(銀誕/過去攘夷ズ/短め)




偶然通りかかった部屋の中の光景に坂本は怪訝な表情を浮かべた。


「……なにしとるぜよ」


坂本の声に、しゃがみ込んだ桂と高杉が振り返る。その手には蓋の開けた油性ペンが握られていた。
二人の奥では、銀時が大口をあけて爆睡している。


「見て分からんか?」

「や、予想はついとるが」

「オイ、おめーらうるせぇよ。この馬鹿が起きんだろうが」


高杉が遮るように噛み付くと、ペン先を躊躇なく眠っている銀時に向けた。
んんー、とほんの少しむず痒そうに声をあげるが、銀時が起きる気配がない。
安眠を貪る銀時の顔に高杉は容赦無くペンを走らせている。
そんな高杉に続くように、桂も銀時の顔に無意味な落書きを付け加えていく。
なんていうか、警戒心がなさすぎる。白夜叉のくせに。


「なんだってこんなことしちょるき。今日はこやつの…」

「だからだろ」


呆れ半分に告げた言葉は、さも当然とばかりに返されてしまった。
相変わらず爆睡している銀時の顔はヒゲやら肉の文字やら定番の落書きで埋め尽くされている。
そんな銀時を前に、桂と高杉は笑いを堪えるように肩を震わせていた。
心の底から楽しそうである。
悪戯っ子というには質の悪い笑みを浮かべる二人に、坂本はぶはっと笑い声をあげる。
まったく素直じゃない奴らだ。


「わしにもペン貸すぜよ」


落書きに勤しむ桂と高杉に合わせるように坂本はしゃがみ込む。
そうして先程の二人に劣らない質の悪い笑みを浮かべるのだった。


(バースデートラップ!)


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