西日本豪雨

ため池の危険性浮き彫りに 全国で20万カ所、対策進まず

ため池は全国に約20万カ所もある
ため池は全国に約20万カ所もある

 西日本豪雨で、ため池決壊への警戒を要する状態が続いている。広島県では、豪雨から数日過ぎて、ため池が決壊する危険があるとして各地で避難指示が相次いでいる。全国で20万カ所あるため池は、貯水に役立つ一方、一部については老朽化も進み、豪雨により決壊のリスクが高まる。広島県の担当者は「雨が上がっても山から土砂を含んだ水は流れ続けている。晴れていても安心せず、刻々と変わる状況を注視してほしい」と指摘する。

瀬戸内に集中 進む老朽化

 農林水産省や広島県などによると、ため池は、大きな河川が乏しい地域などで農業用水確保のため造成された。歴史的に水不足に悩まされてきた瀬戸内地方には、全国の約20万カ所の半数以上のため池が集中。このうち7割程度は江戸時代以前に造られ、どのような地盤にどんな構造で築造されたのかよく分からず、老朽化も進む。

 通常時は水位に余裕があるため、降雨の際に一定程度貯水でき、洪水を予防する働きがあるとされる。一方で、豪雨や台風で水位が急上昇したり、流れ込んできた土砂や流木で排水経路が詰まったりすると、決壊の恐れが高まる。老朽化により池の斜面の部分が耐えられなくなったり、地震により損傷したりするケースもあり得る。

防災重点の指定されず

 広島県はため池の数が1万9609カ所と、各都道府県の中で兵庫県(4万3245カ所)に次いで2番目に多い。大半が江戸時代に農業用として造られたという。

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