大学編入,大学編入学

大学編入学・大学へ入学するさまざまなルートについて紹介

大学編入学とは

大学編入学とは、大学へ入学するルートの一つで、短期大学や専門学校などに通ったあとに、大学での教育課程の「途中年次」に入学して学習する方法です。大学編入学は、法令に基づいて行われる必要があります。たとえば、専門学校から大学に編入学を行う場合は、大学卒業資格を取得できるわけで、将来のキャリアアップにも役立ちます。
一般的に大学への編入学は、3年次への入学となり、小学校や中学校の転校とは違い、編入学試験、もしくは取得単位の認定が必要となります。大学編入学者で多いのは「高等専門学校」「短期大学」で学んだ人のほか、他の大学から編入する場合もあります。

大学への編入学年

先に触れたとおり、大学へ編入学する場合、3年次への入学が一般的です。しかし、中には2年次や4年次への編入学を行っている大学もあります。これは大学により編入試験の出願条件が異なることによるもので、3年次編入試験とは別に2年次編入試験を行っている大学もあります。また、3年時編入試験において、系統の同じ学科を学んでいた人については3年に編入させるものの、異なる系統の学科を学んでいた人については2年次に編入させる、という処置をとっている大学もあります。そのため、出願を希望する大学の審査要件は必ず事前にチェックしておきましょう。

大学編入学試験

大学編入,大学編入学

大学編入学試験は、短期大学や高等専門学校、専修学校専門課程(専門学校)を卒業した人、卒業見込みの人、また4年制大学の2年次まで修了した人を主に対象とした試験です。大学編入学試験は、3年次への編入を目的として選抜するもので、先に触れたとおり、場合によっては2年次に編入する大学もあります。
大学により受験資格が限定されることもあり、医学部などの場合、大卒や大卒見込みの人のみに受験資格を与えている大学もあります。
編入学試験では、専門科目と語学のほかに面接で合否を決めることが多いようですが、理系の学部の場合は、理数系の科目を受験に採用しているところもあります。

推薦編入学制度を設けている大学もあり、特に短期大学や高等専門学校、系列校にこの制度の枠を振り分けているところが多いようです。通常、編入学試験は夏から秋に行われることが多いのですが、欠員を補充する目的で編入学試験を行うこともあり、この場合は12月頃から年度末にかけて行われることが多いようです。入学試験とは異なり、編入学試験は、特に決まった形があるわけではないので、試験の実施については大学や学部側で判断して行っているのが実情です。

大学編入学試験、大学入試とはどう違う?

大学編入学試験は、大学の事情により行われるものであり、全部の大学で行われているわけではありません。欠員が出ていることから募集をするという大学がほとんどです。そのため、大学編入学試験はどこの大学でも毎年必ず行うという性格の試験ではなく、募集人数も募集学科も定まらないことが普通です。大学への編入学を考えるのであれば、常に希望する大学の動向はフォローしておくべきでしょう。
大学編入学試験は「途中から学ぶ」ことになるため、その学科で学ぶ分野の科目「専門科目」を含んだテストになることが普通です。もちろん、大学のレベルにより設問の難易度は異なり、難関と呼ばれる大学であれば、当然ながら大学(1年次)などで学ぶ内容も出題されます。大学の授業内容についていくためには、それなりの学力を身につけていることを証明しなければならないのです。
大学入試は毎年、必ず行われるため、入試に向けた勉強ができます。出題傾向など、学習する上で多くの情報があるため、準備もしやすいのです。しかし、編入学試験については、あまり情報が公開されていません。入試と違って準備がしにくい傾向があるのです。これを克服するためには、短大や高専、専門学校に在籍している頃から必要な実力を身につけること、そしてネットや学校をとおした情報収集が欠かせません。

大学編入学試験受験志願者の傾向

大学編入学を目指す人の多くは専門学校や高等専門学校で学んでいる人たち。専門学校や高等専門学校を経由しての大学への編入は、現在では珍しいことではなくなりました。一度、大学に入学してから、さらに難関の大学を目指して編入学試験を受験する人が増加しているのが近年の傾向と言えるかもしれません。そのため、受け入れる大学側でも、近年の志願者の傾向に合わせ、テストの内容を合わせる=テストが難しくなる傾向が強いようです。ただ、難しくなる傾向にあると言っても入学試験と比較すると倍率は低く、すべての大学の平均は3倍前後。まだまだ一般入試よりも編入学試験の方が、数字の上では入りやすいと言えるでしょう。

