解説。

わたしの書いた夢小説で、考察というのも特にないのかな。と思いまして、わたしの力不足故に書ききれなかったところをつらつらと解説していきたいと思います。

ネタバレ。といいますか、先に本文を読んでいただくことを強く推奨します。
自己満足の長々とした文章になってしまうでしょうが、お付き合いいただけると幸いです。

※三角様やロビーくん、ナース達など、サイレントヒルに対しての独自の設定が多々あります。公式の設定からはやや離れているかと思われますのでご注意ください。


1話。テトロドトキシン

名も無き夢主がサイレントヒルを逃げ回るところからお話が始まりました。
彼女はレイクビューホテルから遊園地まで走り切ったことになりますが、サイレントヒルのマップを見るに結構な距離を駆け抜けています。
火事場の馬鹿力の一言で解決してしまっても良いのですが、それで済まない距離を走らせることになってしまいました。
ここは当時、書いていた時点では既に気付いてはいたのですが、どうしてもレイクビューホテルに居させたかったのと、ロビーくんを出すうえで遊園地にも連れていきたい、という我儘を優先させました。長距離走が得意だったということにしておいてください。

夢主と元彼の話。
わたしの書く三角様は罪人を裁くことを仕事としている、という設定がありました。
サイレントヒルという町から罪人判定を受けた元彼のところへ三角様が派遣されていった、ぐらいの気持ちです。
この時、町から罪人判定を受けたのは元彼だけであり、夢主は罪人判定を受けてはいません。
ですが一緒のタイミングで町に入ったせいで、夢主もサイレントヒルの表世界に迷い込む羽目になってしまいました。完全に巻き込まれ損です。
三角様が登場したタイミングも、たまたま夢主が殺害される前に裏世界へ入っただけで、三角様に夢主を助けようという気持ちがあったわけではありませんでした。
現に、三角様は罪人は元彼だけだという事には気が付いていましたが、同じ場にいた夢主のこともついでに裁くつもりでした。ひとり増えようが三角様には些細な事なのです。
そして一旦遊園地で夢主のことを見失ってしまいます。

ロビーくん。
「ウサギは淋しいと死んじゃうんだよォ」はお気に入りの台詞でもあります。おまえのようなウサギが淋しくて死ぬものか。
この口煩いロビーくんは、壊せるものであればなんでも手に掛けてしまい、サイレントヒルの住民殆どから疎まれています。
ですが、みんなある意味不死身なロビーくんをどうすることも出来ずに手を焼いています。
彼は普段はその辺にいるナースやマネキン達を手に掛けて遊んでいますが、彼女達は声を持たないので、一番好んでいるのは彷徨いこんできた人間を手に掛けることであり、中でも女性を好んでいます。夢主は条件ぴったりですね。

夢主の度重なる悲鳴で踵を返してきた三角様ですが、ここでも特に夢主を助けようとしていたわけではなく、楽しそうにしているロビーくんに腹が立ってロビーくんを真っ二つにします。
そしてロビーくんを排除した後に、残った夢主を見つけて、絶望の中で諦めの乾いた笑いを零す彼女を見ます。
夢主は三角様に対して笑いかけたわけでは決してないのですが、三角様は恐らく自身と対面した状態で笑みを零した人間を見たのは初めてだったのでしょう。それが例え歪な笑みだとしても。
とっても簡単な理由でしかないのですが、この瞬間に三角様は夢主に対して興味を示します。
夢主が罪人でないことは知っていましたし、今まで彼女を裁こうとしていた三角様は一度思い直して、彼女の身体をナースの居る病院まで連れていくことにしました。
その途中で死ぬことは想定していたでしょうが、その時はその時だったのでしょう。
ですが夢主は運よくナースの治療に間に合うことが出来ました。


2話。モルヒネ

なんとか治療の間に合った夢主ですが、実は起きたのは数日ぶりだったりします。
怪我が僅かに安定しているのは、サイレントヒルの不思議な力によってもあるでしょうが、大きくはナースの献身的な治療と時間経過によるものです。
夢主が眠っている間、ナース達は熱心に彼女へ治療を施していました。
この世界のナースは治療すると決めた対象についてはとことん治療を施そうとします。今回は三角様が連れてきた夢主が彼女達の治療対象となりました。

