話題:ひとりごと

寒さは、ひとにひとを思い出させる。会いたいとおもうひとが近くにいて、会えるのなら遠慮なく会うべきだろう。凍死でもする前に会えばいい。会いまくればいい。いつ死ぬかなんてわからないなのに、どうして、ひとは本音と建前を使い分けるんだろうかとどうでもいいことを考える。使い分けるなと言ってもあたしも華麗に使い分けているからひとにとやかく言うつもりはないわけで。早く12月にならないかな。1年のなかでもいちばんすきな季節だ。暑いよりは寒いほうがすきだし、コートやマフラー、ニットはモコモコでいとおしい。街並みのキラキラさ、行き交うひとたちのたのしさは、せつない。あたしは、せつないものがすきだ。せつないは、愛だとおもう。愛のなかにせつないは、ある。愛を感じたものだけに、せつないはある。
繰り返されるワンシーンを何度も何度も飽きもせず写し出す脳内フォルダは残酷だ。儚い、は苦手だ。儚いは、散ってしまうから愛がない。愛の終わりを告げるから、愛がない。つぎはぎされた記憶を大事に取っておくのはバカらしい。それでも、消えないのだから意味があったのだろう。どうでもいいことは、すぐに消える。風化する。朽ちて、土に還る。嫌だという記憶さえもないものは、あってもなくてもいいものだからすぐ消えるようにプログラムされているのだろうか。記憶に残るものは、あたしがなにかしらをしたもので、それだけ、どうにかしたかったことなのだろう。
せつない。雪が降ればいいのに、雪のなかを一緒に歩きたい。寒いねと言いながら手をつなぎ、どこかふたりになれる空間に消えてしまいたい。
待ち合わせをしたときにみつけてくれるのがすきだ。みつけたときにうれしそうな顔をするのはもっとすきだ。駆け寄って、名前を呼ばれるのがすきだ。その表情も声も指先もつま先もすべてが。待ち合わせって、約束がないとできないからそれだけで相手とはなにかしらの接点があるということでうれしくなる。そんな単純さをもっと、ちょうだい。約束を交わせるのは、尊い。尊いは、神聖だ。スピリチュアルだ。
海に行きたくなるのは、あの大きな海の前では自分がちっぽけにおもえるからだ。日々の退屈さや窮屈さに嫌気を感じては、疲弊し労働しなくてはならないことから解き放たれる気がするから。冬の海は冷たくて凍えるだろう。それでも、全身が洗われるように洗練されたい。ひとと話してると俯瞰していくことに気づく。ことばを紡ぐたびに驚くほどに冷静になってクリアになっていく脳内で考えるのは、話してる内容とは別のこと。なにがたのしいんだろう、茶番劇ってこういうことなんだと周りが繰り広げる日常茶飯事に呆れてく。なにかが、あたしのなかから失われた。新しいものを受け付けない。ううん、ちがう。合わないんだ。今あるものを大切にしようとおもった。今あるものこそ、地球上でやっとみつけた生存者ばりに尊いのだから。その空間だけは、うそがないから。
何度も何度も繰り返されるワンシーン。つぎはぎされた記憶のなかで、微笑むのはだれ。