終焉のアリア【41話(2)】
「そんなんじゃない…」
「そうかな。僕にはそう見えたよ。小鳥遊風希ちゃんだったらどうするかな。MAD化してしまったアリス君の事」
「殺すしかない…」
「うん…。でもそれはEMS軍人としてでしょ。本当は?」
「は…?」
「本当はどう思ってる?EMS軍小鳥遊風希ちゃんとしてじゃなくて、小鳥遊風希ちゃんとしてならどう思ってる?僕は…きっと殺せないよ…うんうん、殺したくない。EMS軍ハロルド・パティンスキーとしてでも僕にはアリス君を殺すなんてできないんだ」
「バカな事言わないで…。元が地球人であれ…私達はMADを殺す為に存在している…」
「雨岬空君が言った事は的を得ている…。MAD化した鳳条院鵺君の事は殺しにかかったのに、僕は、MAD化したアリス君を殺せない…。こんなの絶対に駄目なのに。軍務に私情を持ち込んだら駄目なのに」
「…鵺は月見姉様を殺したから…。そこの違いだから大丈夫…」
「じゃあ小鳥遊風希ちゃんは、身内を殺めていないMAD達は殺さないできたかな?」
「……」
「違うよね…。僕達は今まで、誰も殺めていないMADも殺めてきた。だから小鳥遊月見ちゃんを殺めたからとか、誰も殺めていないからとかは全く理由にはならない事なんだ」
「ハロルドさんが殺せないなら殺さなくていい…私が殺るから…大丈夫…」
ハロルドはベッドから立ち上がる。
「駄目だよ、そんな事言っちゃ。アリス君が悲しんじゃうよ」
「…?何で…」
キョトン…とする風希は首を傾げる。