君がいなくなった日、私は人生で最も愚かな事をしたことに気付いた。

あんな事言う必要もなかったし、する気など無かったが。ある意味信頼していたあの人に、私以上に君の事を知り、君の事を想っているはずの、あの人にそれをすることが最善策なのだと言われ、私はそれに従った。
あの人が君のことを思い頼みにきた顔の裏で何を思い何を行っていたのかを知りもしないで。

あの人さえ居なければ、そんな思いに駆られるが其れは結局何も出来なかった、いや、しなかった私の言い訳でしか無いのだろう。
あの時違和感を感じながらもその違和感の正体に向き合うことを恐れ、その違和感を無視することを選択した、弱く愚かな私が悪い。

だから、あの人をどんなに罵ろうと何の意味もないし、かといって、私が無力な自分を責めようと其れは自己満足でしかなく、過去が変わるわけではない。
ましてや、その結果である今がどうこうなるわけが無いのだ。
君が生き返ることなどあり得ないし、私がしてしまったことが無かったことになる事なんて無いのだ。

そう、私が君に勧めたという事実は変わらないし、あの人を止められなかったという事実も、何の行動も起こさなかったという事実も変わらない。
いや、それは厳密にいうと違うのだが。まぁ、どちらにせよ結果は変わらない。

全ての真相を突き止めた今。後悔などするだけ無駄だと分かっていても、それでも後悔せずには、嘆かずにはいられない。


・・・ああ、過去に囚われ続けて時間を浪費するなんて私らしくない。

けれど、今は全てを振り返って自己嫌悪に浸ることも、良いのかもしれない。