【コラム】公約守ったエルドアン氏、トルコ投資不能に-アシュワース
Marcus Ashworthトルコのエルドアン大統領は残念ながら有言実行の人だった。選挙期間中に約束した金融政策に対する統制強化を、早速実行に移した。また安全網の最後の一本を断ち切り、トルコを投資不可能な国同然にしてしまった。
健全な財政運営と標準的な経済原則を尊重し、外国投資家からの評価が高かったシムシェク副首相、アーバル財務相はいずれも更迭された。エルドアン氏が権力を固める中で、2人は投資家の不安解消に尽力した。この役割を担う人材はもういないようだ。
エルドアン氏は9日、財務と金融を統括した新しい省のトップに、娘婿のベラト・アルバイラク氏を据えると発表した。この決定は、常識と責任のある財政運営への期待を完全に打ち砕いた。エルドアン氏は自らに中央銀行総裁の指名権も付与し、高金利がインフレを加速させるという独創的な理論を実行に移せる能力を得た。
トルコ資産がことごとく容赦ない売りを浴びた10日の市場の反応は、ほんの始まりだろう。トルコ・リラはドルに対して下落し、同国10年債利回りは17%を突破した。トルコ債の保証コスト(クレジット・デフォルト・スワップ=CDS)は急上昇、株価は大きく下げた。格付け会社が新たな政治的現実に暗い見通しを示さず、すでに投資不適格(ジャンク)級としているトルコの格付けをさらに引き下げないとは想像しがたい。
近寄らないことが最善策であることはほぼ間違いない。リラの価値を下支えするものは何もない。ショートにするにはターゲット水準が見当たらない。後に買い戻すためのコストは信じがたいほどになる。向こう見ずな者たちだけが参加するゲームでしかない。
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原題:Erdogan’s New Dynasty Makes Turkey Uninvestable: Marcus Ashworth(抜粋)
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