大学編入,大学編入学

大学編入学試験の受験資格

大学編入学試験の受験資格は、すでに少し触れたように、大学によって異なりますので、一般的な話としてここではお話しします。大学編入学試験は、

  • ・専門学校卒業者(総授業時間数1700時間以上、修業2年以上)
  • ・高等専門学校卒業者
  • ・大学1、2年次修了、もしくは修了見込み
  • ・4年制大学卒業
という条件のいずれかを満たしていれば受験が可能です。
4年制大学を卒業した人の場合は「学士入学」と呼びます。
繰り返しますが、上記は一般的な話であり、出身学科や大学の卒業者(もしくは卒業見込み者)だけに受験資格が限定されることも学校によっては考えられます。

大学編入学試験の入試時期について

大学編入学試験は、その性格上、試験時期が定まっていないことについては少しお話ししました。しかし、入試の時期は、実は受験を考える人たちにとっては、入学金などの「お金の話」が絡んでくるため、とても大切です。また大学、特に学部によっては編入学試験を早い時期に行う場合もあります。早く行う傾向が強いのは国立大学の理系。例年6月ぐらいから試験が始まります。その後に医学部が続き、9月頃から国公立文系の試験が順次始まる、という傾向があるようです。ただ、自身が希望する大学、学部については、常にフォローすることを忘れないでください。

大学編入学試験の入試科目について

入試の科目についてですが、語学に加えて専門の科目、そして面接が一般的です。多くの場合、英語は試験科目に含まれますので、英語の勉強は必須になります。しかし、中には英語の試験の代わりにTOEFLなどの得点提出を義務づけている大学もあるようです。いずれにしても英語が苦手な人は、専門学校等に在学している内から、時間をかけて勉強して、万全の準備をするよう心がけましょう。

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語学(英語)の出題傾向

一口に語学と言っても、やはり学部や学科により、その内容に合った設問が行われることが普通です。ここでは出題傾向を3つのタイプに分類してみました。

長文タイプ
長文読解を中心とした設問で、部分的な訳、穴埋め問題のほか、英作文などが出題される場合もあります。文学系の学部や私大社会科学系の学部では、この長文スタイルで試験が行われることが多いようです。
一般入試タイプ
大学編入学試験としては少数派ですが、国立大学の文学系の学部では、語彙力、発音、文法、長文など、英語能力を幅広く問う問題が出題されることがあります。
専門タイプ
英語といってもただの英語ではなく、学部、学科の専門範囲について書かれた英文の翻訳、説明などが課されるのが、この専門タイプです。法学部や経済学部では、このように専門的な内容を英文で問うことが多いようです。

大学編入学試験では、一般入試タイプを除いては、長文読解がメインとなりますので、長文読解への準備は欠かせません。それに加えて、特に法学部や経済学部では、専門用語を英語でも知っておく必要があります。TOEICやTOEFLの得点の提出を義務づけている大学も増加しているので、受験資格をチェックする際には、併せて確認しておきましょう。

専門科目の出題傾向

専門の科目について、大学側は受験者が大学の授業レベルに適合した能力を持っているかどうかをチェックしています。出題傾向はもちろん大学により異なるので何とも言えないところではありますが、どの専門分野においても基礎的な内容は当然出題されます。学部別の出題傾向については、後ほど別に解説します。

面接試験と志望理由書

大学編入,大学編入学

面接試験も大学編入学試験において大きな割合を占めます。
面接試験では通常、出願と同時に提出する「志望理由」について尋ねられることになります。大学編入学試験は、この出願の段階から始まっていると考え、志望理由書に志望理由を明確に記載しましょう。たとえばアルバイトに応募する際には、やはり志望理由を書きますが、志望理由は、採用する側の人間にとっては、受験者の「人となり」を知る上で重要な情報になります。受験者がどんな動機を持ってこの学部、学科で学びたいのか?なぜこの大学でなければならないのか?、そして将来どうしたいのか?ということを採用側は知りたいのです。
まとめると、

  • ・志望動機
  • ・研究したいテーマ、長期的な学習計画(ゼミナールなど)
  • ・この学部、学科で学ばなければならない理由
  • ・卒業したあとのこと、将来について
志望理由書には、これらを学部、学科の学習内容に絡め、明確に記載します。学部や学習内容と関連付けて書くことになるため、これらについては事前によく調べておく必要があります。ホームページは重要な情報ソースではありますが、もしもオープンキャンパスなどの機会があれば、積極的に利用してみましょう。
また、編入学の場合、これまでに学んできた分野とは別の分野を志望するケースもあると思います。このような場合は「なぜこの学部、学科に興味を持ったのか」といった内容を記載するといいでしょう。
志望理由にその大学の「ステータス」であったり、「偏差値」を挙げる人も中にはいるようですが、無視されたり、印象を悪くしたりすることはあっても、プラスにはならないでしょう。
よくある失敗の一つに「志望理由書の内容の矛盾」が挙げられます。上記4つのポイントは、矛盾がないように作り込まなければなりません。単独でいくら美しい内容を並べても、すべてに一貫性がなければ合否判定において不利になってしまう可能性すらあります。

