逢魔時奇譚【16話His secret(1)】
神が見えない奏の為に、霊感が有り神が見えるビアンキが同行している。
「奏サンの大切な人達を殺害した犯人は…つ、捕まったのですか〜…?」
「……」
「か、奏サンは犯人に復讐をしたくて、エクソシストになられたのですか〜…?」
「……。…憎かった…」
「え、えっ?」
「…けど…、悪魔に憑かれたら…自分の意志とは…関係無しに…悪魔に…身体を乗っ取られ…て…無意識に…人を殺す…から…。…悪魔に…憑かれた…僕だから…こそ…犯人の気持ち…が…分かり…ます…。…犯人も…悪魔に…憑かれて…身体を乗っ取られて…人を…殺めてしまった…被害者なんだ…って…」
「それは違いますよ?」
「…え…?」
普段のオドオドした口調ではなく、はっきりした口調になったビアンキ。奏が振り向く。
「確かに悪魔に身体を乗っ取られ無意識下で人間を殺害してしまう悪魔憑き人間も居ます。けれど、奏サンのご両親を殺めた犯人は違った。奏サンのご両親を昔から怨むあまり、その弱い心の隙をつけ込まれて悪魔に憑かれた」
「…何…?…何…で…」
「アドラメレクに身体を乗っ取られていた奏サンは9年前、無意識下で天音サンのご両親のエクソシストを殺害してしまったからそう捉えるのでしょう。しかし、奏サンのご両親を殺害した犯人は悪魔に憑かれてこそいましたが、自らのご意志で、奏サンのご両親を殺害したのですよ?まあ、その際犯人に憑いていた悪魔が魔力を貸して殺害を幇助しましたけれどね」
「…何で…、僕の…両親…だって…分かるの…。…僕は…殺されたのは…"僕の大切な人達"…としか…言っていないのに…」
ヒュン!奏は変身装置でバトルスーツへ変身。ビアンキから1歩距離をとり、身構えた。ビアンキは肩を竦めて笑った。
「嗚呼。失敬。そう仰っておりましたね。このボクとした事が失態を犯してしまった。けれど弘法にも筆の誤り、ということわざもありますからね。如何ですか?9年間も日本で生きたので、ことわざも取得したのですよ」
「…っ…!」
「そうそう。奏サン。貴方のご両親を殺害した犯人の叔母様に憑いていた悪魔の名前は何でしたっけ?」
「…っ…、サタン…!!サタン…だよ…!!」
ビアンキは眼鏡を外すとようやく顔を上げてにっこり笑った。