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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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三橋TV第114回【公開収録で出席者から質問を受けてみた】

https://youtu.be/NtvC5ottFRE

 

 昨日、議員会館多目的ホールで、MMT(現代貨幣理論)を主導するNY州立大学のスティファニー・ケルトン教授をお招きしたシンポジウムが開催されました

 わたくしは朝日ホールで同時開催された、パブリックビューイングの担当でした。朝日ホール側ではわたくしの講演の後に、ケルトン教授の講演を大画面で視聴致しました。

 議員会館のシンポジウムの参加者は約350人。パブリックビューイングでは約400人が視聴。記者会見には、30社以上のメディアが参加。ケルトン教授への単独取材も計10社ほど行われています。
 
【パブリックビューイングの光景】
 
 そして、本日、ケルトン教授が三橋TVに出演されます。午後には、即配信となりますので、ご期待下さい。
 
MMT提唱者、ケルトン教授「金融政策より財政政策」
 インフレにならなければ財政赤字の膨張は問題ないとする学説「現代貨幣理論(MMT)」の提唱者であるニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は16日、都内で講演した。物価上昇を目指した金融緩和が続く日本の状況について「中央銀行の金融政策の選択肢は限られており、財政政策の方が機能する」と話した。
 ケルトン氏は「あまりに中銀に依存することは支持できない」と話した。金利操作よりも「財政政策により人々の所得と自信を向上させることが必要」だと話した。
 ケルトン氏は経済成長のためのインフラ投資を例に挙げて、財源の有無を問題にするのではなく、労働力や生産設備などの需給状況によって、インフレが起きるかどうかを政策判断の基準にすべきだと話した。
 その観点から財政を健全化するための増税には否定的な考えを示した。日本で10月に予定される消費増税について「税金は支出能力の調整を通じてインフレをコントロールするためのもの。インフレでないなら消費増税は意味をなしていない」とも述べた。(後略) 』
 
日本の巨額債務「問題なし」=消費増税を批判-MMT提唱者
 「自国通貨を発行できる国は、低インフレ下ならいくら借金をしても問題ない」という「現代金融理論」(MMT)の提唱者、ステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は16日、日本が抱える巨額の公的債務について「問題があるならインフレという形で具現化されるはずだが、一切その兆候は見られない」と述べ、懸念する必要はないと訴えた。
 東京都内で講演した後の記者会見で語った。
 ケルトン氏はさらに、日本は財政赤字なのに金利が上昇していないと指摘。「日本が実践してきた多くの政策はMMTの予想の正しさを立証した」と述べ、経済成長に向け、一段の財政支出が必要と訴えた。(後略)』
 
