終焉のアリア【41話(4)】
「大丈夫…?」
「うわあ!?び、びっくりしたー…小鳥遊風希ちゃん起きたんだね」
背後から音も無くハロルドに忍び寄り声を掛けた風希に、ハロルドは心底驚いてまだ心臓がバクバク鳴っている程。
「起きたんじゃない…起こされた…その咳に…」
「あ!ごめ、ゴホ、ゴホ」
会話中も口を片手で押さえて咳き込むハロルドを、風希はジーっと見ているかと思いきや…
「!?」
バフッ!毛布を掛けて無理矢理ベッドにハロルドを寝かし付けた。風希の行動に目をギョッと見開いている間にもハロルドはベッドに横たわらせられる。
「た、小鳥遊風希ちゃん!?」
「風邪…治すには睡眠をたくさん摂る事…」
「そうだね。ありがとう」
「サムダンバダータラアギレラルーダルーベンス」
「た、小鳥遊風希ちゃん…この呪文は何…かなぁ…」
先程からかれこれ10数分、ハロルドが寝るベッドの脇の床に座り、両手を合わせてお経のようなものをずっと唱え続けている風希に、ハロルドは口角をヒクヒクさせて苦笑い。
「元気になる…おまじない…」
「そ、そっか。ありがとう!」
――呪い殺す呪文にしか聞こえないよ!!――
「きっと効いてくる…もう少し待って…」
「う、うん。でも僕の事なんて気にしなくて良いから。小鳥遊風希ちゃん早く寝た方が良いよ」
「ハロルドさんの為じゃない…私が風邪を移されたくない為…」
「ははは…な、なるほど…」
「本当素直…。私がこのおまじないを唱えても…今までみんな信じなかった…。良い人…だね…」
「そ、そんな事ないよ!でも…えへへ。小鳥遊風希ちゃんに褒められると何か嬉しいね。アリス君以外には無関心なのかなって思っていたから」