えながら洗い物まで済ませると、いつのまに出て来たのか背後から抱きしめられた。
    「サナ…やっぱり、止めておこう…どんなにお前が欲しくても後悔させたくない」
    私の肩に顔を埋めるようにしてタケルが呟いた。
    「お兄ちゃん…ううん、タケル…私……後悔しないよ…だから…」
    どう自分の気持ちを伝えればいいのか分からなかった。
    でも、後悔なんて多分しない。何故かそう思っていた。
    「本当にいいのか?…………俺の部屋に行くぞ」
    私の目をじっと見つめ、決心したようにタケルは言うと私の手を引き、
    一人暮らしをするまで使っていて、そのままになっている自分の部屋へと向かった。
    さっき着替えを取りに入った時にエアコンを入れておいたのだろう程よく暖まっている。
    ベッドの掛け布団を捲り上げると私を促し、一緒に横になると後ろから私を抱きしめた。
    「いつ来ても、この部屋ちゃんと掃除されてる。ベッドの布団だって、すぐ使える」
    頻繁には来なくても時々帰ってきて泊まる事もあるから、週に一度は掃除をし、
    換気もしていたし、時々は布団も干していた。そんな事、気にも留めていてくれるとは
    今、言われるまで思いもしていなかった。
    「だって、タケル予告も無しに来て泊まって行く事もあるじゃない。」
    「そうだったね。俺、高校生になった辺りから、もうサナの事、“女”として
    意識し始めていた。それでも、それはおかしいって何度も思ったんだ。気づけばお前にも
    彼氏なんて出来てさ…お前が大学1年の夏、うなじにキスマークがあるのを見た時…嫉妬した。
    お前を抱けるアイツに!!」そう言うと私のうなじにタケルの吐息がかかるのを感じた。
    そっと唇を寄せ、そしてキュッと微かに痛みを感じた。
    「暫く、人前で髪をあげちゃ駄目だよ。」
    「あ!もう、そんなところに…」タケルの方に顔を向けると唇が塞がれた。
    さっきまでとは違い最初から舌を滑り込ませ、口内のあちこちをなで上げる。
    部屋着のラフなワンピースの上をタケルの手が動き回る。
    肩や腰、尻をなで回し、胸の膨らみを包み込む。
    「サナ、ブラ着けてるの?寝る時、いつもしてるの?」
    「…え?…やぁ、だってすぐに寝るわけじゃなかったから……ん、やぁ」
    ブラの上からタケルの指先に頂を捕えられ、思わず声が出る。
    「…ねえ、サナって胸大きいよな?サイズどの位?」手のひらは胸を揉みしだき、
    首筋にはキスを沢山され、時折舌で舐め上げられる。
    「…え…あん…う…Fカップ…あ…やぁ…んん…」耳を舌が這い回るのに声が挙ってしまう。
    いつの間にか前開きのワンピースのボタンが外され、ブラをしたままの胸にタケルが顔を埋めた。
    「大きいけど、ちゃんと張りのある胸だな。」吐息が肌にくすぐったく感じ身を攀じる。
    そのスキに背中でホックが外され、腕からブラが抜き去られた。
    「…参ったな…想像以上に綺麗だ。」直にタケルの手のひらに包まれ、指先が頂を弾く。
    「あっ…ふっ…」身体がピクリと跳ねる。
    「ちゃんと感じてる…もっと感じて…」そう言いキスをした唇は耳を軽く噛み、
    首筋を何度も舐め上げ、肩も舐めたり甘噛みされたりし、ようやく胸の膨らみに辿り着く。
    敏感な頂を避け、膨らみを辿るようにじわじわと弄られる。
    それだけでも、ピンと立ち続けている頂を舌先が不意にかすめた瞬間、更に私の身体が跳ねた。
    「サナ…」跳ねた事が合図のようにようやく乳首がタケルの唇に捕えられた。
    唇で何度も食み、くるりと舐め回され、舌先で弾かれ、吸い付くように含んだタケルの口内で
    舌が執拗に蠢く。もう片方は手のひらが押し上げ、指先が乳首を弄り続ける。
    「あぁ…やぁ…ん、ふ、あん…タケル…あん、やぁ…」執拗な乳房への愛撫だけですでに
    昇りつめそうになっていた。
    「サナ、凄く濡れてる…下着、脱がせるよ。」いつの間にか片方の手が足の間に滑り込んでいた。
    タケルの言葉通り、下着はすでにぐっしょりとしている。
    私の下着を脱がせたタケルはまだ何も脱いでいなかった。
    「…タケルも…脱いで」そう言いながら身体を起こしタケルのスウェットの上着に手をかけた。
    「自分で脱ぐから、ちょっと休んでて。」トンと私をベッドへ押し戻すと自分で全て脱ぎ去った。
    そうした後、両足の間に片足を割り込ませ多い被さると再び私の身体を舐め回す。
    片方の手はすでにトロトロと蜜の流れ出している場所を弄り始めた。
    「ああん…やぁ……あん、タケル…もう…あ、や、うっく、タケル…」息が上がりそうなくらい
    タケルの指が割れ目の奥へと進み探るように撫で回す。
    「あ、ふぅん、あぁ」とある場所で私の内部がキュッと締め付ける。
    「ここ、感じるんだ…それなら」指はそのままそこを弄り、いつの間にか顔を近づけると
    一番敏感な芽が舌先に露にされ、そのまま吸い付かれた。
    「きゃっ、やあん…あぁタケル、そんなにしたら、あ、あ、もう…もう…」一瞬頭の中が白く弾けた。
    「イケた?…サナ?」反応を返せないでいる私に心配そうに視線を合わせてくる。
    「…あ、うん…」息を整え、どうにか笑顔を見せる。
    「よかった…じゃあ、一度入れたい…いい?」さっきから腰や足にタケルの張詰めた物を感じていた。
    本当は私からも何かしたかったのだけれど、今、タケルが望んでいるのは入れる事だろうと頷く。
    いつの間にかゴムを装着したそれが入り口に擦り付けられる。
    するりとそれを私は呑み込んだ。
    「あ…んん…ふっ…」たった一人しか知らないからその人としか比べられないけれど、
    多分、太さはあまり変わらない感じ。ただ、奥へ突く感じからすると少し長いようだ。
    「サナ…」ゆっくり抜き差ししながら手のひらは乳房を揉みしだき、時折キュッと先端を摘む。
    「あぁん、ふ…やぁ…あ、う、ふ…」どんどん漏れる声を呑み込むようにキスをされる。
    舌を絡められ、繋がっている部分からはより卑猥な音が聞こえる。
    「やぁ、もう…あん、やぁ…」多分、またすぐに昇り詰めそうな気配。
    「イキそうなの?サナ。じゃあ、ちょっとスピード上げるよ?」
    頷いた私にそう告げると腰の動きを加速させた。
    「あ、もうイっちゃう…やぁ…んん…」
    「俺もイクよ…サナ、サナ…」
    ほぼ同時に果てた。
    ダラリと力の入らない私に何度もキスをするタケル。首筋にも乳首にも軽く愛撫をされ
    私がピクリとすると、物凄く嬉しそうに笑った。

    知らなかった。こんなにセックスが気持ちいいなんて。
    もしかすると、それは本当は許されないと言う気持ちが作用しているのかもしれないけれど。
    あれから3年、私とタケルは相変わらず身体を重ねている。
    多分、ここからはもう抜け出せない。