 日経の記事が一番詳しかったのですが、わたくしがメモしたケルトン教授の講演要旨は以下

 ウォーレン・モズラーの「名刺」逸話を用いた「税とは何か?」から講演が始まりました。この時点で、滅茶苦茶面白かった。三橋TVでもやってもらおうかな。

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
・税に関する一般的な考え方は逆。政府は財源として徴税しているわけではない。まずは財政支出する。日本政府が日本円を支出しなければ、徴税できない。
貨幣の発行主体(政府)は財政的な制約を課せられない。
・アメリカや日本の政府にとっての制限は支払い能力ではなくインフレ率。政府におカネが無くなるということはあり得ない。
・リスクはインフレ。制約は、あらゆる経済においてインフレ。
・生産のための機械、労働者の人数、原材料の量。使えるリソース(注:三橋が言う供給能力)によって、使える貨幣の量が決まる
目的は健全な経済を維持すること。完全雇用を達成すること。所得を伸ばすこと。
・税金とは、経済のおカネを減らすためにある。資金調達のためではない。税金の目的は所得を誰かから奪い、インフレを規制すること。
徴税は国民の支出能力を経済から取り除くことが目的。
・消費税増税をしようという国があったとして、目的が国民の支出能力を奪うことならば、理にかなっている。
・インフレの問題を抱えていない国、日本がそうだが、消費税を増税することは経済的な意味をなしていない。
・私が話している徴税やインフレの話は、1940年代、50年代には常識だった。
・マリナー・エクルズの事例。我々がより高い国民所得を持ちたいならば、消費の拡大が必要。健全な消費セクターが必要になる。
・同エクルズ。消費を拡大したいならば、消費に対する税金の介入を減らさなければならない。具体的には、消費に対する間接税(消費税)を減らす。
・同エクルズ。消費税を増税すると、消費が減り、企業の売り上げが減り、雇用が縮小してしまう。
財政赤字の目標、パーセントは適切な目標ではない。健全な経済の維持が目的。ときには財政赤字が、財政黒字が、均衡財政が必要になるかも知れない。
・政府の赤字がその他の経済にとって「黒字になる」ことが理解されていない。政府の赤字は、常に政府以外にとっての黒字になる。
・政府の赤字は悪でもない、脅威でもない、単なる手段、メカニズム。経済の政府以外の部分におカネを注入し、雇用、所得を増やそうという話。
・アメリカの財政赤字が7400億ドルに膨らむと、人々にショックを与えようとする報道が出たが、これは非政府部門の7400億ドルの黒字になるということ。素晴らしいでしょ?
・公的債務に対する見方が間違っている。公的債務は、過去の政府が経済に注入したおカネの歴史的な記録でしかない。
・政府が日本経済に100注入し、90徴税した。10残ったのが国債として積み上がっているだけ。
・機能的財政論のアバ・ラーナーは、「家計のように財政を管理する」健全財政について「目標として正しくない」と主張した。
・機能的財政論は、政府の支出能力を維持し、完全雇用を維持しつつ、インフレ率を抑制するべく財政レバーと金融レバーを操作せよと主張。
・財政赤字であっても、経済全体で均衡がとれていれば「均衡予算」じゃないの?
・MMTは党派的な政策アプローチではない。保守的な人であっても、リベラル派であっても、有益。MMTは世界を正しく見る「新しい眼鏡」である。
・私たちは何十年も前の、現代には適用できない枠組み、眼鏡で世界を見ている。今は不換貨幣であり、政策余地が広がっているが、活用していない!
・MMTの眼鏡に掛け替えれば、財政赤字が「リソース」であることが分かる。
・MMTのレンズを通して見れば、アメリカにおける国民皆保険の導入に際した問題は「どのように支払うのか?」ではない。これは簡単な問題。もっと重要なのは、いかにリソースを使うか。
政府が国民皆保険を導入したとして、十分な医者、看護師、病院、高齢者向け施設があるのだろうか、リソースの問題。
・教育充実、奨学金問題、グリーン・ニューディールも、財源の問題ではない。財源は簡単に解決できる。それを実現するためのリソースがあるのか、インフレにならないような投資をするのか、それが問題。
・インフラ整備も同じ。政治家は財源ばかり問題視するが、重要なのは建設会社があるのか、エンジニアの数は足りているか、建設従事者は十分か、鉄鋼やコンクリートを提供できるのか。リソースをインフラ投資に使えるのかが問題。
・リソースが足りない場合は、インフレになってしまう。財源ではなく、リソースを議論するべきなんです。
 
 貿易収支やJGPの話も面白かったのですが、今回は省略します。
 以下、質問と回答(の一部)。
 
質問:安倍政権が金融政策を強調する「リフレ派」をブレーンに置き、金融緩和を徹底的に進め、財政は重視しなかった。この種のリフレ派に対する教授の考え方は?

ケルトン教授の回答:あまりにも中銀に依存することを支持するものではない。リフレ派政策は支持いたしません。機能しないと思うのです。日本だけではなく、ECBもFEDもそう。金融政策は金利を下げることで、民間が「おカネを借りたい」ときに機能する。とはいえ、借りる意欲がない場合は、金利を下げたとしても、有効ではない。もっと直接的なルートがあるでしょう。財政政策でいいんです。財政政策の方が機能する。人々の所得を増やすことによって。金融政策は人々の債務を増やすことに頼ろうとする。債務を増やすのではなく、所得を増やすことで、人々の自信を高める必要がある。
 
質問:日本においてMMTは社会主義だという人がいるのですが、MMTは社会主義的な方向に向かうのでしょうか?

ケルトン教授の回答:NOです。全くそれはあり得ない。正しい眼鏡を掛けろと申しましたが、正しい処方箋を入手できればいいんです。右でも左でも、公共政策に関して正しい議論をせよということで、MMTに政治色はありません
 
 以上、それでは三橋TVの収録に向かいます。
 
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