こっぱえまにえる


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 12/28 10:21(:その他
 Go to the NISHI 7
※はじめに※
1、西遊記パロです
2、例のごとくやりきれてない感じです
3、独断のみの配役です
4、ちょびっとシュラ→獅郎です



問題ないと思われましたらお進みくださいませ。。。





それはあまりにも突然だった。

嫌だ嫌だと思いつつも時は過ぎるもので、シュラは近頃少しばかりの焦りを抱いている。理由は勿論このいつ終わるのか皆目見当もつかない旅路に関してだ。 

長くなるとは思っていた。目的地は分かっていても、そこまでの試練は数知れないだろうと予測できていたのだから。

だがしかし、だけれども、これは予想外だった。まさかそんな…………



身内が面倒過ぎるだなんて。



今日は野宿。本来立ち寄るつもりでいた村は既に焼け野原で、仕方なしに先を急いだ結果だ。そしてまた今の今まで揉めていた。

やれ寝る順番がどうのこうの、野外でヤるのはどうのこうの、と。 

どうでもいい。完全にどうでもいい。たぶん毎度毎度のこのくだりが無かったならば、もう西まで余裕で行けているのではないだろうか。いや、なんなら往復して有給を満喫したりもできている気がする。

何度ボイコットを考えたことか。そして諦めたことか。

この旅でシュラは自分が思いの外に義理堅い人格者であるか知った。たぶん恐らくこの旅の鍵を握っているのは自分以外にいないということも。


「シュラ」

「おー、なんだ?眠れないってか?」

「ちげーよ!でもほらなんつーの?俺にもセ……セ……」

「セ……?」

「センチメートル?」

「センチメンタル?」

「それそれ。そーゆーのがあんだよ」


いや、ねーよ。言えてない時点でねーよ、お前には。 そうシュラは咄嗟に言いかけてやめた。

いつからだろうか。この旅の中で弟のようだと思い始めたのは。いつの間にかこうして燐と二人で話すことが多くなった。

見た目よりも更に幼さのある行動をとることもあれば、驚くほど大人のような顔をすることもある。そんな燐に騒ぎから少し離れた場所で焚き火をしていたシュラは自身の横を空けてやった。座れという意味で。


「ジジイ元気かな」

「んー?まぁ大丈夫だろ。むしろヘラヘラしてない状態の方が想像できねーわ」

「ふはっ。シュラはさ、ジジイのカッケーとこどんくらい見たことあんだ?つえーの?」

「そりゃあ……」


ここにはいない、シュラが頼り(押し付けようと)にしていた藤本。少しばかりたじろんだのは、かつて恋心に近い感情を抱いていたことがあったためだった。

誰よりも強く優しい。ふざけてみせるその表情の奥でいつだって藤本の目は柔らかかった。そんな彼の格好良いところなんて語り尽くせない程あるのだ。

何から話してやろうか、と横を見れば深い青色の瞳を煌めかせる藤本の愛息子。血の繋がりはないだろうによく似たところのあるその頭をグシャグシャと撫で回したシュラの口から出たのは労いだった。


「頑張って超えてけよー?孫悟空」

「いってぇよ!つーかずっと思ってたんだけどそれ雪男だから!」

「はいはい。………………はい??」


今コイツはなんと言ったのだろうか。理解できない状況に今一度、燐の頭の先から爪先までを見てみる。 

見た目より柔らかな短髪、少しばかり尖った耳、幼さの残るやんちゃそうな顔立ち、瞬発力持久力に優れた肢体、制御の金環がついた長い尻尾。 

三蔵に悟浄、上司である金髪はどうか知らないがシュラは少なくとも旅を命じられた際にストンとその名前が入ってきた。まるで神や観仏の啓示であるかのように。 

だから他も皆そうなのだろうと思っていた。燐は孫悟空なのだ、と。だから岩の下にいたのだ、と。ついでに言えば雪男は八戒だろう、と。いや別に雪男が豚に見えるわけではないが疑問にも思わなかった。 


「え、ちょちょちょちょい待ち。雪男が悟空?孫悟空?」

「おう。だってよくアイツ悪いことしたら眼鏡ギュンッてされてたし」

「あの眼鏡そういうのなのかよ!!いや、え?え?お前は??お前が八戒?」

「ちげーよ!俺は紅孩児!」

「は?」


紅 孩 児 

魔のもの、俗にいう魔族の長の子。突然飛び出した超ビッグネームにシュラは耳を疑った。

何故そんなビッグネームがここにいるというのか。そもそも何故に藤本が育てていたのか。まったくもって理解できない。理解できないが悲しいほどに……恐ろしいほどに……

ストンと落ちてきてしまった。

燐の力は明らかにチート。もし全力で理性もなく本能で来られたならアーサーすら無事ではすまないだろう。そして何よりも青色の炎。

王の証。

暫し目まぐるしく頭を働かせてからシュラは大きく息を吐いた。これは大変な事態だ。自分はひょっとしてひょっとするととんでもないことをしてしまったかもしれない。

巨石の封印を解き、仲間に加え、西に同行させている。バレたら完全にアウト。

いや、だがもし加えていなかったならば雪男もいなかった。そもそもたぶん自分も行かなかった。放棄したとバレたら……完全にアウト。 

どちらにしてもアウトではないか。それならばつまりいっそのこと答えは簡単で。 


「燐、シィーだ」

「へ?」

「内緒。金髪ハゲが今より面倒くさくなるから内緒、わかったか?」

「わかった」


今よりも面倒くさくなる。

はっきり大きく頷いた燐と目を合わせ、もう一度いっしょに頷いてからシュラはゴロリと横になった。これでいい。これでいいのだ。 

腹巻きもステテコも身に付けてはいないがいいのだ。何故ならここでこうして解決させたことで旅は続く。 

どこまでもどこまでもいざ行かん。



Go to the NISHI.


《あとがき》
やだかれこれ1年くらいになっちゃう!!と、焦って終わらせました本当の八戒は外道院ちゃんでしたが都合上出てきませんでした。だって出てきたら王道乙女展開になっちゃう★キャハッ★……おっふ

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました


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