短編
□続・忘れてしまった
14ページ/21ページ
13
「……あ、あの、み、光義くん?」
後ろから話しかけてきたのは先ほど光義の前にいた人物―真崎は少し自信なさ気に光義に話しかけた。
光義はまさか話しかけられるなんて思わず、彼の行動に驚いたが、動揺したことを悟られたくなくて、そのままベッドへと歩みを進めた。
「そうだけど?…なに?」
思い切り迷惑だ、というように光義はベッドに腰かけながら、なおも真崎をにらみつけ声に怒気をふくめた。
「え、あ…た、たしか…君たち仲良かったような気が、したから…」
君“たち”
「…仲いい女ならたくさんいるけど?」
「あっ…えーと…そうじゃなくってね…」
この男のはっきりしない喋り方がさらに光義をイラつかせた。だが真崎はなおも続けた。
「…今日、史郎くんに会っ…た?」
こんなときに史郎の名前。
真崎の気まずそうな声も相まって、ついに光義の中で何かが切れた。
「なんだっていうんだよ!誰があんなやつに会うか!」
「ひっ」
.