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逢魔時奇譚【22話(6)】
「神堂聖弥、シュミレーション悪魔30体殲滅。目標達成率100%」
このアナウンスは、新人エクソシスト12人それぞれ1人ずつで行っている個室まで届いている。だから、それぞれの個室では新入隊員達は思わず手を止めてしまう。
「すげぇ…また神堂君かよ」
「シュミレーション開始まだ7分だぞ?」
「やっぱ天才と私達凡人は違うのよ…」
「お前達。手が止まっているぞ。他人の心配より己の心配をしたらどうだ」
新人エクソシスト達のシュミレーション訓練の様子を上から見ている春日がマイクを通して全員へアナウンス。キーン!と音割れする大きさのアナウンスに、新人エクソシスト達は片目を瞑りながらも「はいっ!」と慌てて訓練を再開するのだった。
「ふーっ…」
そんな中、今日のシュミレーション訓練達成をした聖弥だけはゴーグルを外す。聖弥はさっさとシュミレーションルームを後にし出て行った。その様子を見下ろす春日、そして横田。
「さすがは神堂夫妻のお子さんだね〜」
「ああ。だがしかしあいつは人間に取り憑いた悪魔を祓魔する場合しっかりできるのか?」
「というと?」
「単に対悪魔を殲滅する事には申し分ない実力だ。しかし、あの横暴且つ無慈悲な殲滅方法では取り憑いた悪魔と人間ごと殺し兼ねない」
「さっすが春日君。少し見ただけで神堂の性分を把握したんだね!確かに。神堂なら"憑かれた奴が悪りぃんだからそいつ諸共ぶっ殺して祓魔する!"な〜んて言いそうだね〜」

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逢魔時奇譚【22話(5)】
「じゃーん!わたくしと聖弥は今回の入団試験に合格致しましたのよーー!!」
書類にはれいなと聖弥の名前が記されている。
「……」
それをジー…とジト目で見る聖弥。と、嬉しそうに鼻高々でペラペラ喋り出すれいな。
「宜しいですこと聖弥?今日からわたくし達は正真正銘エクソシストとなったのです!ですから、庶民の手本となるよう身だしなみは完璧に!手櫛なんてもってのほかでしてよ!貴方のその悪い言葉遣いも修繕し!世界平和の為に戦い、庶民を守る戦士としての意識を今日から持つのですわ!」
「…めんどッ」
「ですからその言葉遣いを改めなさい聖弥!!」

それから月日が経ちーーーー
ドガン!ドガン!!祓本部内のシュミレーションルームで悪魔との戦闘をシュミレーション中の新人エクソシスト達。その中でも毎回断トツの目標達成率を誇るのが聖弥。

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逢魔時奇譚【22話(4)】
聖弥も猛ダッシュで逃げようとするが…
「お行きなさい!わたくしの可愛い小鳥達!」
少女が取り出したステッキを一振りすると…ステッキから現れた小鳥達が、逃げる聖弥の頭を嘴でツンツン突き出した。
ツンツンツン!
「チュンチュンチュン!!」
「痛だだだだだ!?」
「捕まえましたわ!観念なさい聖弥!」
真後ろに誰かが立った音。気配。そして声。嫌そうに振り向くと、其処には腰に両手をあてて勝ち気な笑みを浮かべた少女れいな(当時12歳)が居た。
「またお前かよ…」
「またとは何ですの!?このわたくしに声をかけて頂けるなんて末代までの自慢でしてよ!」
「うっぜぇ」
突かれてボサボサになってしまった髪を手櫛で整える聖弥の前に、ピンクの櫛をれいなが、ぐっ、と突き出す。
「手櫛だなんていけませんわ。ちゃんと櫛でお直しなさい!」
「誰のせいで直す羽目になったと思ってんだよ」
ぷいっとそっぽを向いてしまう聖弥にれいなは頬を膨らませる。が、すぐに「じゃーん!」と2枚の書類を笑顔で突き出すから、聖弥は面倒くさそうな顔でチラッ、と見る。
「聖弥貴方そのご様子ですと、まだご存知無いのでしょう?」
「何をだよ」
「この書類をご覧なさい!」

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逢魔時奇譚【22話(3)】
7年前、祓本部正面ホールーーーーーー
100人以上の老若男女が集まって見上げているのは、大きな電光掲示板。今日は先週行われた"エクソシスト入団試験"結果発表日なのだ。
「やったぁ!名前あった!!」
自分の名前を見て喜ぶ者。
「嘘だ…実技も筆記も手応えがあったというのに僕の番号がナイなんて嘘だ…」
自分の名前が無く、放心状態で座り込んでしまう者。様々な感情の声が飛び交う中。正面玄関の回転扉から遅れて中へ入って来たのは聖弥(当時12歳)。ポケットに両手を突っ込んで緊張感の欠片も無いし、面倒くさそうだ。眠い目を細めて電光掲示板を見る。
「あんま無ぇな」
掲示板に乗っている名前が合格者。しかし電光掲示板には12名しか名前が挙がっていないという高倍率の超難関試験。
「ま。どーせ無ぇだろ」
と、テキトーに見て、不合格と勝手に決めつけて帰ろうとした時。
「セーーイーーヤーー!!」
「げっ…」
背後から自分を呼ぶ少女の甲高い声がして、ギクッとした聖弥が振り向く。
「何だ何だ?」
「あの女の子は誰だ?」
駆けながら聖弥を呼ぶ銀髪の小柄な少女に、人々の視線が一斉に降り注がれる。だが少女は全く気にせず、猛ダッシュしてくる。

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逢魔時奇譚【22話(2)】
同時刻、ハラエ区海岸沿い外国人墓地
廃教会ーーーーーー
ビチャッ…ビチャッ…荒れ果てた廃教会に描かれた魔法陣の中から出られないれいなは、その中で水音をたてて蠢く。一つしか無い紫色の瞳をひょこっと現す。
「セ…イヤ…マダ…デス…ノ…?」
割れたステンドグラスから中へ射し込む太陽の陽射し。窓越しに青空を見上げながら寂しく呟き、聖弥の帰りを待つれいなだった。
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