米、農家救済に1兆7千億円 対中貿易戦争が長期化
【ワシントン=鳳山太成】米農務省は23日、中国との貿易戦争が長引き国内の農家への悪影響が一段と広がっていることを受け、最大160億ドル(約1兆7500億円)の救済策を実施すると発表した。補助金などを支給する。2018年に実施した120億ドルを上回る第2弾となる。トランプ大統領の支持基盤である農家の不満を和らげる狙いがある。
農務省が発表した計画は145億ドルの補助金を農家に直接支給することが柱だ。3段階に分けて実施し、最初の支給は7月下旬になる見通し。余剰在庫を買い付けたり、新たな輸出先を開拓したりする支援策も含まれる。既に議会から割り当てられた予算から拠出するため新たな承認は要らない。
大豆やトウモロコシ、小麦、米、豚肉、乳製品、果物、ナッツ類などが対象となる。中国は18年7月以降、特定の米国産品に報復関税を課しているほか、国有企業が購入を減らしたり輸入時の審査手続きを遅らせたりしている。この結果、大豆の18年の対中輸出は7割超減った。市場価格も下落し、幅広い農産品に悪影響が出ていることに対応する。
パーデュー農務長官は23日の電話記者会見で、米中の貿易問題の対立が激しくなる中で「農家には矛先が向かないようにするのが狙いだ」と説明した。
トランプ大統領は米中の対立激化を受けて農務省に追加の救済策を検討するよう指示していた。農家には同氏や与党・共和党の支持者が多い。支持層に不満が広がらないよう、18年7月にも120億ドル分の農家救済策を発表した。