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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20

 

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三橋TV第137回【MMTの教科書が日本で出版されたよ!】

https://youtu.be/U39Sh6Zfq5E

 

 ステファニー・ケルトン教授が来日した際に、一番印象に残ったのは、シンポジウムで語っていた、
「QE政策(量的緩和)は、民間に債務を増やすことを求める。そうではなく、民間の所得や自信を増やす財政政策が必要
 の部分で、わざわざシナリオに手を入れて、三橋TVでもその旨を語って頂きました。

 指摘されるまで気が付きませんでしたが、
「日銀のインフレ目標と量的緩和のコミットメントで期待インフレ率を引き上げ、実質金利を引き下げ、消費や投資を増やしてデフレ脱却」
 という、「いわゆるリフレ派」の理論は、「実質金利引き下げ」と「消費や投資増」の間に、民間が負債を増やすという経済活動があるわけです。

 このデフレ期に、つまりは儲からない時期に、企業が負債や投資を増やすはずがありません。というか、企業が負債や投資を増やさないからこそ、デフレなのです。

 その状況で、政府は緊縮財政。「小さな政府型のデフレ対策」である、いわゆるリフレ派政策を六年間もやったわけですが、結局、日本のデフレ脱却は果たせませんでした。当たり前ですが。

 過去六年半、日本銀行は量的緩和政策ということで、主に銀行(預金取扱機関)から国債を買い取り、日銀当座預金を増やし続けました。

 もちろん、日銀当座預金を増やしたところで、我々が銀行からおカネを借りない限り、銀行預金や支出(消費・投資)は増えません。おカネの種類が理解できない人は、
「デフレは貨幣現象! 日銀がおカネを発行すれば、デフレ脱却できる!」
 と、叫んでいましたが、正しかったのが誰か、今となれば、どなたにでも分かるでしょう?

 日銀当座預金を借り入れ、支出することができる存在は、政府だけです。その政府が緊縮財政ということで、日銀当座預金を増やしても、増やしても、デフレ脱却が果たせず、預金取扱機関の国債の「お尻」が見えてきました。
 
【日本銀行及び預金取扱機関の国債・財投債(億円)】
 
 19年3月時点で、預金取扱機関の国債・財投債は150兆円を切ってしまいます。こうなると、量的緩和政策の終了はカウントダウンでございます。

 と、思ったら、早くも終わりました。
 
日銀、「異次元」の国債購入終了 黒田緩和前の水準に
 日銀の長期国債の年間購入額が、2013年4月に異次元金融緩和を始める前の水準にほぼ戻ってきた。19年8月末の長期国債保有額は1年前と比べて約24兆円の拡大にとどまり、13年4月末時点の年間増加額(約25兆円)を下回った。ピーク時の3割程度への縮小だ。中央銀行の歴史に残るとの見方もあった「異次元」の巨額国債買い入れは、いったん終わった。
 日銀は黒田東彦総裁の下で異次元緩和を始めたとき、年約50兆円ペースに向けた長期国債の購入増額に着手した。14年の追加緩和で約80兆円とした。白川方明前総裁時代の13年1~2月期には年23兆円程度のペースだったので、文字通り異次元だった。だが次第に政策の持続性に疑問が指摘されるようになった。(後略)』
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※12月上旬、邪馬台国視察ツアー「歴史に魅せられて、マイと辿る邪馬台国への道」開催決定!(三橋貴明、長浜浩明先生、高家望愛さんも同行します)
 
 ちなみに、四半期別で見た日銀の国債・財投債の増加額はこちら。
 
【日本銀行の四半期別国債増加額(億円)】
 
 四半期別で見ると、2016年4-6月期をピークに、日本銀行は国債買取を抑制していたのです。当時から、金融市場の国債の「お尻」が見えていましたので、当然と言えば当然です。

 また、このタイミングで量的緩和を終了させたのは、貨幣乗数の問題もあるのではと「個人的に」睨んでいます。
 
【マネタリーベース・マネーストック(左軸)と貨幣乗数(右軸)】
 
 マネーストックをマネタリーベースで割った貨幣乗数は、2018年から継続して2倍のままなのです。(厳密には、2.02倍とか)

 もちろん、マネーストックとマネタリーベースには、直接的な関係はありません。

 日銀がマネタリーベースを拡大しても、民間で信用収縮が起きれば、マネーストックは減ります。逆に、日銀がマネタリーベースを縮小しても、民間企業がおカネを借りれば、マネーストックは拡大します。

 正直、貨幣乗数が2倍を切ったところで「だから、何。デフレでしょ」という話なのですが、日銀的には嫌だったのではないかと。日銀は、以前の「銀行券ルール」のように、奇妙奇天烈なルールを自分で設定し、頑なに守ろうとします。

 いずれにせよ、日銀の金融政策のみでデフレ脱却は果たせないことを、我が国は六年間の社会実験で証明したのです。

 正しい解は、一つしかありません。国債発行です。

 国債を増発すれば、マネーストック(銀行預金など)と支出が拡大し、我々の「所得」も増えます。その状況が数年続けば、「自信」も戻るでしょう。

 さらには、日銀の金融政策の担保もできます(金融市場の国債が増えるため)。

 正しい解決策は、国債発行と財政出動しかないのです。この「正しい解決策」だけはやらないという、異様な状況から脱却しない限り、我が国に繁栄の未来はありません。
 
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