ナース達と三角様は友人というよりも協力関係を築いていると言った方が近い関係です。
ナース達は殺傷能力に関してはあまり高くはないので、その部分の警護を三角様に任せています。
そしてその分、三角様は彼女達からの治療等を受けています。まぁ、三角様が怪我をする状況など殆どないわけですし、あったとしてもそれは後から出てくる黒い三角様との戦闘でしかないでしょうから、殆どは三角様の気まぐれでしょう。
病院にはそのように、殺傷能力があまり高くない住民が寄ってきます。マネキン達もその一員ですし、ライングフィギュアや、その他、弱った他の住民も病院に集まることがあります。
その時はナースのついでに三角様の保護下に全て置かれることになります。
優しさとはまた違いますが、こちらの三角様は訪れた罪人を裁く傍ら、住民達の守護もしています。

ちなみに、最初、夢主が見つけたナースは新人のナースであり、数日ぶりに目が覚めた夢主のためにベテランのナースを呼びに行ったというわかりづらすぎる設定もありました。
カルテで語り掛けてきているのもベテランナースの方です。


3話。メチルフェニデート

裏世界の入り方は映画版、もしくはホームカミング仕様がとても好きなわたし、このお話の裏世界の入り方もイメージはあそこらへんになっています。
少し後で詳しく書こうと思っていますが、この世界の三角様は裏世界でしか存在できません。
よって、裏世界に入った途端に彼は現れたわけですが、夢主が目覚めたと聞いてさっそく彼女に会いに行きます。
ですが、もちろんのことながら夢主は怯え切っていますし、三角様もナースも彼女がわかる言葉では話すことが出来ません。
彼らは苦渋の判断で唯一話すことが出来るロビーくんを連れてくることにします。

この世界のロビーくんは各地に様々な形態で転がっています。着ぐるみの形状もあるでしょうし、ぬいぐるみもキーホルダーもあります。
ロビーくんの意識自体はひとつしかありませんが、ロビーくんは他の様々な形状のロビーくん人形に意識を乗り移らせることが出来ます。
遊園地のマスコットであるロビーくんは、この町に無数に身体があることになり、彼を不死身としている部分でもあります。
ロビーくんの意識が入ったままの状態で、ロビーくん人形が破壊されると、必ず体積以上の血が溢れ出します。

最初、ナースはぬいぐるみサイズのロビーくんを連れてきます。が、少し話したあたりで三角様がすぐに破壊してしまいます。
三角様としては「余計なことを話したら殺す」くらいの軽い脅しなのですが、身体を無数に持つロビーくんには関係ないことですし、ナースとしては折角連れてきたのに駄目にした!とお怒りです。
彼らにとってはいつもの光景でしょうが、夢主にとっては異常な光景です。夢主は恐怖故に実際に自分を傷つけたロビーくんではなく、三角様の腕に触れます。
三角様も間違いなく夢主を殺そうとしていたのですが、夢主からすれば三角様に助けられた事実しか知りません。
興味を示していた程度の三角様は、ここで夢主に対して保護欲を掻き立てられました。彼女が人間であることは知っていましたし、人間が弱いことは三角様からしたら重々承知です。
単純な保護欲は少しの愛おしさに変わり、三角様はここから夢主を死なせないように行動し始めます。

そうなると、必要以上のことを彼女に伝えるつもりはありません。会話をさせようと連れてきたロビーくんはあっさりとお役御免で潰されることとなりました。ロビーくんの扱いが全体的に酷いのは、彼の自業自得です。


