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コラムニストの小田嶋隆がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「TIME LINE」。

7月20日(木)の放送では、「ストーリー」のコーナーにギリシャ神話研究家の藤村シシンさんを招き、若者の「中二病離れ」について話しました。



“中二病”とは、中学2年生ごろの発達途上の段階にありがちな、自己愛に満ちた空想や思考などを揶揄した言葉。小田嶋はそんな中二病について、「うまい言葉だなと思った」そうで、「やはり中学生って別の生き物なんですよ。それから脱却する人もいるし、残した人もいて、観察していると面白いですよね」と私見を展開。

そんな中二病をテーマにしたこの日、なぜギリシャ神話研究家がゲストとして招かれたのか……藤村さん自身「私もこのテーマで参加してよろしいんですか、と伺ったんですけど……」とちょっと不思議そうな様子。どうやら彼女は今も中二病をこじらせているそうで、「完全にこじらせて悪化していて……それで呼んでいただいたのかもしれないですね(笑)」と笑顔で話していました。(藤村さんのあるツイート twitter.comが、ご出演のきっかけとなったと言います)

最近の子どもたちの間では“中二病離れ”が進んでいると言います。実際、藤村さんがまわりの教育関係者と話をしたところ、今の子どもたちはすでに中二病と言う言葉を知っていて、それを敬遠する傾向にあるそうです。それを聞いた小田嶋は「ありそうな話だな……」とポツリ。

藤村さんの見解では、自分たちの世代が中二病にかかることで起こった失敗談を見て学習したのではとのことで、そこにはちょっと責任を感じている部分もあるとか。

一方で、中二病は今、別の形で発露していると思うと藤村さん。最近“イキリオタク”という言葉があり、これは自分がオタクであるということを積極的に言っていくタイプのことで、藤村さん曰く最近の子どもはその方向に向かっているのかもしれないとのこと。そんな、自覚した上でオタクをやっている現状に、小田嶋は「今の中学生は難しいですね……」と同情する一幕も。

一般的に中二病というと男子特有のイメージがあるようですが、中学、高校と6年間女子校で、とりわけ、漫画研究会だったという藤村さんのまわりはみんな中二病にかかっていたと言います。

「当時は全員、典型的なんですが、羽根の生えた人物に包帯を巻いて眼帯をして、血をちょっと流していて、恥ずかしくかっこつけたセリフ……“俺に触れたらどうなるか……”みたいな話をみんな書いていて。そのときは恥ずかしいことをしているというか、大人になったら悶え苦しむことがわかっていなくて……」と振り返ります。

そして、今回のテーマである若者の「中二病離れ」について。藤村さんは「今も一定数いると思います」と言うものの、中二病にも流行り廃りがあるとか。小田嶋も「そうですよね」と頷きつつ、「世代的にも今と次の世代の中二病は、少しずつ時代の背景を拾っていきますよね」と同調。ちなみに、藤村さんの学生時代は片翼の天使のようなものが大流行りだったとか(笑)。

また、藤村さんから最近では中二病が低年齢化しているという話も。なんでも小学生からインターネットを通していろいろなものに触れ、情報が豊富過ぎるというのがその大きな理由。もしかしたら、将来的には中二病ではなく小六病、小ニ病なんてこともあるかもしれないとのことでした。

とはいえ、「イマジネーションで少ないネタを埋めていくというのが、多分中二病の原点みたいなところがありますよね」と小田嶋の言う通り、中二病にも想像力が重要で、それは古代ギリシャの時代からあると藤村さんは言います。

事実、古代ギリシャでも思春期の人間が不可思議な行動をとっていたことが残っているそうで「“ヒュブリス”という、一言で言うと傲慢とか、自分の身の丈に合わないことをするという意味の言葉があります。思春期の青年が神や怪物に挑んだり、自分の身の丈に合わないことをすると“ヒュブリス”と言って神の罰が下ることがあるんです」と藤村さん。

この日は、中二病についてさまざま議論を交わしましたが、最後は中二病の未来について。若者たちは離れ、言葉自体が死語になるのか……藤村さんはその可能性はあると言います。しかし、「似たような症状や精神状態は古代ギリシャのときからあるので、きっとこれからも続くのではないかと思います」とも話していました。

【番組概要】

番組名:「TIME LINE」

放送日時:毎週月〜木曜19:00〜19:52

パーソナリティ:佐々木俊尚(月)、速水健朗(火)、古谷経衡(火)、ちきりん(水)、飯田泰之(水)、小田嶋隆(木)

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