溺愛ハニー! 屍蛮♀+α


※屍蛮♀です。結婚している。子供がいる。そんなSSSです。










「歯磨き終わったかー?終わったら深紅、もう寝るぞ?」
「はい、もう終わってます」



歯磨きを終えて、パジャマに着替えて。
娘の深紅は、寝る準備を整え蛮を待っていた。



「偉いな……深紅は」
「?」



娘を腕に抱き抱えて、蛮は寝室へと足を向ける。
深紅は不思議そうな顔で、何を言われたのか分からないと訴えていた。
蛮は苦笑して深紅の額に唇を寄せて、何でもないと伝えてやる。
そうすると、安心したように頷き返してきた。



(マジで手が掛かんないよな、)



深紅の賢さに、蛮は舌を巻く。
だが、深紅にしてみればそれは至極当たり前のことだったからだ。
寝る前に歯を磨いて、自分で出来ることは出来る限り自分ですることは……。
これもすべて、赤屍のしつけによるものである。



(……完璧、蔵人の奴に似たよなー。深紅は)



口調から性格、容姿に好みに至るまで……赤屍に似てしまった娘に、蛮がちょっと寂しい思いでいたりするのは内緒だ。
本当に出来過ぎた娘で、贔屓目を抜きにしても可愛すぎる。
蛮はそんな一人娘を溺愛していた。

ちなみに、言い忘れたが深紅の名前は赤屍命名である。



「母さま、父さまは?」
「寝室にいんじゃねぇのか?……って、言ってる内に着いたな」



寝室のドアを開けて足を踏み入れると、やはり先に寝室で寛いでいたようだ。
本を片手に読書をしていたらしい。



「おや、遅かったですね?」
「これでも、早かった方だっつーの!」



蛮と深紅に気付いた赤屍が、本をサイドテーブルに置いて腕を伸ばす。
伸ばされた蛮は深紅を赤屍へと手渡した。



「だから、片付けは早く済ませてしまうように言ったのですよ、私は」
「ウルセェな、もう……ってどうしたよ……深紅?」



二人のやり取りをクスクスと笑っている深紅に、蛮は怪訝な顔を見せる。
すると、更に深紅は笑みを深め。



「何だか母さま、拗ねてる姿が可愛いです」
「………………あのなー?」



大人をからかうなよ、と。
っはぁーと溜め息をつく蛮を尻目に、赤屍と深紅は親子の語らいを続けている。



「そうでしょう?深紅もそう思うのですね」
「はい。母さまは凄く可愛いです。この前なんか……」



娘を毛布の中に寝かせながら、深紅が話す日常の出来事に赤屍が相槌を打ってやっている。
花を咲かせているそれを、蛮も横になりながら聞いていた。



(……やっぱり、似ちまったよなぁ?)



少しくらい自分に似てくれても良かったのに……と、これまでに何度そう思ってきたか分からない考えを今もまた巡らせた蛮は、二人の会話をBGMに眠りに落ちていったのだった。

そんな蛮の姿を、二人が笑って見ているとは知らずに……。










1/11が、川の字だからってことで書いてみた(笑)
名前が安直だな。



あきゅろす。
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