放射性物質の安全処理の切り札「オメガ計画」の行方 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

放射性物質の安全処理の切り札「オメガ計画」の行方

静岡県の浜岡原発が揺れている。


菅首相から「すべての原子炉の運転を中止するように」と要請を受けたからだ。


中部電力も対応に苦慮している。


この週末、浜岡原発の地元を訪ねると、賛否両論が渦巻いていた。


川勝知事はそれまでの態度を一変させ、「政府の英断を歓迎する」と表明。


しかし、中部電力や地元企業の間では「政府の支援内容もわからないままでの全面停止では困る」との声も。


そんななか、協議の場で気になったのが「オメガ計画」の行方である。


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原子力関係者の間では知られているが、高レベル放射性廃棄物を安全に処理するための先進的な研究として、1989年にスタートしたもの。


文部科学省が主管庁となり、わが国の原子力研究機関が英知を結集して半減期の長い放射性物質を素早く安全に処理する技術を開発してきたはず。


このところ話題のセシウムやヨウ素などを核反応を利用して短寿命に変え、放射能を消滅させることを目指してきた。


実は、この日本発の研究がきっかけとなり、フランス、ロシア、アメリカでも放射性物質の分離、消滅処理に関する研究が進むようになったほど。


たとえば、「半減期が30年といわれるセシウムを45分で処理できるようになる」とまで言われた。


わが国における原子力の安全性向上に関する金字塔のような研究事業であったのに。


しかも、これまで莫大な国家予算を投じ、世界にもアピールしてきた。


わが国の「原子力開発利用長期計画」の中心に据えられていた、この「オメガ計画」。


福島原発の事故を受け、放射能汚染が深刻化する今こそ出番ではないのか。


しかし、なぜか、どこからも「オメガ」の「オ」の字も聞こえてこない。


そこで、文部科学省に問い合わせると、「データを紛失した。探してみるので時間がほしい」との回答。


こんなことがあっていいのだろうか。


これこそ「想定外」の事態としか言いようがない。


危機管理どころか情報管理を根底から練り直す必要がありそうだ。