4話。ロキソプロフェン

夢主が外に出たいという願いを叶えるために、三角様は彼女を肩に乗せて歩き始めます。
正直、わたしがこのお話を書き始めたのも、肩に女の子を乗せて歩く三角様を書きたかったからであり、それ故に原作ゲーム三角様よりも体格の良い三角様が生まれ、夢主からは両足が取られることとなりました。ここが書けた瞬間にわたしの中では完結の勢いでした。
三角様は片手に大鉈を引きずり、片手で夢主を支えています。三角様の片手の力だけでも夢主が落ちることはないでしょうが、夢主は不安定さ故に、近くの金属の三角にしがみつきます。
三角様としては自身の身体にしがみついてくる夢主が可愛らしかったのでしょう。これ以降も彼女の移動方法はこの形で落ち着きます。


5話。ラニナミビル

夢主の病室はナースステーション付近にあります。
最初に連れ込まれた時、三角様は重症も重症な夢主を適当にナースに任せました。
ナースとしても人間がすぐに死ぬと知っていますので、今すぐにでも死にそうな夢主を治療するのは至難の業だったでしょう。
その場での応急処置が終わった後も、生命が安定するとは限らない程の重症です。いつでも容体を確認することが出来るように、夢主の身体はナースステーション傍の病室に入れられることとなりました。
結果として、夢主を保護下の対象とすることとした三角様も安心の配置となりました。

さて、わたし独自のサイレントヒル事情です。映画版に引きずられている箇所が多々あります。

この世界は大きく3つに分かれています。血錆に塗れている『裏世界』、霧に包まれた『表世界』、そして最後に異形の存在が一切存在しない『現実世界』の3つです。
『現実世界』ではサイレントヒルの町で人々はあくまで普通に生活を送っています(多少、怪奇現象はあるでしょうが)。
『裏世界』と『表世界』の2つの異界は不定期に鳴り響くサイレンの音を境に切り替わりますが、『現実世界』とリンクされることは滅多にありません。
基本的に『現実世界』は町の入り口が境目であり、サイレントヒルの町が『現実世界』か『表(裏)世界』に送るかを入り口で決めます。サイレントヒルの町自体が意識を持っている、といった解釈ですね。

時折『現実世界』から迷い込む住民もいますが、それもすべてサイレントヒルの町が引き起こしています。
彷徨いこむ住民に決まりはなく、周期も人数も決まっていません。町の意思は誰にもわかりません。
ただ、サイレントヒルの町が『罪人』判定したものは決まって裏世界に引きずり込まれていきます。

本文中、深く書くことが出来ませんでしたが(通販で出した書き下ろしでは書いているという意地悪。そろそろサイトにも公開します)、ロビーくんが『教団』と示した人間達がいます。
教団員達は元々サイレントヒルに暮らしていた『現実世界』の人々であり、何らかのきっかけで異界から出られなくなってしまった住民達です。
教団員達が町の外へ向かうと、町の周りは果てしない断崖絶壁に囲まれており、決して町から出ることが出来ません。

同じく迷い込んできた人間ではありますが、教団員と夢主の存在は少し違います。
夢主はあくまでも引き寄せられて来ただけであり、彼女自身が罪人判定を受けたり、サイレントヒルの町から呼ばれたわけではありません。
本文中では書きませんでしたが、この世界に来て少しした後、夢主は三角様と共に町の端へと連れていってもらっています。
その時には夢主は教団員と同じように断崖絶壁を見ています。ですが、それは三角様の肩に乗った状態、三角様に触れている状態だからこそそのような断崖絶壁に阻まれているだけであり、夢主が本当にひとり、三角様に下ろして貰っただけでも、彼女の前から断崖絶壁は無くなります。
ひとりで動けない彼女は、たったひとりであればサイレントヒルの町から出られるのです。

三角様は裏世界でしか生活することが出来ませんが、ナース達は裏と表世界を生活しています。個々に対して生活出来る範囲が決まっています。
そして実はロビーくんは裏、表、現実世界にも行くことが出来ます。ただ、現実世界では意識を保つことはできますが、動くことが出来ません。
現実世界のただのロビーくん人形も意識を持っている可能性を秘めさせたかったんです。

三角様が夢主に示したお祭りのポスターは『現実世界』で張られたポスターであり、三角様は「観光地だった」と過去形で語る夢主に対して今現在も観光地であることを示そうとしています。
ですが、その行動だけで上記全てを悟ることは出来ないでしょう。


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