新型コロナ封じ込めへ我慢の列島 北海道は奏功だが

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 新型コロナウイルスをめぐり、安倍晋三首相が「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要だ」と述べ、イベントの自粛を求めてから1週間余りがたった。政府はその後も臨時休校の要請や中国と韓国からの入国制限などの封じ込め策を打ち出してきた。官民挙げて協力姿勢を示しているものの、感染者は増減を繰り返し、新たな患者集団(クラスター)も出現している。政府の決断は遅きに失したのか。自粛の効果が表れるのはいつか。

 専門家が「1~2週間が急速な拡大か終息かの瀬戸際」と見解を公表したのは2月24日。これを受け、安倍首相は26日に全国的なスポーツ、文化イベントの2週間の自粛を要請し、27日には小中高校、特別支援学校に春休みまでの臨時休校を求める異例の決断を下した。3月5日には中韓両国からの入国者に、宿泊施設などで2週間待機してもらう水際対策も断行した。

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 感染拡大に歯止めをかけるための措置だが、厚生労働省によると、5日時点でクルーズ船を除いた国内感染者数は349人。1日当たりの新規感染者は、2月25日8人▽26日22人▽27日23人▽28日19人▽29日9人▽3月1日15人▽2日14人▽3日16人▽4日33人▽5日31人-と日ごとに一進一退を繰り返しており、劇的な効果が現れているとは言えない。

 一方、対策の効果が数字上表れているように見えるのが、国内最多の感染者が出ている北海道だ。道内では2月11日まで開催された「さっぽろ雪まつり」が感染拡大の端緒とされるほか、北見市の住宅設備の展示会(13~15日)で11人の感染が確認され、クラスターとみられている。

 厚労省は鈴木直道(なおみち)知事の要請を受け、25日に新設されたクラスター対策班から感染症の専門家3人をいち早く投入。道は27日から全国に先駆けて一斉休校を始めたほか、鈴木知事が28日に異例の「緊急事態宣言」を出し、週末に外出を控えるよう呼びかけた。

 その結果、道内の新規感染者は26日8人、27日15人、28日12人と続いたが、それ以降は1日当たり1桁にとどまっており、専門家会議の関係者は「大きな離島の北海道は比較的制圧しやすい環境にある。行政の強い介入があり、数日間は感染者が相次いだとしても、2週間ほどで減り始めれば効果が出ているといえる」と話す。

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