面接試験は、提出した志望理由を基にして対策を考えるのが得策です。コピーをとっておいて、実際の面接を想定しながら、自分なりにシミュレーションしてみるといいでしょう。
試験同様、面接でも専門分野の知識について尋ねられるケースもあります。このようなケースにも対応するため、やはり情報収集は欠かせません。

大学編入学試験・専門分野の出題について

大学編入学試験では、語学、面接と共に専門科目の試験も行われるので、そのための対策も怠れません。専門科目も、どんな内容が出題されるのかについて情報収集することは当然のことですが、学部ごとに、その基礎となる内容は高い確率で出題されるようです。ここからは、その学部ごとに高い確率で出題される「基礎的な内容」についてご紹介します。

理学系学部の出題傾向
理学系の学部では、専攻する科目の基礎的な内容は出題される傾向があるようです。
工学系学部の出題傾向
工学系の学部では「数学」「物理」は必須の科目です。難易度は大学により異なりますが、理学系の学部よりは少し難易度は低くなる傾向にあるようです。
医療系学部の出題傾向
医療系の学部では小論文、それも英語の読解能力を問うような形で出題される傾向があるようです。
農学系学部の出題傾向
農学系の学部では、生物や化学といった分野の出題が多いようです。これらの基礎的な知識について問う設問が主ですが、中には小論文形式で出題する大学もあるようです。
経済系の学部
経済や経営など、経済系の学部では、分野の基礎的な内容を問う設問が多いようです。また、時事問題に関する小論文も経済系の学部では頻出します。
法学部
法学部は憲法や民法についての知識を問う設問が多いようです。
外国語、文学部など
外国語学部や文学部などでは、やはりというか小論文形式の設問が多いようです。語学系の学部の場合は作文のほか、リスニングが行われる場合もあります。
教育系学部
教育系の学部では、主に教育に関わる時事問題をお題とした小論文が課されることが多いようです。
心理学系の学部
心理学の用語に関する設問が多いようです。

小論文形式の設問への対策

ご紹介してきたように、専門分野の出題には、学部や学科により傾向があります。そして専門分野のテスト問題によく利用されるのが「小論文」です。小論文には「理論」を問うもの、そして「時事」を問うものの2種類があり、大学編入学試験においては、その両方、もしくは片方が出題されます。ちなみに理系の学部や学科の場合は、小論文の中に計算問題が組み込まれている場合もあります。
理論を問う設問への対策としては、まずは基本を固めておくこと。分野の基本書を数冊読破し、その内容をまとめてみましょう。地道な作業になりますが、基本の理解には大きな効果を発揮するでしょう。
時事を問う設問への対策は、時事ニュースをフォローすること、そして「現代用語の基礎知識」など、古くから入試問題のソースとなっている出版物を読んでおくこと、などが挙げられます。時事問題ですので、かなり新しいニュースに関する問題が出題される場合もありますので、Googleのアラート機能(Google Alerts)などを利用して、関連分野の最新ニュースについてもフォローしておくようにしましょう。
小論文の書き方ですが、一般的なのは3段構成。

序論
設問で与えられたテーマについて定義し、問題提起します。本論へつなげるための導入となるパートです。
本論
序論で触れた問題について詳細な分析を行います。長くなる場合は、本論をいくつかのパートに分けて書いても構いません。
結論
本論で書いてきた流れを受け、将来の展望を語り、まとめます。

「序論」「本論」「結論」から成る小論文は、もっとも一般的でわかりやすくまとめられるスタイルです。設問において、何か特別な指定がない限りは、このスタイルで書いていけば間違いありません。


大学に編入学するためのルートや、大学編入学試験について解説してきました。大学に入学するルートは一般入試だけではありません。専門学校や高等専門学校で学んだあとに試験を受けて入学するルートもあります。定期的には実施されないという不安定さはあるものの、一般入試よりも競争率は低めなので、大学進学を目指している学生にとっては、考慮すべきオプションであることは間違いありません。


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