恋など知らない




間違ってはいけない
この感覚は恋ではない、と
言い聞かせる
言い聞かせる度
蘇るあの香水の香り
少しきつい、しかし、不快ではない
その香りが似合う人
きっとその香りを気に入って
しまったんだ、なんて
また誤魔化して
1日、2日、3日、
来る日も来る日も
いつまでそれを
続けられると思ってる?
自分の心の壁の
脆さを、見誤った
僕はいつその香りに
溺れてしまうのだろう
明るさに潜んだ小さな棘に
壊されてしまうのだろう

ぴりり、

予兆はもう
すぐそこに
見えていた
(見えないふりをしていた)