「ほら、鍵開けろ」

促されて、久しぶりの我が家の鍵を開く。
私の荷物の殆どをキミが持ってるから仕方がないんだけど、彼も部屋に入ってくる。
私の着替えなんかも持ってきて貰うのに、鍵を渡して勝手に入ってもらったりはしているけれど、やっぱり二人きりになると、どうしても緊張してしまうもので。

「あー、何か帰ってきたなって感じするわ」
「ふふっ、何それ。ここ、キミの家じゃないでしょ」

荷物を下ろして、寛ぐキミの言葉に私は笑ってしまった。
キミは、そうじゃないって、と、私を見る。

「お前が、ここにいてやっとお前の部屋なんだよ。お前が帰ってこない間は、少し空虚で……」

ああ言うのを、寂しいって言うのかもしれない。そう、小さな声でキミは呟いた。
たった、一度しか私の居る家に入ったことはなかったのに、そう感じてしまう何かがきっとキミにはあったんだと思う。