話題:プレゼント

12月になった途端、冬がやってきた。降ってきたような寒さにつつまれながら、この冷たさを待っていた自分に気づく。冬すきなわたしの季節が幕を開けたと独りごちた。

彼の誕生日にほしいものをプレゼントした。ふだんは簡単にしか作らない夕飯をすこしがんばって作りながら、わたしはこのひとの誕生日を自分の誕生日のように祝福しているんだなと知る。わたしのなかに、彼はまだいる。そう実感しながら喜ばれたプレゼントにセンスいいでしょうと冗談を投げかけ、だいじにするということばに満足しながら洗い物をする。用意したケーキは半分だけ食べ、残りはあしたと誕生日がすこしだけ持ち越されたようなうれしさがあった。わたしにとって誕生日は特別で、家族間で毎年の恒例行事となっているプレゼント交換に彼も含まれていることに、わたしたちの関係も恋人の枠を越え、家族へと向かっているような気がした。あたらしい出会いを期待しなくもないけれど、それは韓国ドラマを観たあとにあんなすてきなひとと出会いたかったという夢であり、非現実でフィクションになってしまっていることに気づく。わたしのなかにもう恋なんてはじまらない。枯れてしまった恋の種をポケットにしまいながら、時おり眺めて満足する。もう恋なんてはじまらない。言い聞かせているのか、断言してるのか、わたしたちの関係がこの先もつづく保証も自信もないのに、わたしはどうしてこんなにも悠長に身構えているのだろう。

ことしもあっという間におわりそだ。そして、来週には30歳になっていて、大厄に怯えているのだろう。